市役所の採用面接を控えている中で、「この言葉遣いで合っているだろうか」と不安に感じていませんか。特に、民間企業の就職活動で使い慣れた市役所の敬称について、自信を持てない方も少なくないはずです。
この記事では、多くの方が迷いがちな市役所の丁寧な呼び方について、その結論を明確に示します。さらに、言葉遣いの問題だけでなく、面接で調べておくことや、志望動機が思いつかないといった公務員試験特有の悩みにも対応します。
市の魅力を面接で効果的に伝える方法から、採用担当者に好印象を与えるための具体的な準備まで、あなたの疑問や不安を解消するための情報を網羅的に解説します。
- 市役所に対して「御社」がなぜ不適切なのかがわかる
- 面接や書類で使うべき正しい敬称や呼び方を学べる
- 説得力のある志望動機や自己PRの作り方が身につく
- 面接官に好印象を与えるための具体的な準備がわかる
市役所への「御社」はNG?正しい敬称と基本

- 市役所の敬称は「御社」で正しい?
- 貴市?貴庁?書類で使う正しい敬称
- 面接での市役所の呼び方は?
市役所の敬称は「御社」で正しい?

市役所などの公的機関に対して「御社」という敬称を使うのは、不適切です。民間企業の就職活動を経験した方ほど無意識に使ってしまうことがありますが、面接などの場で使用すると、基本的なマナーを理解していないと判断される可能性があります。
なぜなら、「御社」は株式会社や有限会社といった法人企業に対して使われる敬称だからです。市役所は利益を追求する企業とは組織の性質が根本的に異なります。そのため、公的機関には、それにふさわしい別の敬称を用いるのが正しいマナーとなります。
この違いを理解しておくことは、社会人としての基礎知識であり、公務員を目指す上での第一歩と言えるでしょう。
貴市?貴庁?書類で使う正しい敬称

エントリーシートや履歴書といった書類作成において、正しい敬称を選ぶことは、あなたの評価を左右する大切なポイントです。市役所への応募書類では、「貴市」または「貴所」を用いるのが一般的です。
「貴市」は、市そのものや、市の行政全体を指す場合に適しています。一方で「貴所」は、市役所という建物や組織そのものを指す、よりフォーマルな表現です。
一般的には「貴市」を使えば問題ありませんが、文脈に応じて使い分けるのが望ましいでしょう。例えば、「貴市の福祉政策に共感しました」のように市の取り組みに言及する場合は「貴市」が自然です。
また、市役所以外の様々な組織にもそれぞれ適した敬称があります。以下の表を参考に、相手に応じた正しい言葉遣いを心がけてください。
宛先の種類 | 文中での敬称 | 宛名の書き方(例) |
市役所 | 貴市、貴所 | 〇〇市役所 御中 |
県庁・府庁 | 貴県、貴府、貴庁 | 〇〇県庁 御中 |
省庁 | 貴省、貴庁 | 〇〇省 御中 |
法人全般(会社等) | 貴社 | 株式会社〇〇 御中 |
学校法人 | 貴学、貴校 | 〇〇大学 御中 |
病院 | 貴院 | 〇〇病院 御中 |
なお、「貴市様」のように敬称を重ねることは誤りです。「貴」という漢字自体に敬意が含まれているため、注意が必要です。
面接での市役所の呼び方は?

面接のような会話の場面では、書き言葉とは少し異なる呼び方が求められます。最も自然で推奨されるのは、「〇〇市」と自治体名をそのまま呼ぶ方法です。
書き言葉で用いる「貴庁」や「御庁」といった表現は、話し言葉で使うと非常に堅苦しく、不自然な印象を与えてしまう可能性があります。面接官も日常業務でそのような呼ばれ方はしないため、かえって違和感を持たれるかもしれません。
また、「市役所様」という呼び方も、丁寧ではあるものの、ビジネスライクに聞こえがちで一般的ではありません。「〇〇市さん」もややカジュアルな印象を与えるため、避けた方が無難でしょう。
面接はコミュニケーションの場です。無理に難しい言葉を使うよりも、「〇〇市の取り組みに感銘を受けました」というように、シンプルかつ明確に話すことが、あなたの誠実さを伝える上で最も効果的です。
用語 | 口語面接での使用 | 備考 |
〇〇市 | ◎(最も自然・推奨) | これだけで敬意は十分に伝わる |
御庁・貴庁 | △(避けるべき) | 堅苦しく不自然な印象を与える |
市役所様 | △(避けるべき) | 違和感を持たれる可能性がある |
御社 | ×(誤用) | 企業向けの表現であり、絶対に使用しない |
市役所への「御社」はNG?ミスを防ぎ面接を突破する戦略

