会計年度任用職員の副業は何時間まで?上限ルールの完全ガイド

会計年度任用職員の副業は何時間まで?上限とルールの完全ガイド

会計年度任用職員として働きながら、「もう少し収入を増やしたいけれど、副業は一体何時間まで許されるのだろう?」と疑問に感じていませんか。公務員という立場上、ルールを正しく理解せずに始めてしまうと、思わぬ失敗や後悔につながる可能性があります。

この記事では、会計年度任用職員が守るべき兼業の週40時間ルールについて、具体的な計算方法から解説します。

さらに、副業を始める際に必須となる届出の手続き、個人事業主として活動する場合の税務上の注意点、そして本業と両立しやすいおすすめの副業まで、あなたの疑問を解消するための情報を網羅的に紹介します。正しい知識を身につけ、安心して副業への一歩を踏み出しましょう。

  • 副業時間の上限である「週40時間ルール」の具体的な内容
  • 上限を超えた場合のリスクと必要な手続き
  • 個人事業主として副業を始める際の注意点
  • 時間管理しやすい在宅副業の具体的な選択肢
目次

会計年度任用職員の副業、何時間までOK?上限と基本ルール

会計年度任用職員の副業、何時間までOK?上限と基本ルール
  • 兼業40時間ルールを解説
  • 本業と副業の労働時間は通算して計算する
  • 上限を超えて働いた場合のリスクとは?
  • 時間を超えた場合の割増賃金は誰が払う?
  • 副業届出ガイドラインと許可が必要な場合
  • 住民税の申告で副業がバレるって本当?

兼業40時間ルールを解説

会計年度任用職員が副業を行う場合、その労働時間は本業と合わせて「週40時間」が上限となります。

なぜなら、労働者の健康と安全を守るために労働基準法で定められた「1日8時間・週40時間」という労働時間の上限規制は、会計年度任用職員にも適用されるからです。これは地方公務員であると同時に、労働基準法の適用を受ける労働者でもあるためです。

例えば、会計年度任用職員としての勤務が週30時間の場合、副業で働ける時間は週10時間以内が原則となります。このルールを理解することが、適法に副業を行うための第一歩です。

本業と副業の労働時間は通算して計算する

週40時間という上限は、本業と副業の労働時間を「通算」して計算します。

これは、労働基準法が個別の契約ごとではなく、一人の労働者が実際に働く全ての時間を対象としているためです。したがって、複数の雇用主と契約していても、それらの労働時間は全て合算して考えなければなりません。

具体的には、暦週(通常は日曜日から土曜日まで)を一つの単位として、その7日間における合計労働時間が40時間を超えないように自己管理する必要があります。

仮に、先に副業の契約で週20時間働いた場合、その週は本業の会計年度任用職員として週20時間までしか働くことができない、という考え方になります。

上限を超えて働いた場合のリスクとは?

上限を超えて働いた場合のリスクとは?

週40時間の上限を超えて働いてしまうと、法的なリスクや懲戒処分につながる可能性があります。

上限を超えた労働は労働基準法違反にあたり、雇用主である自治体や副業先が、労働基準監督署からの行政指導や罰則の対象となる恐れがあるからです。

また、会計年度任用職員個人にとってもリスクは小さくありません。公務員としての「職務専念の義務」に違反すると判断されたり、「信用失墜行為」と見なされたりする場合があります。

そうなると、所属する自治体の規定に基づいて、減給や戒告といった懲戒処分を受ける可能性が出てきます。労働者の健康を守るための大切なルールですので、安易に超過することは避けましょう。

時間を超えた場合の割増賃金は誰が払う?

