会計年度任用職員として働くにあたって、雇用保険への加入が必要かどうか悩んでいませんか。パートタイムやフルタイムなど勤務形態によって条件が変わるため、制度を正しく理解することが大切です。
この記事では、会計年度任用職員 雇用保険の基本的な仕組みから、加入できる条件、手続き方法、さらには月々の保険料の計算方法までわかりやすく解説します。また、共済組合との違いや、退職時に関係する退職手当との関係についても詳しくまとめました。
これから任用を受ける方や、すでに働いているけれど制度に不安がある方にも役立つ内容です。雇用保険に関する疑問を解消し、自分に必要な保障をしっかり確認しておきましょう。
- 会計年度任用職員が雇用保険に加入できる条件
- パートタイムとフルタイムで異なる雇用保険の取り扱い
- 雇用保険料の計算方法と給与からの控除の仕組み
- 共済組合や退職手当との違いや関係性
【会計年度任用職員】雇用保険の基本と加入条件

- パートタイムの雇用保険と加入要件
- フルタイムの雇用保険と基礎知識
- 雇用保険が適用除外のケース
- 雇用保険と共済組合の違い
パートタイムの雇用保険と加入要件
パートタイムの会計年度任用職員も、条件次第で雇用保険に加入しなければなりません。短時間勤務だからといって、必ずしも対象外というわけではありません。
主な加入条件
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の任用が見込まれている
- 昼間学生でない(原則)
この2つがそろえば、パートタイムでも雇用保険の被保険者となります。
20時間のイメージ例
- 1日4時間 × 週5日
- 1日5時間 × 週4日
- 1日6時間 × 週3日+2時間 × 1日 など
※残業は含まず、契約書に記載された「所定の時間」で判断されます。
こんなときは対象外
- 週19時間以下の勤務契約
- 任用期間が1か月(30日)しかない場合
- 学生(昼間)のアルバイト
パートタイム職員も条件を満たせば、退職後に失業給付や育児休業給付を受け取るチャンスがあります。雇用契約時に時間と期間の条件をしっかり確認し、制度の対象になるかどうかチェックしましょう。
フルタイムの雇用保険と基礎知識

フルタイムの会計年度任用職員も、雇用保険の対象となる場合があります。ただし、勤務期間や手当の有無によって、加入の可否や条件が変わるため注意が必要です。
雇用保険の対象になる基本
- 週の勤務時間が20時間以上
- 任用期間が31日以上
- 退職手当が支給されない(6か月超で支給対象)
常勤職との比較ポイント
項目 | 会計年度任用職員(フルタイム) | 常勤職員(正職員) |
---|---|---|
雇用期間 | 原則1年(更新あり) | 無期限 |
雇用保険 | 条件により加入・除外あり | 原則、雇用保険なし |
退職手当 | 6か月以上勤務で対象 | 常に対象 |
社会保険加入 | 勤務時間と月収による | 常時加入 |
フルタイム任用のメリット
- 条件を満たせば雇用保険に加入可能
- 社会保険や共済組合にも入れる可能性あり
- 正職員より採用のハードルが低い
注意したい点
- 6か月を超えると退職手当が支給され、雇用保険の対象外になる
- 任用の更新が毎年必要になるため、将来の見通しが立てにくい
制度を理解しておけば、自分に合った働き方が選びやすくなります。

雇用保険が適用除外のケース
会計年度任用職員でも、すべての人が雇用保険に加入できるわけではありません。加入条件を満たしていない場合や、一定の状況に当てはまる場合は、適用除外となります。
雇用保険の主な適用除外ケース
- 週の勤務時間が20時間未満
- 任用期間が31日未満または明確な見込みがない
- 学生(例外あり)
- フルタイム勤務で6か月超勤務し、退職手当の対象になったとき
実務上の注意点
- 曖昧な契約ではなく、所定労働時間と任用期間をしっかり書面で確認する
- 一時的に勤務時間が増えても、契約上が20時間未満なら加入できません
- フルタイムで働いても、6か月を超えると雇用保険から外れる仕組みです
これらの条件を見落とさず、事前に勤務先と確認しておくと安心です。
雇用保険と共済組合の違い
会計年度任用職員として働くと、「雇用保険」と「共済組合」の両方が関わることがあります。どちらも公的な制度ですが、役割や支え方がまったく違うため、混同しないよう注意が必要です。
2つの制度のちがい
項目 | 雇用保険 | 共済組合 |
---|---|---|
主な目的 | 失業時や育児・介護支援 | 医療・年金・退職手当の保障 |
加入条件 | 週20時間以上かつ31日以上 | 常勤の4分の3以上や月収8.8万円以上 |
給付内容 | 失業給付・育児休業給付など | 医療給付・年金・退職金など |
対象者 | パート含む非正規職員 | フルタイムに近い勤務者が対象 |
二重加入のリスクとは?
フルタイムで長く働くと、共済組合と雇用保険の両方に一時的に入るケースがあります。しかし、退職手当の支給が確定すると、雇用保険は外れるルールがあります。このタイミングを誤ると、保険料だけ払って給付が受けられません。
どうすれば防げる?
- 加入条件を契約前に確認する
- 保険証の切り替え時期や届出も確認する
- 疑問があれば、勤務先の人事担当やハローワークに相談しておくと安心
制度の仕組みを正しく理解すれば、自分に合った保障をしっかり受けられるようになります。

