会計年度任用職員の保育士として働くことを考えている人や、現在働いている人の中には「待遇が悪いのでは?」と不安に思っている人も多いでしょう。「会計年度任用職員の保育士は待遇がひどい」と検索する人が多いのも、それだけ働きづらさを感じている現場があるからです。
会計年度任用職員の保育士は、正規職員と同じように担任も任されることがありますが、給与や雇用の安定性には大きな違いがあります。保育士の年収は正規職員と比べて低く、昇給もほぼないため、将来のキャリアに悩む人も少なくありません。
一方で、公立保育園で働けるというメリットや、フルタイム・パートタイムの選択肢があることも魅力の一つです。この記事では、会計年度任用職員保育士の待遇や働き方の実態を詳しく解説し、正規職員との違いやキャリアアップの可能性についても紹介します。
- 会計年度任用職員の保育士の仕事内容や雇用形態の特徴
- 正規職員との給与や待遇の違い、年収の差
- 担任を任されることもある業務負担の実態
- メリット・デメリットやキャリアアップの可能性
会計年度任用職員で働く保育士の待遇はひどい?

- 会計年度任用職員の保育士とは?
- 正規職員との違いは?保育士の年収
- デメリットも多い?厳しい現実
- 担任も任される?
会計年度任用職員の保育士とは?
会計年度任用職員の保育士とは、公立保育園で働く非正規の地方公務員です。雇用期間は1会計年度(4月1日から翌年3月31日まで)を基本とし、条件を満たせば更新も可能ですが、無期雇用への転換はありません。仕事内容は正規職員とほぼ変わらず、子どもの保育、保護者対応、行事の準備、書類作成など多岐にわたります。
雇用形態としては、フルタイムとパートタイムの2種類に分かれます。
- フルタイム
正規職員と同じように働き、週5日勤務が一般的 - パートタイム
勤務時間が短く、日数も少ないケースが多い
待遇面では、給与や手当、休暇などは正規職員に準じて設定されます。また、勤務時間に応じて社会保険にも加入します。ただし、正規職員との待遇差は依然として存在しています。
会計年度任用職員制度は、2020年4月から導入されましたが、雇用の安定性や待遇の低さが課題となっています。これにより、保育士の人材確保が難しくなっている自治体も少なくありません。
正規職員との違いは?保育士の年収

会計年度任用職員の保育士と正規職員の大きな違いは、給与や雇用の安定性です。会計年度任用職員の給与は自治体ごとに異なりますが、正規職員と比べると低めに設定されている傾向があります。
以下に、両者の待遇を比較しました。
項目 | 正規職員 | 会計年度任用職員 |
---|---|---|
平均月給 | 約23万~30万円 | 約15万~20万円 |
年収 | 約350万~450万円 | 約200万~280万円 |
賞与(ボーナス) | あり(年2回) | あり(低めの額) |
昇給 | 毎年あり | ほぼなし |
退職金 | あり | なし |
雇用期間 | 定年まで | 1年ごとの契約 |
会計年度任用職員は、毎年契約を更新しなければならず、長期的なキャリア形成が難しい点がデメリットです。また、給与の昇給がない場合が多いため、働き続けても収入が上がりにくいのが現状です。
一方で、正規職員は安定した雇用が保証され、退職金や昇給の制度が整っています。そのため、待遇面を重視するなら、正規職員を目指すことが重要です。
デメリットも多い?厳しい現実

会計年度任用職員の保育士は、非正規公務員として働くため、待遇や雇用の安定性に課題があります。特に、給与面やキャリアアップの難しさが大きなデメリットとして挙げられます。
まず、給与の低さが問題です。正規職員と同じ業務を担当していても、給与は低めに設定されており、昇給の機会も限られています。期末手当(ボーナス)が支給されるようになりましたが、退職金は依然として支給されないため、長く働いたとしても老後の資金を十分に確保しにくい状況です。
次に、契約更新の不安も大きな課題です。会計年度任用職員は1年または3年ごとに契約を更新する仕組みのため、次年度の雇用が保証されていません。これにより、長期的なキャリアプランを立てにくく、生活設計にも影響を与えます。
さらに、業務量の多さも厳しい点の一つです。正規職員と同じように子どもの保育、行事の準備、保護者対応などを担当しますが、人手不足の影響で一人あたりの負担が重くなりがちです。特に、経験が浅い保育士にとっては、大きなプレッシャーとなることもあります。
このように、会計年度任用職員保育士にはデメリットが多く、働き続けるには強い意志と対策が必要です。
担任も任される?