- 面接前に必ず調べておくこと
- 志望動機が思いつかない時のフレームワーク
- 地元以外の受験者が語るべき志望動機のポイント
- 面接でやってはいけない逆質問とは?
- 市役所へ「御社」はNG?疑問を解消し、面接を突破する戦略(まとめ)
面接前に必ず調べておくこと

市役所の面接を突破するためには、志望する自治体への深い理解が不可欠です。付け焼き刃の知識では、すぐに見抜かれてしまいます。ここでは、他の受験者と差をつけるための具体的な情報収集術を紹介します。
公式サイトで基本情報を徹底的に調べる
まずは、自治体の公式サイトを隅々まで確認することから始めましょう。特に以下の項目は必読です。
- 総合計
自治体の将来像や目標、重点施策がまとめられた「設計図」です。これを読み解くことで、自治体が何を目指しているのかを把握できます。 - 市長のメッセージ
トップの考えやビジョンを知ることで、志望動機に深みを持たせられます。 - 予算資料
どこにお金を重点的に配分しているかを見ることで、自治体が直面している課題や優先事項が明確になります。
住民目線でリアルな情報を集める
公式サイトの情報に加え、住民向けの媒体からも情報を集めることが大切です。
- 広報誌や議会だより
地域に密着した課題や、具体的な取り組みが紹介されています。バックナンバーを読めば、課題の変遷も追うことができます。 - SNSや地域ニュース
住民の生の声や、自治体に対する客観的な評価を知る手がかりとなります。
実際に街を歩いて五感で感じる
可能であれば、実際に自治体を訪れて、自分の目で街の様子を確認することをお勧めします。駅前の雰囲気、公共施設の状況、住民の方々の様子などを肌で感じることで、公式サイトの情報だけでは得られないリアルな発見があります。この一次情報が、あなただけのオリジナルの志望動機や自己PRに繋がるのです。
志望動機が思いつかない時のフレームワーク

「地域に貢献したい」という気持ちはあっても、それを説得力のある志望動機として言語化するのは難しいものです。ここでは、自己分析と市の政策を結びつけ、論理的な志望動機を構築するためのフレームワークを紹介します。特別な経験がなくても作成可能です。
ステップ1:結論(なぜ、ここで働きたいか)
まず初めに、「私は〇〇市の△△という課題解決に貢献したく、志望いたしました」というように、志望動機の中核となる結論を明確に述べます。
ステップ2:理由(なぜ、そう思うようになったか)
次に、結論に至った理由を、あなた自身の過去の経験と結びつけて説明します。これは、華々しい実績である必要はありません。「学生時代のボランティア活動で、高齢者の方々と触れ合う中で福祉の重要性を感じた」といった、身近なエピソードで十分です。
重要なのは、その経験を通じて何を学び、どのような価値観を持つようになったかを具体的に語ることです。
ステップ3:具体例(なぜ、この市でなければならないか)
続いて、数ある自治体の中で、なぜこの市を選んだのかを具体的に説明します。ここで、事前に調べた市の政策や取り組みが生きてきます。「〇〇市が特に力を入れている△△という施策は、私の経験を最も活かせると考えました」というように、自分の経験と自治体の特徴をリンクさせることが鍵となります。
ステップ4:未来(どのように貢献したいか)
最後に、市役所職員としてどのように貢献していきたいか、将来のビジョンを語ります。「市民一人ひとりの声に耳を傾け、変化に対応できる職員になりたいです」といった形で、あなたの熱意と意欲を伝えましょう。
地元以外の受験者が語るべき志望動機のポイント

