【国家公務員】バッジは統一なのか?省庁ごとの違いを徹底解説

【国家公務員】バッジは統一なのか?省庁ごとの違いを徹底解説

どうも、元地方公務員のようすけです。

公務員というと、カチッとしたイメージがありますよね。ドラマなんかを見ていると、検察官がカッコいいバッジをつけていたり、国会議員が襟元に特徴的なバッジをつけていたりします。

そこでふと疑問に思うわけです。「国家公務員のバッジ」って、みんな共通のものを持ってるんだろうか?と。

省庁ごとに種類が違うのか、それとも統一デザインがあるのか。法務省はどう? 検察官のバッジが秋霜烈日と呼ばれているのはなぜか、外務省のバッジの役割とは。

また、よく比較される国会議員のバッジは衆議院と参議院で違いがあるのか、弁護士や裁判官のバッジとはどう違うのでしょう。

中には、皇宮警察のバッジがメルカリで売買されているなんて噂も…。実際のところ、バッジの購入は可能なのか、価格や違法性についても気になります。もし紛失したらどうなるのか、退職時の返納義務についても知りたいですよね。

この記事では、そんな「国家公務員のバッジ」にまつわる様々な疑問について、元公務員の視点から深掘りしてみたいと思います。

  • 国家公務員に「統一バッジ」が存在しない理由
  • 検察官や外務省など、特徴的なバッジのデザインと意味
  • 国会議員や弁護士のバッジとの具体的な違い
  • バッジの購入や所持に関するルールと法的リスク
目次

【国家公務員】バッジに統一デザインはある?

【国家公務員】バッジに統一デザインはある?

まず、多くの方が抱く「国家公務員みんながお揃いのバッジを持ってるの?」という疑問からお答えしていきます。このセクションでは、省庁ごとに異なるバッジの fascinating(興味深い)な世界を見ていきましょう。

結論、統一バッジは存在しない

いきなり結論から言いますが、「すべての国家公務員が共通で身につける統一バッジ」は、存在しません。

これは、私のような地方公務員(市役所職員とか)が、自治体(〇〇市とか)の職員章(バッジやICカード)を持つのとはワケが違います。

国家公務員と一口に言っても、その職務はとんでもなく多様です。例えば、

  • 国の防衛を担う「自衛官」
  • 犯罪を捜査し起訴する「検察官」
  • 外交の最前線に立つ「外務省職員」
  • 各省庁で政策を立案・実行する「官僚(行政職)」

これだけ職務内容、権限、責任が異なる人たちを、たった一つのデザインのバッジで識別・管理するのは、機能的にも合理的にも不可能なんですね。

法を執行する強大な権限(逮捕権とか)の象徴と、行政サービスを担う職員の身分証明が同じである必要はない、ということです。

したがって、国家公務員のバッジ(記章)は、所属する省庁、機関、あるいは職種ごとに、まったく異なるデザインと目的で作られているのが実態です。

省庁ごとの職員章とその機能

じゃあ、それぞれ異なるバッジにはどんな機能があるのか?というと、これも一つではありません。単なる飾りや所属を示すだけじゃないんですね。

国家公務員のバッジは、その目的によって、大きく分けて以下の4つに分類できるかなと思います。

バッジ(記章)の4つの主要機能

  1. 身分証明と所属明示
    最も基本的な機能です。「私はこの省庁の正規の職員ですよ」ということを内外に示す、信頼の証ですね。
  2. アクセス管理(通行証)
    特定の建物や機密エリアへの「物理的な鍵」としての機能です。セキュリティが厳しい官庁ほど重要になります。
  3. 職権と権限の象徴
    これが一番「バッジらしい」機能かも。法的な権限(逮捕権や起訴権など)を持つ人が、その権威を示すための象徴です。
  4. 団結と誇りの醸成
    組織への帰属意識や、仕事へのプライドを高めるシンボルとしての役割です。制服組(自衛隊や警察)にとっては特に重要ですね。

このように、バッジと一口に言っても、その役割は「名札」から「鍵」、「権力の象徴」まで様々。これが、省庁ごとにデザインが異なる大きな理由です。

法務省のバッジと五三の桐

特徴的なバッジの一つとして、法務省のバッジを見てみましょう。

法務省の職員章は、「五三の桐(ごさんのきり)」の紋章をデザインしたものが基本とされています。

「五三の桐」は、パスポートの表紙にも使われている、日本国政府の紋章です。歴史的にも皇室や公的な権威の象徴として使われてきたデザインですね。

法務省という、国家の根幹(司法)を担う組織の記章として、これ以上ないほどふさわしいデザインと言えるかもしれません。

この「五三の桐」デザインは、法務省本省だけでなく、法務局や保護観察所、出入国在留管理庁(入管)など、法務省が所管する多くの機関で共通のモチーフとして使われる傾向にあるようです。

