公務員にとって身近な業務である選挙事務。その日当に関心をお持ちではないでしょうか。具体的な日当や時給、手当の金額はもちろん、選挙事務の仕事内容、さらには公務員として働く上での服装のマナーについても気になるところです。
一方で、公務員の仕事の中でも選挙事務はやりたくない、しんどいといった声もあります。そもそも日当がいつもらえるのか、支給タイミングも知りたい点だと思います。
この記事では、選挙事務に関するそうした様々な疑問について、報酬体系から業務のリアルな実態まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。
- 選挙事務の日当や時給の具体的な金額相場
- 投票所での受付や集計といった仕事の全容
- 長時間労働など、業務の負担とその対策
- 報酬の支給タイミングや服装などの実務情報
選挙事務で公務員がもらえる日当の相場と仕事内容

- 選挙事務の手当っていくら?日当と時給を比較!
- 選挙事務の仕事内容を詳しく解説
- 投票所での受付から撤収までの1日の流れ
選挙事務の手当っていくら?日当と時給を比較!
選挙事務従事者の報酬は、自治体によって大きく異なり、日当制や時給制など支給形態も様々です。これは、公職選挙法に基づく国の経費基準を参考にしつつも、最終的な金額は各自治体の財政力や業務内容、歴史的経緯などによって決定されるためです。
例えば、日当制を採用している自治体では、1日あたり1万円前後から、責任の重い業務では3万円を超えるケースまで見られます。一方で時給制の場合は、地域の最低賃金に準じた額から、深夜労働や休日出勤には割増手当が加算されることもあります。
ここでは、いくつかの自治体の例を比較してみましょう。
自治体 | 支給形態 | 金額の目安 | 特徴 |
---|---|---|---|
周南市 | 日当制 | 34,800円 | 13時間勤務換算で高水準の報酬 |
青森市 | 時給制 | 990円 | 土日祝日には時給が20%加算される |
大島町 | 日当・手当制 | 投票3万円+開票1万円 | 業務内容に応じて分割支給される |
堺市 | 時給制 | 1,125円 | シフト制勤務で時間外手当が別途支給 |
このように、報酬額には2倍以上の開きが見られることも珍しくありません。また、これらに加えて、地域手当や特殊勤務手当が別途支給される自治体も存在します。そのため、従事する際は、必ず自身の自治体の支給規定を確認することが大切です。
選挙事務の仕事内容を詳しく解説

選挙事務の仕事は、単なる受付や案内だけにとどまらず、選挙の公正さと信頼性を支えるための多岐にわたる業務で構成されています。投票所の設営から投票の管理、そして終了後の集計まで、各スタッフが決められた役割を正確にこなすことで、選挙全体が円滑に運営されます。
ここでは、投票所における主な役割とその業務内容を紹介します。
投票管理者・職務代理者
投票所の総責任者であり、事務全体の管理・執行から、トラブル発生時の対応まで、全ての責任を負う重要な役割です。管理者が不在の際には、職務代理者がその役目を代行します。
名簿対照係(受付)
有権者が持参した投票所入場券と選挙人名簿を照合し、本人確認を行う係です。入場券を忘れた有権者への対応や、代理投票の受付なども担当します。
投票用紙交付係
本人確認を終えた有権者に対して、投票用紙を交付します。複数の選挙が同時に行われる場合は、用紙の種類を間違えないよう、細心の注意が求められます。
案内・誘導係
投票所の内外で有権者をスムーズに案内し、動線を確保する役割です。記入台や投票箱の場所を教えたり、手助けが必要な方をサポートしたりします。
庶務係・立会人
庶務係は備品管理や電話対応、書類作成の補助など、事務全般をサポートします。投票立会人は、投票手続きが公正に行われているかを監視する役目を担い、投票箱の確認や封印に立ち会います。
投票所での受付から撤収までの1日の流れ
選挙事務の1日は、投票が始まるずっと前の早朝から始まり、全ての有権者が投票を終えた深夜まで続きます。決められた手順に従い、時間ごとに様々な業務をこなしていく必要があります。
まず、投票開始前の準備として、前日または当日の早朝に会場設営が行われます。投票箱や記載台の設置、案内表示の貼り出しなどを済ませ、投票箱が空であることを投票立会人と共に確認する作業は、公正さを担保する上で欠かせません。
投票が始まると、各係は持ち場につき、受付、本人確認、投票用紙の交付、案内といった一連の業務を繰り返します。投票中は、投票者の流れに応じて連携を取りながら、投票箱の監視や記載台の整理なども並行して行います。
そして、投票終了時刻を迎えると、投票所の入り口を閉鎖し、投票箱を厳重に封印します。この手続きには必ず立会人が立ち会い、全てのプロセスが正しく行われたことを確認しなくてはなりません。
最後に、投票録などの必要書類を作成し、投票箱を開票所へ送致する準備を整えます。会場の原状回復や備品の片付けを終え、最終点検が完了した時点で、ようやく長い1日の業務が終了となります。
選挙事務で働く公務員の日当とリアルな実態

