会計年度任用職員が妊娠したらどうなる?休業制度と給与の仕組み

本記事のリンクには広告が含まれています。
会計年度任用職員が妊娠したらどうなる?休業制度と給与の仕組み

会計年度任用職員が妊娠した場合、育児休暇制度や産休中の給与について不安を感じる方も多いでしょう。特に、産休中に収入はあるのか、育児休業は取得できるのか、契約更新に影響はないのかといった点は重要です。

また、近年では男性の育児参加が推奨され、産後パパ育休を活用するケースも増えています。しかし、会計年度任用職員は正規職員とは雇用形態が異なるため、制度の適用範囲や手続き方法に違いがあることを理解しておく必要があります。

本記事では、妊娠した際に確認すべき制度や手続きを詳しく解説します。産休や育休の取得条件、給与の仕組み、雇用継続のポイントなどをわかりやすくまとめたので、ぜひ参考にしてください。

記事のポイント
  • 会計年度任用職員が利用できる育児休暇制度とその取得条件を理解できる
  • 産休中の給与の支給有無や出産手当金の計算方法を知ることができる
  • 育児休業中の契約更新の可否や雇用継続のポイントを把握できる
  • 産後パパ育休の取得条件や申請手続きについて理解できる
目次

会計年度任用職員が妊娠したら?まず確認すべき制度と手続き

会計年度任用職員が妊娠したら?まず確認すべき制度と手続き
  • 会計年度任用職員の育児休暇制度とは?
  • 産休中の給与はどうなる?
  • 育児休業中の契約更新は可能?

会計年度任用職員も、一定の条件を満たせば育児休業を取得できます。正規職員とほぼ同じ制度が適用されるため、事前に内容を理解し、スムーズに申請しましょう。

会計年度任用職員の育児休業は、原則として「子どもが1歳に達する日まで」の期間取得できます。ただし、以下の場合は最長「1歳6か月」または「2歳」まで延長が可能です。

  • 保育所などに入れない場合
  • 配偶者が病気などで育児が難しい場合
  • 配偶者が亡くなった場合

育児休業を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 子が1歳6か月に達する日までに労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
  • 育児のために勤務が難しいと認められること

育児休業を取得するには、次の手順で手続きを行います。

  1. 育児休業承認請求書の提出
  2. 育児休業手当金請求書の提出
  3. 必要に応じて、育児休業期間延長のための書類を提出

書類は人事担当部署や共済組合へ提出し、承認後に正式に休業が取得できます。

産休中の給与はどうなる?

産休中の給与は、一般的に「出産手当金」が支給される形となります。ただし、会計年度任用職員の場合、任用形態や勤務条件によって支給の有無が異なるため、注意が必要です。

会計年度任用職員は、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間の「産前産後休暇」を取得できます。しかし、産休期間中の給与は「無給」となる場合が多く、収入がなくなる可能性があります。

給与の代わりに健康保険から「出産手当金」が支給されることがあります。支給条件は以下の通りです。

  • 健康保険に加入している
  • 産休開始前に継続して勤務していた
  • 産休期間中に給与の支払いがない

出産手当金の支給額は、「産休前の給与の3分の2」に相当する額が支給されます。

【計算式】
1日あたりの支給額 = 支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

例として、月給20万円の人の場合、次のように計算されます。

項目金額
平均日給約6,667円
1日あたりの手当金約4,445円
産休42日分の手当金約186,690円

出産手当金を受給するには、以下の書類を健康保険組合に提出します。

  • 出産手当金請求書
  • 医師の証明書
  • 給与明細や勤務証明書

申請後、1~2か月程度で支給されることが一般的です。

産休中は給与が出ない場合があるため、出産手当金や他の支援制度を活用し、経済的な準備を進めましょう。

なお、2025年4月1日から育児休業給付金の制度改正が予定されています。最新の情報を確認し、適切な準備をすることをお勧めします。

育児休業中の契約更新は可能?

会計年度任用職員は、原則として任期が1年以内で設定されます。契約更新の回数制限については、近年見直しが検討されており、以前の2回までという制限が緩和される傾向にあります。このため、育児休業中に雇用が継続できるかどうか気になる人も多いでしょう。契約更新の可否は、勤務先の方針や条件によって決まります。

契約更新の可否は、主に以下の条件に左右されます。

  • 勤務成績が良好であること
  • 翌年度の任用予定があること
  • 育児休業取得が不利益な扱いとならないこと

会計年度任用職員であっても、育児・介護休業法により、育児休業を理由とする不利益取り扱いは禁止されています。ただし、もともと契約更新が見込まれていない場合、休業中に契約が終了する可能性があります。

契約更新を希望する場合、次の点に注意しましょう。

  • 育児休業前に契約更新の可能性を確認する
  • 人事担当者に育休取得の意向を伝え、相談する
  • 復職後の働き方について話し合い、調整する

育児休業を取ることで、契約更新に影響が出るケースもあります。例えば、休業期間が長引くと「年度途中の復職が難しい」と判断される場合もあるため、事前に勤務先としっかり話し合いましょう。

契約更新が見込まれる場合でも、早めに手続きを行い、スムーズに復職できるよう準備することが大切です。

会計年度任用職員が妊娠したら活用したい支援制度

会計年度任用職員が妊娠したら活用したい支援制度
  • 育児休業は無給?支援制度や給付金の活用方法
  • 育休中のボーナスはどうなる?
  • 会計年度任用職員は産後パパ育休を取得できる?
  • 育児休業後の復職はスムーズに|職場復帰の準備と対策
  • 会計年度任用職員が妊娠したら活用したい支援制度(まとめ)