ただし、同じ法務省の機関でも、次に紹介する「検察庁」だけは、まったく独自のバッジを使用しています。このあたりからも、職務の特殊性がうかがえますね。

検察官バッジ|秋霜烈日の意味

国家公務員のバッジの中で、弁護士バッジと並んで最も有名で、最も「権威」を感じさせるのが、検察官(検事)のバッジでしょう。

通称「秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)のバッジ」として知られています。

デザインは、中央に「紅色の旭日(太陽)」を配し、その周りを「菊の白い花弁」と「金色の葉」があしらわれた、非常に精緻で美しいものです。

「秋霜烈日」とは、文字通りには「秋の冷たい霜と、夏の厳しい日差し」という意味。これが転じて、刑罰や規律が極めて厳格であることのたとえとして使われます。

検察庁の公式説明によれば、このバッジが霜(菊の白)と日差し(旭日の紅)の組み合わせに見えることから、不正に対しては秋の霜のように厳しく臨み、同時に人権擁護の情熱(夏の太陽)も併せ持つ、という検事の理想像と相まって、こう呼ばれるようになった、とされています。

「秋霜烈日」は後付けの神話?

ここだけの話、実はこの「秋霜烈日」というカッコいい意味、後付けだという説が有力です。

バッジのデザイン制定に関わった方の証言によると、当初は特定の意味を込めたわけではなく、あくまで「平等と公平の正義を追求する検察官にふさわしい、調和のとれたデザイン」を目指しただけだったとか。

それが、組織の「かくあるべき姿」という「物語(神話)」として「秋霜烈日」という言葉と結びつき、今や検察庁自らが公式サイトでそう説明するまでに至った、というわけです。

バッジが単なるデザインを超え、「組織の理想像」を職員と国民に内面化させるための強力なツールとして機能している、面白い事例ですね。

外務省のバッジは通行証?

検察官バッジとは対照的に、その「機能性」を最優先してデザインされたのが、外務省の職員記章です。

デザインは、「外」という漢字を図案化した、銀製のバッジです。

これが制定されたのは、1937年(昭和12年)。盧溝橋事件が起こり、日本が戦争へと突き進む緊迫した時代でした。

そんな時代背景ですから、バッジ制定の第一目的は「権威」や「装飾」ではありません。ズバリ、省内へのスパイや不審者の侵入を防ぎ、機密を守るための「セキュリティ・パス(通行証)」でした。

まさに「アクセス管理」機能の典型ですね。

現在も、ICカード式の身分証とは別に、この伝統的な記章(あるいはそれを踏襲したもの)が、省内の特定エリアへのアクセス管理に使われているとされています。外務省が扱う情報の機密性の高さを物語っています。

【国家公務員】バッジと関連記章の比較

【国家公務員】バッジと関連記章の比較

ここまでは国家公務員(一般職・特別職)のバッジを見てきましたが、「バッジ」と聞いて思い浮かぶのは、彼らだけではありませんよね。このセクションでは、国会議員や弁護士など、関連する他の「記章」と比較して、その違いをクリアにしていきます。

国会議員のバッジ|衆議院と参議院の違い

まずは、ニュースで最も目にする機会が多い「国会議員バッジ(議員記章)」です。彼らも「特別職国家公務員」ですが、そのバッジは省庁のものとは全く異なります。

このバッジの最大の機能は、外務省バッジと同じく「通行証」です。

国会議事堂や議員会館への入館はもちろんですが、特に重要なのは「本会議場」への入場には、このバッジの佩用(はいよう=身につけること)が必須とされている点です。

総理大臣でもバッジがなければ入れない?

有名な逸話として、かつて福田赳夫首相がバッジをつけ忘れ、衆議院議場に入ろうとした際に衛視(議院警察)に止められた、という話があります。

総理大臣であっても、バッジ(=通行証)がなければ本会議場には入れない、という厳格なルールを示していますね。(その時は、慌てて近くにいた官房副長官からバッジを借りて入ったそうです)

そして、この議員バッジ、日本の二院制を反映して、衆議院と参議院で明確にデザインが異なります。

項目衆議院議員バッジ参議院議員バッジ
デザイン中央に11弁菊花模様中央に11弁菊花模様(衆より一回り大)
周囲のモール(布地)赤紫色(本会議場の絨毯の色)紺色(藍色)
金属部分金メッキ金張り(メッキより金の層が厚く高価)

参議院のほうがちょっとだけコストがかかっている、というのは面白い違いですね。

ちなみに、落選や引退で職を辞した場合は、申請すれば「前議員バッジ」(衆は黄色、参は緑)が交付され、本会議場の前議員席などに入ることができるそうです。

弁護士バッジのひまわりと天秤

次は、国家公務員ではありませんが、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)の一翼として、検察官バッジとしばしば比較される「弁護士バッジ」です。

このデザインは非常に象徴的です。

  • 中央の「天秤(てんびん)」: 「公正さ」と「公平さ」の象徴
  • 周囲の「ひまわり(向日葵)」: 「自由」と「正義」の象徴

「公正・公平」と「自由・正義」という、弁護士が常に心に留めるべき2つの信念が刻み込まれています。

また、検察官バッジと同様に、裏側には個々の弁護士を識別するための「登録番号」が刻印されており、唯一無二のものとなっています。弁護士以外の人がこれを使用すると罰せられる、厳格な記章です。