会計年度任用職員の保育士は、園や自治体によって異なりますが、正規職員と同様の業務を担うこともあります。そのため、担任を任されるケースも珍しくありません。しかし、正規職員と比べて待遇が低いため、業務の負担と責任のバランスが取れていないことが問題視されています。
会計年度任用職員の主な業務
- クラス担任(フルタイムの場合)
- 保護者対応
- 行事の準備と運営
- 子どもの発達記録の作成
- 園内の清掃や環境整備
担任を持つと、保護者対応や行事準備など、通常業務に加えて責任が増します。特に、保護者からの相談やクレーム対応は精神的な負担が大きく、ストレスの原因となる場合があります。
また、会計年度任用職員は基本的に年度ごとの契約のため、子どもたちと長く関わることができない可能性があります。担任を任されても、次年度の契約が更新されなければ、途中で関係が途切れてしまうこともあります。
一方で、園によっては早期から担任の経験を積むことに重きを置いている場合もあり、保育経験が少ない保育士さんに担任を任せる場合もあります。
このように、会計年度任用職員の保育士が担任を受け持つことは珍しくありませんが、その負担や責任が正規職員と同等であるにもかかわらず、待遇が追いついていないという課題があります。適正な業務分担や待遇改善が求められるでしょう。
会計年度任用職員で働く保育士の待遇と将来性

- 処遇改善は期待できる?
- キャリアアップは可能?
- 保育士のメリットとは?
- 会計年度任用職員で働く保育士の待遇はひどい?(まとめ)
処遇改善は期待できる?
会計年度任用職員保育士の待遇は、自治体ごとに異なりますが、全体的に正規職員と比べて低いのが現状です。しかし、近年では待遇改善の動きも見られます。
給与と手当の改善
一部の自治体では、給与水準を引き上げたり、手当を増やしたりする取り組みが進んでいます。
- 期末手当(ボーナス)の支給額が増える自治体もある
- 通勤手当や扶養手当が正規職員と同じ基準で支給される場合もある
- 研修手当が支給されるケースもある
ただし、これらはすべて自治体ごとの対応であり、全国一律の改善ではありません。
雇用の安定化
多くの会計年度任用職員は1年ごとの契約更新ですが、一部では複数年契約を導入する自治体も出てきました。また、優秀な職員を正規職員に登用する制度を設ける動きも広がっています。
研修機会の拡充
正規職員と同じ研修を受けられるようになった自治体もあり、スキルアップのチャンスが増えています。これにより、キャリアアップが期待できる場面もあります。
まだまだ課題も多い
一方で、改善が進んでいない自治体もあり、待遇に大きな差があるのが現状です。給与や手当の引き上げはあっても、正規職員との格差は依然として大きいため、さらなる改善が求められます。
処遇改善の流れはあるものの、全員に平等な変化があるわけではありません。今後は、より多くの自治体が待遇改善に取り組むことが期待されます。
キャリアアップは可能?

会計年度任用職員として働きながら正規職員を目指すことは可能ですが、簡単ではありません。
正規職員への登用制度
自治体によっては、会計年度任用職員から正規職員への登用試験を実施しています。
- 筆記試験や面接をクリアすれば、正規職員として働ける
- しかし、募集枠が少なく、競争率が高い自治体も多い
資格やスキルの向上がカギ
正規職員になるためには、スキルアップが重要です。
- 研修を受けて専門性を高める
- 保育士資格のほかに、幼稚園教諭免許や障がい児保育の資格を取得する
- 実績を積み、上司や同僚からの評価を得ることも大切
他の選択肢も考える
正規職員にこだわらず、待遇の良い民間保育園や企業内保育所へ転職する選択肢もあります。
会計年度任用職員からキャリアアップを目指す場合、計画的に準備し、積極的に行動することが求められます。
保育士のメリットとは?

会計年度任用職員の保育士には、安定した雇用や働きやすい環境といったメリットがあります。正規職員と比べると制約もありますが、状況によっては魅力的な働き方といえるでしょう。
公務員としての安定した待遇
- 地方自治体に雇用されるため、給与や社会保険がしっかりしている
- 期末手当(ボーナス)が支給される自治体もある
- 公立保育園での勤務が中心となり、安定した環境で働ける
勤務時間が比較的柔軟
- 勤務時間が決まっており、残業が少ない場合が多い
- 育児や家事と両立しやすい
- パートタイム勤務も選べるため、自分に合った働き方が可能
保育士経験を積むことができる
- 公立保育園での勤務経験は、スキルアップにつながる
- 他の自治体や民間保育園への転職時にも評価される
- 正規職員への登用制度がある自治体もあり、キャリアアップのチャンスがある
このように、会計年度任用職員は安定性や柔軟な働き方を求める人にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。
会計年度任用職員で働く保育士の待遇はひどい?(まとめ)
記事のポイントをまとめます。
- 会計年度任用職員の保育士は、公立保育園で働く非正規の地方公務員
- 雇用期間は1年ごとの契約であり、無期雇用にはならない
- 仕事内容は正規職員とほぼ変わらず、担任や保護者対応も任されることがある
- 給与は正規職員より低く、昇給の機会がほとんどない
- 期末手当(ボーナス)が支給されるが、額は少なめ
- 退職金がなく、長期的な生活設計がしにくい
- 毎年契約更新が必要なため、雇用の不安定さがある
- 契約が更新されない可能性があり、キャリアプランを立てにくい
- 人手不足の影響で業務負担が重くなりがち
- 正規職員と同じ仕事をしても待遇の差が大きい
- 自治体によっては待遇改善が進んでいるが、格差がある
- 正規職員への登用制度がある自治体もあるが、競争率が高い
- 研修の機会が増えてきているが、待遇には直結しにくい
- フルタイムとパートタイムがあり、働き方を選べる場合もある
- 保育士経験を積むことはできるが、将来の安定にはつながりにくい
