会計年度任用職員とアルバイトの違いは何?雇用形態と働き方の違い

会計年度任用職員とアルバイトの違いは何?雇用形態と働き方の違い

会計年度任用職員とアルバイトの違いが気になっている方は多いのではないでしょうか。どちらも似たような働き方に見えますが、実は制度や立場に大きな違いがあります。

本記事では、雇用主や待遇、ボーナスの有無といった基本的な違いから、パートタイムとフルタイムの違いや副業の可否、さらには雇用保険の加入条件まで詳しく解説します。

また、民間企業では一般的な5年ルールの適用が会計年度任用職員にどう関係するかも紹介します。これから応募を考えている方にとって、役立つ情報をわかりやすくまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

  • 会計年度任用職員とアルバイトの雇用主や立場の違いがわかる
  • 手当やボーナスの有無など待遇面の差を理解できる
  • 副業の可否や雇用保険の条件が把握できる
  • パートタイムとフルタイムの働き方の違いを知ることができる
目次

会計年度任用職員とアルバイトの違いをわかりやすく解説

会計年度任用職員とアルバイトの違いをわかりやすく解説
  • 会計年度任用職員とはアルバイトですか?
  • 会計年度任用職員はどのような職業分類になりますか?
  • 会計年度任用職員は公務員扱いですか?
  • パートタイムとフルタイムで何が違うの?
  • 雇用保険に加入できますか?

会計年度任用職員とはアルバイトですか?

会計年度任用職員はアルバイトと似ているようで、大きく違います。なぜなら、法律上「地方公務員」としての立場を持ち、民間企業のアルバイトとは雇用主も待遇も異なるからです。

まず、雇用主が違います。会計年度任用職員は市役所や県庁などの自治体が雇い主です。一方で、アルバイトはコンビニや飲食店などの民間企業に雇われます。

また、雇用形態も次のような違いがあります。

比較項目会計年度任用職員民間アルバイト
雇用主自治体(公務)民間企業
法的身分地方公務員一般労働者
手当ボーナス・退職金あり(条件あり)ほぼなし
雇用期間原則1年(更新あり。自治体によっては上限なく再任用可能)数ヶ月~不定期

民間のアルバイトでは賞与がないことが多いですが、会計年度任用職員はパートでも一定の条件を満たせばボーナスが出る点が特徴です。

ただし、毎年雇用契約が更新されるため、安定性は自治体の方針によって左右されます。なお、2024年以降は自治体の判断によって上限なく再任用が可能となっているため、長期勤務ができる場合もあります。

つまり、働き方が似ていても、立場や保障はまったく別物だと理解しておくと良いでしょう。

会計年度任用職員はどのような職業分類になりますか?

会計年度任用職員は「非常勤の地方公務員」として、法律と統計の両方で分類されています。

地方公務員法では「一般職非常勤職員」とされ、地方自治体に雇われる公務員です。つまり、法律上は公務員としての責任やルールがしっかり決められています。

一方、総務省の統計分類では、会計年度任用職員は「地方公務」に関わる仕事とされ、「公務」産業に分類されます。職種によってはさらに以下のように分類されます。

●主な職業分類の例(総務省 日本標準職業分類より)

  • 一般事務職員(事務補助など)→「事務従事者」
  • 保育士・看護師など→「専門的・技術的職業従事者」
  • 清掃・給食・施設管理など→「技能労務職員」

ポイント

  • 職業分類は「何の仕事をしているか」で決まります。
  • 雇用形態(正規か非常勤か)は分類に影響しません。
  • 同じ職場でも、仕事内容に応じて分類が変わるのが特徴です。

つまり、会計年度任用職員という名前だけで一つの分類になるのではなく、実際の業務内容によって統計上の分類が決まる仕組みです。

会計年度任用職員は公務員扱いですか?

会計年度任用職員は公務員扱いですか?

