会計年度任用職員として働いている中で、病気やけがで長く仕事を休まなければならなくなったとき、生活費の不安を少しでも減らすために知っておきたいのが「傷病手当金」です。
この制度は、一定の条件を満たせば支給される仕組みですが、申請の手順やルールをしっかり理解していないと、思わぬところで「傷病手当金がもらえない理由」にあたってしまうこともあります。
この記事では、会計年度任用職員が受け取れる傷病手当金について、支給される条件や必要書類、さらに支給日までの流れをわかりやすくまとめています。初めて申請を考えている方でも安心して読み進められるよう、ポイントごとに丁寧に解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 会計年度任用職員が受け取れる手当の種類と条件
- 傷病手当金の支給条件と申請の流れ
- もらえないケースとよくある申請ミスの例
- 支給日や退職後の継続受給の仕組み
【会計年度任用職員】傷病手当金の基本と制度理解

- 会計年度任用職員はどのような手当が支給されますか?
- 傷病手当金とは?
- 傷病手当金が支給される4つの条件
- 共済組合と協会けんぽの違いとは?
- 傷病手当金がもらえない理由は何ですか?
会計年度任用職員はどのような手当が支給されますか?
会計年度任用職員には、働き方や勤務条件に応じていくつかの手当が支給されます。フルタイムとパートタイムで内容が変わるため、まずは勤務形態を確認しましょう。
主に支給される手当は以下のとおりです。
- 期末手当(ボーナス)
勤務時間が週15時間30分以上かつ任期が6か月以上あれば、支給対象になります。ただし、支給日は6月と12月の基準日に在籍している必要があります。 - 勤勉手当
以前は支給対象が限られていましたが、今はフルタイム・パートタイムともに支給される可能性があります。 - 通勤手当
勤務場所までの距離や交通費に応じて支給され、これはほぼ全員が対象です。 - 時間外勤務手当・休日手当・夜間手当
残業や夜勤があった場合、実績に応じて支払われます。 - 退職手当
フルタイムで6か月以上継続して勤務した人が対象です。パート職員には原則として支給されません。 - その他の手当(地域手当・特殊勤務手当など)
配属先の条件や職種によって異なります。
会計年度任用職員に対する手当の種類は多くありますが、全員が同じように受け取れるわけではありません。例えば、パートタイムの職員には期末手当が出ない自治体もあります。また、どの手当がもらえるかは勤務時間や在籍期間の条件を満たしているかどうかが重要になります。
不明な場合は、所属先の人事担当に確認しましょう。支給条件をしっかり理解することで、受け取れる手当をもらいそびれる心配もなくなります。
傷病手当金とは?

傷病手当金(しょうびょうてあてきん)は、けがや病気で仕事を休んだときに、お金を受け取れるしくみです。会計年度任用職員も、健康保険に入っていればもらえる可能性があります。
この手当は、仕事中のけがではなく、ふつうの病気やけがが原因の場合に出されます。たとえば、風邪で長く休んだり、私生活でケガをして働けないようなときです。会社からお金が出ないときの、生活のサポートとして役立ちます。
内容 | 説明 |
---|---|
対象者 | 健康保険に入っている会計年度任用職員など |
条件 | 業務外のけがや病気で、4日以上仕事を休んでいる |
支給額 | 給料の約3分の2(日ごとの平均額から計算) |
支給期間 | 最長1年6か月(けっかく病は最大3年) |
例えば、月30万円の給料であれば、1日あたり約6,666円がもらえる計算になります。ただし、最初の3日間は「待期期間」として支給されません。
また、手当をもらうには、医師の診断書や会社の証明なども必要です。仕事に行けない理由をきちんと説明しないと、受け取れないこともあるので注意しましょう。
傷病手当金が支給される4つの条件

会計年度任用職員が「傷病手当金」を受け取るには、4つの条件を満たす必要があります。ただ休んだからといって、だれでもすぐにもらえるわけではありません。ここでは、受け取りに必要なポイントをわかりやすく紹介します。
支給されるための4つの条件
- 仕事以外の病気やけがであること
仕事中のけがや通勤中の事故などは「労災」が対象です。傷病手当金は、風邪やケガなど、プライベートで起きた理由に限られます。 - 仕事ができない状態であること
医師から「働けない」と診断されていなければなりません。軽い不調で休んだだけでは対象外です。医師の診断書が必要になる場合もあるため、事前に確認しましょう。 - 連続して3日以上休んでいること
最初の3日間は「待機期間」とされ、給付は4日目から始まります。この3日間には、土日や祝日も含まれます。 - 休んでいる間に給料が出ていないこと
お金をもらっていると、原則として傷病手当金は出ません。ただし、給料が手当金より少ない場合は、その差額だけ支給されることもあります。
この4つすべてに当てはまると、傷病手当金の対象になります。一つでも欠けていると、申請しても通らないので注意しましょう。特に「医師の証明」と「給料の有無」は見落としやすいため、しっかりチェックしておくと安心です。
共済組合と協会けんぽの違いとは?