裁判官バッジと八咫烏

法曹三者の最後の一角、裁判官(特別職国家公務員)のバッジです。

裁判官は黒い法服を着用するため、バッジはその法服に映える円形(七宝焼)のデザインとなっています。

モチーフは、中央に日本神話の「八咫烏(やたがらす)」が描かれています。八咫烏は神武天皇を導いたとされ、「良き道への導き」を象徴します。

その周囲を「鏡(内側)」(公正な判断)と「樫(かし)の葉(外側)」(正義)が囲んでいる、非常に格調高いデザインですね。

購入、価格、違法性|皇宮警察の噂

さて、ここからはちょっと現実的なお話です。「これらのバッジ、買えるの?」という疑問について。

時折、ネットオークションやフリマアプリ(メルカリなど)で、「皇宮警察」のネクタイピンやピンバッジが売買されていることがあり、これが「皇宮警察のバッジが買える」という噂の発端になっているようです。

確かに、皇宮警察は天皇・皇族の護衛という特殊任務と希少性からコレクター人気が高いのは事実です。しかし、市場で取引されているアイテムのほとんどは、正規の「職員章(記章)」そのものではなく、記念品や関連グッズ(ネクタイピン、カフス)である可能性が極めて高いです。

市場で「購入」可能な「公務員バッジ」とされるものは、大体が以下のカテゴリーに分類されます。

  • 廃止組織のもの(例:旧国鉄、旧建設省)
  • 退職者団体のもの(例:〇〇連盟会員章)
  • 記念品・関連品(例:ネクタイピン、レプリカ)
  • 地方公務員や消防団のもの(権限の象徴性が低いもの)

検察官バッジや現職の国会議員バッジ、外務省職員記章といった、「権威の象徴」や「厳格なセキュリティキー」として機能する現行の正規バッジは、市場には流通していません。

現行バッジの所持・使用は極めて危険です

まず大前提として、これらの正規バッジは職員に「貸与」されているものであり、一般向けに「販売」されていません。正規ルートでの「購入」は不可能です。

仮に、紛失品の拾得、盗難、あるいは精巧なレプリカの製造・所持・使用をした場合、深刻な法的問題に直面します。

バッジを提示して身分を偽れば「官名詐称」(軽犯罪法)に問われますし、バッジが「公記号」と認定されれば、「公記号偽造罪・不正使用罪」(刑法)といった、より重い罪に問われる可能性があります。

公務員ではない弁護士のバッジですら、他者が使えば罰せられるのです。国家権力に直結するバッジの悪用が、いかに重い結果を招くか、想像に難くありません。

興味本位での購入や所持は、絶対に避けるべきです。法的な解釈や問題については、必ず弁護士などの専門家にご相談ください。

紛失時や退職時の返納義務

前述の「購入・違法性」の話とも密接に関連するのが、バッジの管理ルールです。

国家公務員の記章(バッジ)は、その職員の「私物」では全くありません。
国家(各省庁)から、その身分(職務)を有する期間中のみ「貸与(たいよ)」されている物品です。所有権はあくまで国家にあります。

これは、私のような地方公務員が持たされるICカード式の職員証とまったく同じ感覚ですね。あれも失くすと大騒ぎになりますし、実費弁償を求められることもあります。

当然、国家公務員の記章も、紛失・破損した場合は、速やかに報告し、始末書などの手続きを経て、場合によっては実費を弁済した上で再発行を受けることになります。特に「通行証」機能を持つバッジの紛失は、重大なセキュリティ事故として扱われます。

そして、「貸与品」である以上、その身分を失った場合(退職、免職など)には、速やかに国家(所属省庁)に「返納」する義務が生じます。

これは、例えば退職金(金銭)の返納とは比較にならないほど、強力で基本的な義務です。最初から自分の物ではないのですから、辞める時に返すのは当たり前、ということですね。

この「厳格な返納義務」こそが、現行の正規バッジが市場に流通しない最大の理由です。

【国家公務員】バッジが象徴するもの

さて、長々と見てきましたが、結論として「国家公務員のバッジ」という単一のアイテムは存在しませんでした。

それは、佩用する人の職務と責任に応じて、多様な姿をとっていましたね。

  • 国会議員バッジのように、厳格なルールに守られた「物理的な鍵」として。
  • 外務省の記章のように、国家の機密を守る「セキュリティの壁」として。
  • そして、検察官の「秋霜烈日」バッジのように、組織の理想という「神話」を体現するシンボルとして。

「国家公務員のバッジ」に関する情報を探ることは、結局、日本という国家の「形」と、その運営を担う人々の「役割」を知ることだったんだな、と思います。

そこには、すべての公務員が共有する「統一バッジ」という分かりやすい答えはありませんでした。

しかし、その答えの「不在」こそが、最も重要な答えだったのかもしれません。

省庁ごとに異なるデザイン、職務ごとに異なる機能—— この「多様性」こそが、国家公務員の職務の多様性と高度な専門性、そしてその一人ひとりが背負う責任の重さを、何よりも雄弁に物語っているのですから。

バッジ一つとっても、公務員の世界は本当に奥深いですね。

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