【会計年度任用職員】雇用保険の費用・手続き・給付

- 雇用保険料の計算方法
- 雇用保険の計算 ガイド「給与ソフト入力と月次計算手順」
- 雇用保険の手続きチェックリスト
- 雇用保険と退職手当の扱い
- 【会計年度任用職員】雇用保険の加入条件と手続き(まとめ)
雇用保険料の計算方法
まず、会計年度任用職員の雇用保険料は、月給や賞与などの賃金に「保険料率」をかけて計算します。保険料は職員本人と自治体(事業主)がそれぞれ負担し、毎月の給与から差し引かれます。
2024年度の保険料率(一般の事業)は以下のとおりです。
負担者 | 保険料率(%) |
---|---|
職員本人 | 0.6%(6/1000) |
自治体側 | 0.95%(9.5/1000) |
合計 | 1.55%(15.5/1000) |
対象となる賃金には次のようなものが含まれます。
- 基本給
- 通勤手当(非課税でも含む)
- 時間外手当
- 賞与(年3回まで)
一方で、退職手当や出張旅費、祝い金などの一時金は対象外です。
【年間コストの簡単な例】
- 月給25万円 × 0.6% × 12か月 = 職員本人の年間負担は1万8000円
- 同条件で賞与50万円が年2回ある場合、追加負担は6000円
合計で 2万4000円が本人の年間負担になります。
注意点として、料率は年度ごとに変わる場合があります。4月には必ず確認しましょう。また、賃金からの控除額が正しく計算されているか、給与明細のチェックも忘れずに行いたいところです。
雇用保険の手続きチェックリスト

会計年度任用職員が雇用保険に入る場合ややめる場合には、正しい手続きと期限の確認が大切です。提出が遅れると、失業手当の受け取りにも影響が出る可能性があります。ここでは、加入と喪失の流れを一覧で整理します。
資格取得のチェックリスト
- 任用通知書で週20時間以上・31日以上の勤務か確認
- 雇用保険「資格取得届」を作成
- 提出先:管轄のハローワーク
- 提出期限:任用開始月の翌月10日まで
- 被保険者番号などの入力漏れに注意
資格喪失のチェックリスト
- 任用満了・退職・時間短縮などを確認
- 「資格喪失届」を準備し、必要に応じて離職票も作成
- 提出期限は、退職の翌日から10日以内
- 提出先は、同じくハローワーク
注意したいポイント
- 遅れても受け付けはされますが、失業給付の手続きが遅れる原因になります
- 雇用保険の番号や任用期間の記入ミスもよくあるので、控えは必ず取っておきましょう
手続きを正しく行えば、万が一の離職時にもスムーズに次のステップへ進めます。
雇用保険と退職手当の扱い

会計年度任用職員が退職する際、「退職手当」と「失業給付(雇用保険)」の両方が関わってくる場合があります。ただし、どちらも同時に満額もらえるわけではありません。
退職手当がもらえる条件
- フルタイム勤務で、6か月以上連続勤務(1か月あたり18日以上)
- パートタイムは基本的に対象外
失業給付が受けられる条件
- 雇用保険に加入していた
- 被保険者期間が通算で12か月以上ある
- ハローワークで手続きを行い、求職活動をしている
違いを確認
比較項目 | 退職手当 | 失業給付 |
---|---|---|
支給対象 | 6か月超のフルタイム職員 | 雇用保険加入者 |
支給のタイミング | 退職後すぐまたは1~2か月後 | ハローワーク手続き後 |
もらえる内容 | 一時金 | 月ごとに分割で支給される |
注意したいのは、フルタイムの会計年度任用職員は退職手当制度があるため、雇用保険の適用除外となる場合が多く、その場合は失業給付を受けられません。雇用保険に加入していれば、退職手当を受け取った後でも失業給付を受けることは可能です。
また、パートタイム職員であっても、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合は雇用保険に加入でき、失業給付の対象となる場合があります。
退職前に人事担当へ、どちらが自分に有利かを確認するのが安心です。

【会計年度任用職員】雇用保険の加入条件と手続き(まとめ)
記事のポイントをまとめます。
- パートタイムでも週20時間以上かつ31日以上の任用見込みがあれば雇用保険に加入できる
- 昼間の学生は原則として雇用保険の対象外
- 契約書に記載された所定労働時間が基準となる(残業は含まれない)
- フルタイムでも6か月を超えて勤務すると退職手当の対象となり雇用保険から除外される
- 雇用保険加入者は退職後に失業給付や育児休業給付を受けられる可能性がある
- 雇用保険料は月給や賞与などに保険料率をかけて計算される
- 2024年度の保険料率は職員本人0.6%、自治体負担0.95%
- 給与ソフトには勤務時間や賃金情報などを正しく入力する必要がある
- 雇用保険加入・喪失時には資格取得届・喪失届の提出が必要
- 届出の提出期限は取得が翌月10日まで、喪失が退職翌日から10日以内
- フルタイム職員は退職手当と雇用保険給付の併用は原則できない
- パートタイム職員は退職手当は受けられないが雇用保険給付の対象になりやすい
- 共済組合と雇用保険は役割が異なり、重複加入のリスクもある
- 雇用保険の対象賃金には通勤手当や残業代も含まれる
- 契約内容の確認と書面での記録が雇用保険の正確な適用に重要である