会計年度任用職員は、正式に「地方公務員」として扱われています。つまり、アルバイトや契約社員とは異なり、法律で決められた公務員の一員です。

地方公務員法では、会計年度任用職員は「一般職の非常勤職員」という立場になります。このため、公務員としてのルールや義務がきちんと定められています。

適用される主なルール(服務規程)

  • 信用を傷つけるような行動は禁止
  • 勤務中は仕事に集中する
  • 秘密は外に出さない
  • 利益のある相手と不正な関係を持たない

ただし、パートタイムの職員については、一部のルールが免除されている場合もあります。たとえば、副業に関してはパートなら認められているケースが多いです。

つまり、公務員としての立場を持ちながらも、働き方によって適用されるルールに差があります。公務員だからこそ、責任感を持って行動する意識が必要です。

パートタイムとフルタイムで何が違うの?

会計年度任用職員には「パートタイム」と「フルタイム」の2つの勤務スタイルがあります。見た目は似ていても、働き方や手当などに違いがあります。

主な違いを一覧で確認

項目パートタイムフルタイム
勤務時間週20時間〜30時間未満が多い週38時間45分(1日7時間45分×5日)
給与形態時給制が多い月給制が中心
ボーナス条件を満たせば支給(年2回)原則支給される(年2回)
副業の可否可能(自治体によって届出が必要)原則禁止(許可が必要)
休暇制度日数は少ないが有給あり正規職員に近い休暇制度

パートは時間に自由がある分、待遇面ではフルタイムに劣る部分もあります。一方、フルタイムは責任が増える代わりに収入や手当が安定しやすいです。

自分の生活スタイルに合わせて、どちらが合っているかをよく考えてから応募すると良いでしょう。勤務時間や保険の加入条件も忘れずに確認することが大切です。

雇用保険に加入できますか?

雇用保険に加入できますか?

会計年度任用職員でも、一定の条件を満たせば雇用保険に入ることができます。加入のポイントは、働く時間と期間です。

雇用保険に入るための条件

  • 週に20時間以上働いている
  • 31日以上働く見込みがある

これらの両方を満たせば、雇用保険に入る対象になります。逆に、週の勤務時間が19時間以下や、1か月だけの短期任用では対象外になる場合が多いです。

たとえば、週22時間で3か月働く予定なら加入できます。ですが、週15時間で半年働く場合は、時間が足りないため加入できません。

また、フルタイムで6か月以上働いていると、退職金の対象となることがあります。そのときは雇用保険には入れない例もあるので注意しましょう。

不安な場合は、所属先の担当者やハローワークに確認しておくと安心です。条件を知っておくことで、自分の働き方にあった手続きをしやすくなります。

会計年度任用職員とアルバイトの制度上の違い

会計年度任用職員とアルバイトの制度上の違い
  • 6月のボーナスはいくらですか?
  • パートタイムでも副業はできますか?
  • 5年ルールが適用されますか?
  • 応募手続きと注意点
  • 会計年度任用職員とアルバイトの制度上の違い(まとめ)

6月のボーナスはいくらですか?

会計年度任用職員にも、条件を満たせば6月にボーナスが支給されます。パートタイム職員も支給対象となるため、事前にチェックしておきましょう。

支給されるための条件

  • 任用期間が6か月以上ある
  • 週15時間30分以上働いている
  • 6月1日時点で在職している

この3つがそろっていれば、フルタイム・パートタイム問わず6月にボーナスを受け取れます。内容は「期末手当」と「勤勉手当」の2種類で、あわせて月給の4.6か月分ほどになる場合もあります。

例えば、月給20万円のフルタイム職員なら、約92万円程度が支給される場合もあります。ただし、4月採用の人は在職期間が短いため、支給額が8割に減ることがあります。

パートタイムの方も、上記の条件を満たせばボーナスを受け取れますが、金額は勤務時間などによって変わります。支給日は6月下旬が多いですが、自治体によって異なるため、担当者に確認しておきましょう。

パートタイムでも副業はできますか?

パートタイムでも副業はできますか?