会計年度任用職員が育児休業を取得すると、基本的に給与は支払われません。しかし、生活を支えるための給付金や支援制度を活用できます。

育児休業中は、育児休業給付金が支給されます。これは、雇用保険に加入している場合に受け取れるものです。2025年4月1日以降、育児休業給付金と出生後休業支援給付金を合わせて、休業前の給与の80%が支給されます。

給付金以外にも、以下の支援が利用できます。

  • 社会保険料の免除
    育児休業期間中の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は、企業と従業員の負担分がともに免除されます。
  • 児童手当
    子どもの年齢に応じて、毎月5,000円〜15,000円が支給されます。
  • 自治体の育児支援
    自治体ごとに保育費助成や一時預かり支援がある場合があります。

これらを上手に活用し、収入が減る育児休業期間を安心して過ごせるように準備しましょう。

育休中のボーナスはどうなる?

育児休業を取得すると、ボーナス(期末手当・勤勉手当)が支給されるかどうか気になる人も多いでしょう。支給の有無は、勤務先の規定や査定期間によって異なります。

会計年度任用職員のボーナスは、勤務実績に基づいて支給額が決まるため、育休中の支給には注意が必要です。査定期間中に一定期間以上の勤務実績がある場合は、一部または満額支給されることがあります。

状況ボーナスの支給可能性
育休取得前に一定期間働いた一部または満額支給
育休開始が査定期間の途中減額の可能性あり
育休期間が査定期間の全期間を含む支給されない可能性が高い

育休中にボーナスが支給された場合、社会保険料の免除対象になることがあります。例えば、ボーナス支給月に1か月以上育休を取得していれば、健康保険料・厚生年金保険料が免除される可能性があります。

また、育児休業給付金は非課税ですが、ボーナスは通常の給与と同様に所得税や住民税が引かれます。このため、手取り額が減る可能性も考慮しておきましょう。

育休を取得する際は、事前に職場のボーナス支給ルールを確認し、計画的に育児休業を活用することが大切です。

会計年度任用職員は産後パパ育休を取得できる?

会計年度任用職員でも、一定の条件を満たせば産後パパ育休(出生時育児休業)を取得できます。この制度を利用すると、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)までの休業が可能です。

産後パパ育休を取得するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 子の出生後8週間以内であること
  • 子の出生後8週間と6月を経過する日以後も任期のある(引き続き任期の更新又は採用される可能性がある場合を含む)こと
  • 育児休業を取得する意思を事前に職場へ伝えること

また、育休を2回に分けて取得できるため、育児のサポートを柔軟に計画できます。

産後パパ育休を取得するには、事前に申請が必要です。手続きの流れは以下の通りです。

  • 申請書の提出(原則として育休開始の2週間前まで。労使協定により1か月前までに延長可能)
  • 職場の承認
  • 育休開始
  • 育児休業給付金の申請(対象者のみ)

雇用保険に加入している場合、育児休業給付金が受け取れます。支給額は休業開始時賃金の67%(180日まで)、その後50%となります。さらに、2025年4月から「出生後休業支援給付」が新設され、男性が子の出生後8週間以内に育児休業を取得した場合、休業開始時賃金の13%相当が追加で支給されます。

産後の育児は母親の負担が大きくなりがちですが、産後パパ育休を活用すれば、家庭での役割分担をスムーズに進めることが可能です。

育児休業後の復職はスムーズに|職場復帰の準備と対策

育児休業が終わると、職場復帰の準備が必要になります。スムーズに復職するためには、事前に計画を立てることが大切です。

復職の前に、以下の点を確認しておきましょう。

  • 勤務時間の調整(時短勤務などの利用)
  • 子どもの保育先の確保(保育園、ファミリーサポートなど)
  • 職場の最新情報の確認(業務内容の変更があるか確認)

育児休業からの復職は環境の変化が大きいため、計画的に準備することが重要です。

復職後も仕事と育児を両立しやすいように、以下の制度を活用できます。

  • 短時間勤務制度(小学校就学前の子を養育する従業員が利用可能)
  • 子の看護休暇(小学校就学前の子を対象に、看護や行事参加等の場合に取得可能)
  • 時間外勤務の制限(一定条件を満たせば残業免除が可能)

復職後は、時間の使い方が大きなポイントになります。

  • タスクの優先順位をつける
  • 周囲と協力しながら進める
  • 無理せず相談できる環境を作る

職場の支援制度を活用しながら、無理なく育児と仕事を両立できる環境を整えましょう。

記事のポイントをまとめます。

  • 会計年度任用職員も育児休業を取得できる
  • 育児休業は原則子どもが1歳になるまで取得可能
  • 保育園に入れない場合などは最大2歳まで延長できる
  • 育児休業を取得するには勤務継続の可能性が必要
  • 申請には育児休業承認請求書などの書類提出が必要
  • 産休は産前6週間・産後8週間の期間取得できる
  • 産休中の給与は基本的に無給となる
  • 出産手当金は健康保険から支給される場合がある
  • 出産手当金は給与の3分の2が目安となる
  • 育児休業中の給与は無給だが、育児休業給付金を受け取れる
  • 育児休業給付金は休業前の給与の67%が支給される
  • 社会保険料は育児休業中に免除される場合がある
  • 育児休業中に契約更新ができるかは勤務先の方針次第
  • 産後パパ育休は最大4週間取得可能
  • 育児休業後の職場復帰には短時間勤務制度などが利用できる
目次