会計年度任用職員が加入する健康保険には、「共済組合」と「協会けんぽ」の2つがあります。この2つは名前も制度も似ていますが、支給される内容や保険料に大きな違いがあります。自分がどちらに入っているかで、もらえるお金や負担額が変わるため、しっかり知っておくことが大切です。
共済組合と協会けんぽの主な違い
比較項目 | 共済組合 | 協会けんぽ |
---|---|---|
加入対象 | 公務員や自治体職員など | 主に民間企業の社員 |
保険料率 | やや安め(約4.8%) | やや高め(約5.0%) |
医療費の上限 | 月2.5〜5万円程度 | 月9万円以上になる場合あり |
退職後の継続 | 任意継続が比較的しやすい | 条件によっては継続が難しい |
共済組合は公務員向けに設計されており、手厚い支援が特徴です。一方、協会けんぽは民間企業の社員が多く加入しているため、平均的な保障内容となっています。
また、傷病手当金などの制度にも違いが出る可能性があります。たとえば、医療費の自己負担上限が共済組合の方が低いため、重い病気のときには助かるケースもあります。
この2つは自分で選ぶことはできませんが、どちらに加入しているかを知っておくと、いざというときに役立ちます。保険証に記載されている組織名などをチェックしておきましょう。
傷病手当金がもらえない理由は何ですか?

傷病手当金は、休んでいれば必ずもらえるものではありません。申請しても受け取れないケースもあります。ここでは、よくある「もらえない理由」とその事例を、わかりやすく紹介します。
1.給料が出ている
休んでいても給料が全額出ていると、手当金はもらえません。手当は「お金が出ないときの支え」なので、すでに収入がある場合は対象外です。
2.業務中のけがや通勤事故
仕事中や通勤中のけがは「労災」の対象であり、傷病手当金ではカバーされません。
3.医師の証明がない
体調が悪くても、医師から「働けない」と判断されていなければ手当は出ません。診断書がなければ申請できない場合もあります。
4.待機期間が足りない
連続で3日間休んでいないと、4日目以降の支給が始まりません。飛び石の休みではカウントされないため注意が必要です。
制度をきちんと理解していないと、せっかくの手当が受け取れない可能性があります。申請前に「給料の有無」「休んだ日数」「医師の診断」などを確認し、もらえるかどうか判断することが大切です。
【会計年度任用職員】傷病手当金の申請と受給

- 申請書類の書き方
- 初回請求と継続申請の必要書類
- 共済組合で申請した傷病手当金の支給日はいつ?
- 退職後も受け取れる?継続支給の条件
- 出産手当金や年金との併給制限に注意
申請書類の書き方
傷病手当金をもらうには、申請書類を正しく書いて出す必要があります。特に共済組合では、決まった書き方を守らないと手続きが遅れたり、差し戻されたりする場合があります。ここでは、書類の書き方と注意点をわかりやすくまとめます。
【申請書は主に4つのパートに分かれます】
- 本人が書くところ(1~2ページ)
- 氏名・生年月日・住所などは正確に記入します。
- 休んだ期間や傷病名、銀行口座なども記入が必要です。
- 保険証番号の記入忘れに注意しましょう。
- 勤務先が書くところ(3ページ目)
- 休んだ日や給与の有無について勤務先が証明します。
- 書類の提出前に、必ず総務などに依頼しましょう。
- 医師が書くところ(4ページ目)
- 診断内容、働けない期間について医師が記入します。
- 通院がない場合や証明期間が短いと支給されない可能性があります。
【書くときの注意ポイント】
- 黒のボールペンを使用しましょう(消えるペンはNG)。
- 訂正する場合は二重線と訂正印が必要です。
- 記入ミスを防ぐため、下書きしてから清書するのが安心です。
申請前にはすべてのページに記入があるか、印鑑を忘れていないか確認してください。書類がそろっていないと手当が遅れるだけでなく、再提出になることもあります。少し面倒に感じるかもしれませんが、落ち着いて一つずつ進めることでスムーズに申請できます。
初回請求と継続申請の必要書類

傷病手当金を申請するとき、必要な書類がそろっていないと受け取れない場合があります。ここでは、初回申請と継続申請のどちらにも使える書類を整理して紹介します。
【初回請求に必要な書類】
- 傷病手当金支給申請書(4枚セット) - 本人記入用 - 勤務先記入用 - 医師記入用
- 診断書の写し(病名・期間・労務不能の記載があるもの)
- 出勤簿や勤務条件通知書(勤務状況が確認できるもの)
- 給与明細または賃金台帳(給与支払いの有無を確認するため)
- 健康保険証の写し(加入確認用)
【継続申請で追加されるもの】
- 継続用の傷病手当金申請書(毎月提出)
- 月ごとの診療証明(医師が新たに記入)
- 給与支払い状況証明書(休業期間中の給与がないか確認)
【注意点】
- 書類に不備があると、支給までに時間がかかってしまいます。
- 診断書は、申請する月ごとに新しいものが必要になる場合があります。
- 提出前に全ページコピーを取っておくと安心です。
早めの準備と確認が、スムーズな申請のコツです。勤務先や医療機関と連携して進めましょう。
共済組合で申請した傷病手当金の支給日はいつ?