地元以外の自治体を受験する場合、面接官が最も知りたいのは「なぜ、わざわざこの市を選んだのか」という点です。縁もゆかりもない地域を志望する際には、地元出身者以上に説得力のある理由が求められます。
ポイント1:自治体のビジョンや政策への深い共感を示す
まず、その自治体が掲げるビジョンや、特に力を入れている政策に対して、深く共感している点を具体的に伝えましょう。「〇〇市が推進する△△という先進的な取り組みに魅力を感じ、自分もその一員として貢献したい」というように、他の自治体にはない独自性を挙げることが有効です。
ポイント2:客観的な視点を強みとしてアピールする
地元ではないからこそ持てる「客観的な視点」は、大きな強みになります。地元出身者では当たり前になってしまっていることにも、新たな視点から課題を発見し、改善提案ができるかもしれません。「外部の視点から、〇〇市の新たな魅力を発掘したい」といったアピールは、あなたの価値を高めるでしょう。
ポイント3:訪問経験や具体的な関わりを語る
実際にその地域を訪れた経験は、何よりの説得材料となります。「観光で訪れた際に、市民の方々の温かさに触れて好きになった」というきっかけから、「職員として、この街の発展に貢献したいと強く思うようになった」というように、動機が深まった経緯をストーリーとして語ることが大切です。
訪問が難しい場合でも、その市の特産品を取り寄せたり、関連イベントに参加したりといった、具体的な関わりを示すことが好印象に繋がります。
面接でやってはいけない逆質問とは?

面接の最後に設けられる「何か質問はありますか?」という逆質問の時間は、あなたの意欲や人柄をアピールする絶好の機会です。しかし、質問の内容によっては、かえって評価を下げてしまう危険性もあります。
NG例1:待遇や福利厚生に関する質問
「給与はいくらですか」「休暇は取りやすいですか」といった待遇に関する質問は、「仕事内容よりも条件面しか見ていない」という印象を与えかねません。公務員としての職務への関心が低いと判断される可能性があるため、避けるべきです。
NG例2:調べればすぐにわかる質問
「市の人口は何人ですか」「総合計画の基本目標は何ですか」など、公式サイトを見ればすぐにわかるような内容を質問するのは、準備不足の表れです。事前に徹底的にリサーチした上で、さらに一歩踏み込んだ質問をすることが求められます。
NG例3:「特にありません」と答える
質問の機会を与えられているにもかかわらず、「特にありません」と答えてしまうと、自治体への興味や働く意欲が低いと見なされてしまいます。必ず1つか2つは、質の高い質問を準備しておきましょう。
好印象を与える逆質問の作り方
評価を高める逆質問とは、「入庁後に自分が活躍・貢献する姿」を面接官にイメージさせるものです。例えば、「若手職員のうちに身につけておくべきスキルや視点は何でしょうか」といった成長意欲を示す質問や、「〇〇という課題に対して、現在現場の職員の方々はどのように取り組んでいらっしゃいますか」のように、具体的な業務への深い関心を示す質問が効果的です。
市役所へ「御社」はNG?疑問を解消し、面接を突破する戦略(まとめ)
この記事では、市役所の面接や書類作成における言葉遣いから、合格を勝ち取るための具体的な戦略までを解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。
- 市役所への敬称として「御社」は不適切
- 「御社」は営利を目的とする民間企業への敬称
- 書類などの書き言葉では「貴市」や「貴庁」が基本
- 面接などの話し言葉では「〇〇市」と呼ぶのが最も自然
- 「貴市様」のような敬称の重複は誤り
- 面接前には総合計画や予算資料の確認が必須
- 広報誌や現地訪問で住民目線の情報を集める
- 志望動機は自己分析と市の政策を結びつけて作成する
- 経験に基づき「なぜこの市か」を明確に言語化する
- 地元以外の受験者は客観的な視点を強みとしてアピールできる
- 市の魅力は自身の具体的なエピソードを交えて語る
- 市の課題を認識し、それに対する貢献意欲も示す
- 逆質問で給与や休暇に関する質問は避ける
- 調べればわかる内容の逆質問は準備不足の証
- 入庁後の活躍をイメージさせる意欲的な逆質問が好印象