週40時間を超えた分の労働に対しては、法律に基づき割増賃金が支払われなければなりません。

この割増賃金を支払う義務を負うのは、時間外労働をさせた事業所です。つまり、本業と副業の労働時間を通算し、40時間を超えるきっかけとなった労働契約を結んでいる雇用主が支払います。

例えば、会計年度任用職員として週35時間働き、同じ週に副業のアルバイトを10時間行ったとします。この場合、合計労働時間は45時間となり、5時間分が時間外労働です。この超過した5時間分の労働は後から契約した副業先で行われているため、割増賃金の支払い義務は副業先の雇用主が負うことになります。

副業届出ガイドラインと許可が必要な場合

副業届出ガイドラインと許可が必要な場合

会計年度任用職員が副業を始める際には、原則として所属する自治体への届出や許可申請の手続きが必要です。

地方公務員法では、公務の公正性を保ち、職務に専念する義務を定めているため、営利企業への従事などには一定の制限が設けられています。このため、副業を始める前に、決められた手続きを踏むことが求められます。

具体的には、常勤の職員に近いフルタイムの会計年度任用職員の場合、任命権者の「許可」が必要になることが一般的です。

一方で、パートタイムの会計年度任用職員は制限が緩和されており、「営利企業等従事届」といった書類を提出する「届出制」で済む場合が多く見られます。

ただし、この運用は自治体によって大きく異なるため、必ずご自身の所属する自治体の人事担当部署へ事前に確認することが不可欠です。

住民税の申告で副業がバレるって本当?

副業を行っている事実は、住民税の通知をきっかけに本業の勤務先である自治体に知られる可能性があります。


副業によって所得が増加すると、前年の所得をもとに計算される翌年度の住民税額が上がるためです。自治体の給与担当者は、職員の給与から住民税を天引き(特別徴収)する際に税額を把握しています。

そのため、本業の給与に変動がないにもかかわらず住民税額が不自然に増加していると、「他に収入があるのではないか」と推測されるきっかけになり得ます。

対策として、確定申告の際に、副業分の住民税を自分で納付する「普通徴収」を選択する方法があります。

ただし、副業が給与所得(アルバイトやパートなど)の場合、多くの自治体で本業の給与と合算して特別徴収となるため、普通徴収が認められないケースが多い点に注意が必要です。事前に自治体へ確認しましょう。

会計年度任用職員の副業、何時間まで可能?実践編

会計年度任用職員の副業、何時間まで可能?実践編
  • 副業で個人事業主になる!開業届と税金対応
  • 副業の社会保険はどうなる?加入条件を解説
  • 副業収入が20万円超で確定申告が必要
  • 時間管理しやすい在宅系副業おすすめ7選
  • 労働時間の自己管理とシフト調整のコツ
  • 会計年度任用職員の副業は何時間まで可能か(まとめ)

副業で個人事業主になる!開業届と税金対応

Webライターやデザイナーといった形で個人事業主(フリーランス)として副業を行う場合、税務署への「開業届」の提出から始めましょう。

開業届を提出することで、その副業収入を「事業所得」として申告できるようになります。これにより、事業に必要な費用を経費として計上できたり、青色申告の特典を受けられたりといった税制上のメリットを享受できます。

手続きは、事業を開始してから原則1ヶ月以内に、管轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけです。もし、より高い節税効果を狙うのであれば、「所得税の青色申告承認申請書」も同時に提出することをおすすめします。

青色申告承認申請書は、事業開始日が1月1日から1月15日の場合はその年の3月15日まで、それ以外の場合は事業開始日から2ヶ月以内に提出が必要です。

これにより最大65万円の特別控除が受けられますが、複式簿記での帳簿付けに加え、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存が必須になるという点も理解しておく必要があります。

副業の社会保険はどうなる?加入条件を解説

副業の社会保険はどうなる?加入条件を解説

副業を始めた際の社会保険の扱いは、その働き方によって変わってきます。

まず、本業の会計年度任用職員として社会保険(健康保険・厚生年金)に加入している場合、個人事業主として行う副業でいくら収入を得ても、追加で社会保険料が発生することはありません。

しかし、注意が必要なのは、副業がアルバイトやパートといった雇用契約の場合です。もし副業先での勤務が「週20時間以上」「月収8.8万円以上」などの加入条件を満たすと、本業とは別に、副業先でも社会保険に加入する義務が生じます。