共済組合からの傷病手当金は、申請してすぐに入金されるわけではありません。初めての申請と継続申請では、支給までの流れやスピードが少し違います。
まず初回申請についてです。申請書が共済組合に届いてから審査に入りますが、この審査には1~2か月ほどかかることがよくあります。初回は特に時間がかかりやすいため、申請のタイミングに余裕を持っておきましょう。
一方、2回目以降の継続申請は、審査も短く済むケースが多く、通常2~4週間で振り込まれる傾向があります。共済組合によっては、毎月の「振込日」があらかじめ決まっていることもあるため、担当窓口で確認しておくと安心です。
【振込スケジュール例】
- 5日までに審査が終わった場合:25日頃に振込
- 20日までに審査が終わった場合 :翌月10日前後に振込
土日や祝日が振込日にあたると、その前後の平日にずれる場合もあります。
支給日がいつになるかは、提出タイミングと審査状況によって変わります。初回は早めの準備が大切ですが、継続時においても「いつ何を出すか」を把握しておきましょう。
退職後も受け取れる?継続支給の条件

会計年度任用職員が退職しても、条件を満たせば傷病手当金を引き続き受け取れます。退職したからといってすぐに打ち切られるわけではありません。
継続して受け取るためには、主に次の4つの条件が必要です。
- 退職前に健康保険に1年以上入っていたこと
- 退職前からすでに傷病手当金を受けているか、受けられる状態だったこと
- 退職後も病気やけがで働けない状態が続いていること
- 退職日以降も医師の証明が取れること
これらのうち1つでも欠けていると、支給が止まるおそれがあります。
また、退職日当日に出勤していると「労務可能」と見なされ、支給がストップする場合があります。もし退職前に休んでいたなら、そのまま出勤しない方が良いでしょう。
申請方法は、退職前と同じく共済組合に書類を提出します。退職後も元の職場が窓口になるので、書類の準備は前もって確認しておくのが安心です。
退職後も生活を守るために、これらの条件と手続きをしっかり押さえておきましょう。
出産手当金や年金との併給制限に注意

出産手当金や傷病手当金は生活の助けになる制度ですが、どちらも同時にはもらえないルールがあります。また、年金などとの重なりにも注意が必要です。
まず出産手当金と傷病手当金は、目的がよく似ているため、同じ期間には併給できません。どちらも「働けない期間の生活を支える」ためにあるからです。そのため、同じ日に両方申請しても、出産手当金が優先されます。
ただし、もし傷病手当金の方が金額が高ければ、差額だけは受け取れるケースもあります。すべてがゼロになるわけではないため、きちんと計算しておくと安心です。
次に気をつけたいのが「年金」との関係です。たとえば障害年金を受け取っているときは、傷病手当金との調整が必要です。病気の内容や時期が重なる場合は、傷病手当金がもらえないこともあります。
また、すでに老齢年金を受給している場合、手当金との関係も変わってきます。このあたりは、共済組合や保険者に事前に相談するのが確実です。
【併給できない主な例】
- 出産手当金と傷病手当金(同じ日数では不可)
- 障害年金と傷病手当金(同じ病気のとき)
- 労災の休業補償と傷病手当金(業務中のけがなど)
このように、支給される制度にはルールがあり、知らずに申請すると損をする可能性もあります。重ならないように確認しながら、必要な手続きを進めていきましょう。
【会計年度任用職員】傷病手当金の申請と受給(まとめ)
記事のポイントをまとめます。
- 会計年度任用職員にはフルタイムとパートタイムがあり、支給手当が異なる
- 支給される手当は期末手当、勤勉手当、通勤手当など多岐にわたる
- 傷病手当金は業務外の病気やけがによる休業時に受け取れる
- 傷病手当金の支給額は日額で給料のおよそ3分の2相当
- 支給開始には3日間の待機期間が必要で4日目から支給対象になる
- 傷病手当金は健康保険に加入していなければ受け取れない
- 医師による「働けない」証明がないと申請が通らない
- 給料が出ている期間は原則として手当金はもらえない
- 労災や通勤中の事故は傷病手当金ではなく労災補償が対象
- 共済組合と協会けんぽでは保険料率や医療費上限に違いがある
- 傷病手当金の申請書は本人、勤務先、医師がそれぞれ記入する
- 初回申請では申請から支給まで1~2か月かかることがある
- 継続申請は毎月提出が必要で、振込まで2~4週間が目安
- 退職後も条件を満たせば傷病手当金の受給を継続できる
- 出産手当金や年金との併給には制限があり、重複は不可の場合が多い