- 公務員が選挙事務をやりたくない理由
- 日当はいつもらえる?
- 選挙事務での服装の基本
- 日当は源泉徴収される?税金の注意点
- 選挙事務で働く公務員の日当とリアルな実態(まとめ)
公務員が選挙事務をやりたくない理由
選挙事務は社会的に意義深い仕事である一方、多くの公務員が「やりたくない」「しんどい」と感じる背景には、過酷な実態があります。
最大の理由は、長時間労働です。通常業務と並行して準備が進められ、選挙期間中は休日返上で働くことも少なくありません。特に選挙管理委員会の職員は、極端な長時間残業が発生することもあり、心身への負担は計り知れません。
また、精神的なストレスも大きな要因です。有権者からのクレームや、時には理不尽な要求に対応することも求められます。ミスが許されないというプレッシャーの中で、1日中立ち仕事や緊張を強いられるため、体力面でも精神面でも消耗が激しくなります。
これらの負担を軽減するため、近年では様々な対策が進められています。例えば、RPAやICTツールを導入して事務作業をデジタル化し、報告や集計の効率化を図る自治体が増えています。
他にも、他部署からの応援体制を強化したり、OB職員を臨時スタッフとして活用したりすることで、一人当たりの業務量を分散させる工夫も有効です。
日当はいつもらえる?

選挙事務に従事した後、その報酬がいつ、どのように支払われるのかは、働く上で非常に気になる点です。支給のタイミングや手続きは自治体によって定められていますが、一般的な流れを把握しておくと安心です。
多くの自治体では、選挙事務が終了した後、勤務実績が取りまとめられ、給与支払いと同じ流れで処理されます。具体的には、「月末締め・翌月指定日払い」というケースが最も一般的で、例えば「翌月の21日」といった給与支給日に、指定した銀行口座へ振り込まれます。
したがって、選挙が行われた日から実際に報酬を受け取るまでには、おおよそ2週間から1か月程度の期間がかかると考えておくと良いでしょう。
手続きとしては、初めて選挙事務に従事する場合や、振込先を変更する際に「報酬振込口座記入用紙」などの書類を提出する必要があります。
近年、現金での手渡しはほとんど行われておらず、原則として口座振込となりますので、事前の手続きを忘れないように注意が必要です。
まれに書類の不備などがあった場合は支給が遅れる可能性もあるため、提出書類は正確に記入することが求められます。
選挙事務での服装の基本
投票所は公的な場であり、事務に従事する公務員には、有権者に信頼感と安心感を与える服装が求められます。基本となるのは「清潔感」「誠実さ」「動きやすさ」の3つのポイントです。
男女共通の基本
服装の基本は、スーツまたはオフィスカジュアルです。色は黒、紺、グレー、ベージュといった落ち着いたベーシックカラーを選び、派手な色や柄は避けるのが賢明です。シワや汚れのない清潔な服装を心がけ、過度な露出やカジュアルすぎる格好は控えなくてはなりません。
服装の具体例
男性であれば、襟付きのシャツにスラックス、必要に応じてジャケットを羽織るスタイルが無難です。クールビズ期間中はノーネクタイも認められることが多いです。
女性の場合は、ブラウスにパンツまたは膝丈のスカートを合わせ、ジャケットやカーディガンを着用すると、温度調整もしやすく上品な印象になります。
避けるべきNG例
ジーンズやTシャツ、ジャージ、サンダルといったラフな服装は、公的な場の雰囲気にそぐわないため認められていません。また、業務の妨げになるような大ぶりのアクセサリーや、香りの強い香水も避けるべきです。
靴は、長時間の立ち仕事でも疲れにくいよう、ヒールの低いパンプスやシンプルなスニーカーを選ぶと良いでしょう。
日当は源泉徴収される?税金の注意点
選挙事務で受け取る日当や報酬は、税法上「給与所得」として扱われます。そのため、一定額以上の報酬を受け取った場合は、所得税が源泉徴収されることを理解しておく必要があります。
源泉徴収とは、給与などを支払う側が、あらかじめ所得税分を差し引いて国に納付する制度です。したがって、実際に自分の口座に振り込まれる金額は、規定の報酬額から所得税分が引かれた後の金額となります。
公務員の場合、本業の給与と合算して年末調整が行われるため、通常は個別の確定申告は不要です。しかし、年間の給与所得が2,000万円を超える場合や、副業など他の所得との合計が20万円を超える場合には、自身で確定申告を行う義務が生じます。
選挙事務で働く公務員の日当とリアルな実態(まとめ)
記事のポイントをまとめます。
- 選挙事務の報酬は日当制や時給制で自治体により様々
- 日当の平均的な相場は約1万円から3万円超と幅が広い
- 仕事内容は投票所の設営から受付、案内、集計まで多岐にわたる
- 投票管理者や名簿対照係など役割分担が明確にされている
- 勤務時間は早朝から深夜に及ぶ長時間の拘束が一般的
- 心身の負担として長時間労働やクレーム対応が挙げられる
- 負担軽減策として業務のデジタル化や人員確保が進められている
- 報酬は選挙後の「月末締め・翌月払い」で口座振込されるのが基本
- 受け取りには事前の口座登録手続きが必要になる
- 服装は清潔感のあるスーツやオフィスカジュアルが求められる
- ジーンズやサンダルなどカジュアルすぎる服装は避けるべき
- 日当は給与所得として扱われ源泉徴収の対象となる
- 場合によっては確定申告が必要になることもある
- 責任は重いが民主主義を支えるという大きなやりがいがある
- 選挙運営の裏側を知る貴重な経験を得ることができる