この場合、両方の給与を合算した額に基づいて保険料が計算され、それぞれの給与から天引きされることになり、手取り額に影響します。

副業収入が20万円超で確定申告が必要

副業による年間の「所得」が20万円を超える場合、ご自身で確定申告を行い、所得税を納める義務があります。

ここで言う所得とは、副業で得た全ての収入から、その収入を得るためにかかった必要経費を差し引いた金額のことです。例えば、Webライターとして年間の売上が30万円あり、取材のための交通費や資料代などの経費が5万円かかった場合、所得は25万円となり確定申告が必要です。

申告期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。もし所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要となる点には注意しましょう。お住まいの市区町村の窓口で手続きを行ってください。

時間管理しやすい在宅系副業おすすめ7選

時間管理しやすい在宅系副業おすすめ7選

会計年度任用職員の方が副業を選ぶ際は、本業との両立を考え、時間や場所の融通が利きやすい在宅系の仕事が適しています。週40時間という上限を守りながら、無理なく続けられるものを見つけることが大切です。

以下に、在宅で始めやすい副業の選択肢をまとめました。

スクロールできます
副業ジャンル始めやすさスキル習得特徴
ブログ運営★★☆★★★自分のペースで更新でき、長期的な資産になる可能性がある
アフィリエイト★★☆★★☆ブログやSNSと連携し、成果報酬で収益化を目指せる
ライティング★★★★★☆クラウドソーシングで始めやすく、実績を積めば単価アップも
データ入力★★★★☆☆特別なスキルが不要で、隙間時間を活用しやすい
ハンドメイド制作★★☆★★☆趣味や特技を活かし、オンラインで作品を販売できる
オンライン講師★☆☆★★★専門知識や資格を活かし、高い報酬を得られる可能性がある
オンライン事務・秘書★★☆★★☆事務経験を活かし、業務委託で安定した案件を受注しやすい

これらの副業は、いずれもパソコン一台で始められるものが多く、自分のライフスタイルに合わせて仕事量を調整しやすいというメリットがあります。

労働時間の自己管理とシフト調整のコツ

副業と本業をうまく両立させるためには、労働時間の正確な自己管理が何よりも鍵となります。

前述の通り、週40時間という上限を超えないようにするためには、日々の記録と計画的な働き方が不可欠です。まずは手帳やスマートフォンのカレンダーアプリなどを活用して、本業と副業、それぞれの勤務時間を毎日記録する習慣をつけることから始めましょう。

また、副業先を探す際には、本業の繁閑に合わせてシフトを調整できるか、事前に確認しておくことがトラブル防止につながります。

「会計年度任用職員として働いており、労働時間には上限がある」という点を契約時に明確に伝えておくと、相手方の理解も得やすくなります。無理のないスケジュールを立てることが、長期的に副業を続けるための秘訣です。

会計年度任用職員の副業は何時間まで可能か(まとめ)

この記事で解説した、会計年度任用職員の副業に関する重要なポイントを以下にまとめます。

  • 会計年度職員の副業は本業と通算で週40時間が上限
  • 根拠は労働者の健康を守るための労働基準法
  • このルールは公務員にも適用される
  • 週40時間は日曜から土曜までの暦週で計算する
  • 上限を超えた分は時間外労働となり割増賃金が発生
  • 割増賃金は時間超過をさせた事業所が支払う
  • ルール違反は自治体からの懲戒処分のリスクがある
  • 副業開始前には自治体への届出や許可が原則必要
  • フルタイムは許可制、パートは届出制が多い
  • 副業所得が年20万円超なら確定申告が義務
  • 住民税の普通徴収で勤務先に知られるリスクを低減できる
  • 個人事業主なら開業届を提出し青色申告も検討する
  • 在宅で時間管理しやすい副業がおすすめ
  • 労働時間の正確な自己管理が両立の鍵
  • 無理のない計画を立てて本業に支障なく行う
目次