会計年度任用職員の副業可否は、勤務形態によって異なります。フルタイム職員は、地方公務員法第38条に基づき、営利企業への従事が制限されており、副業を行う場合は任命権者の許可が必要です。一方、パートタイム職員はこの制限の対象外であり、副業が可能とされています。

パートタイム職員の副業に関する注意点

  • 届出の必要性
    多くの自治体では、パートタイム職員が副業を行う際に「兼業届出書」の提出を求めています。
  • 勤務時間の制限
    副業と本業の合計勤務時間が1日8時間、週40時間を超えないようにする必要があります。
  • 休日の確保
    週に1日は、両方の業務が休みとなる日を設けることが求められます。
  • 公務への影響
    副業が公務の信用を損なわないように注意が必要です。

これらの条件は、自治体ごとに異なる場合があります。副業を検討する際は、所属する自治体の規定を確認し、必要な手続きを行うことが重要です。

5年ルールが適用されますか?

会計年度任用職員には、民間企業で使われる「5年ルール(無期転換)」は当てはまりません。このルールは、同じ会社で5年以上働いた人が、希望すれば正社員のような無期限契約に変えられる制度です。ただし、会計年度任用職員は公務員として働いており、この制度の対象外になります。

任期更新と再任用の現状

  • 任期の上限
    会計年度任用職員の任期は最長1年であり、毎年の契約更新が必要です。
  • 再任用の制限
    以前は多くの自治体で再任用の上限が設けられていましたが、2024年6月に国がこの制限を撤廃したことを受け、各自治体でも対応が進んでいます。
  • 自治体ごとの対応
    再任用の上限を撤廃する自治体もあれば、引き続き制限を設けている自治体も存在します。

長期的な雇用を希望する場合は、勤務先の自治体の再任用方針を事前に確認することが重要です。また、再任用の可能性について不明な点があれば、早めに担当部署に相談することをおすすめします。

会計年度任用職員の応募手続きと注意点

会計年度任用職員の応募手続きと注意点

会計年度任用職員として働くには、まず自治体ごとの応募情報を探すところから始まります。多くは市役所や町のホームページに掲載されており、「職員募集」「会計年度任用職員募集」などの言葉で検索すると見つけやすいでしょう。広報紙や市役所の掲示板でも情報が出る場合があります。

採用は「登録制」と「個別募集」の2種類があります。登録制はあらかじめ申込書を提出しておき、欠員が出たときに連絡がくる方式です。個別募集は募集期間が決まっており、その都度書類を出す必要があります。

試験は面接が中心ですが、作文や簡単な筆記がある場合もあります。履歴書では志望動機をしっかり書くことが大切です。経験や自分の強みを具体的に書きましょう。手書きでもパソコンでも構いませんが、内容にずれがないように仕上げることが大切です。

応募前には、自分が希望する働き方(フルタイムかパートか)を明確にして、勤務日数や時間に無理がないかよく確認しましょう。

会計年度任用職員とアルバイトの制度上の違い(まとめ)

記事のポイントをまとめます。

  • 会計年度任用職員は法律上「地方公務員」に分類される
  • アルバイトは民間企業に雇われる一般労働者である
  • 雇用主が自治体か企業かで大きく異なる
  • 会計年度任用職員は公務員のルールや義務がある
  • 民間アルバイトには公務員倫理などの規定はない
  • 会計年度任用職員は原則1年契約で再任用の可能性がある
  • 民間アルバイトの雇用期間は不定期か短期間が多い
  • 手当やボーナスが支給される制度がある(条件付き)
  • アルバイトには賞与や退職金の支給はほとんどない
  • 勤務時間や雇用形態に応じて職種分類が変わる
  • 総務省統計では業務内容によって分類が決まる
  • フルタイムとパートで給与や福利厚生に差がある
  • パートでも副業が可能な場合がある(届出必要)
  • 民間の「5年ルール」は会計年度任用職員には適用されない
  • 応募手続きは自治体ごとに異なり、情報収集が重要
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