日本共産党とは何かをわかりやすく解説!基本から政策まで

日本共産党とは何かをわかりやすく解説!基本から政策まで

日本共産党はどんな政党なの?」「最終的な目的や思想は何だろう?」といった疑問を抱えている方は多いかもしれません。また、ニュースで耳にする共産党の考え方や、隣国の中国共産党との関係についても、詳しく知りたいと感じるのではないでしょうか。

この記事では、日本共産党の基本的なプロフィールから具体的な政策まで、様々な角度からわかりやすく解説していきます。

  • 日本共産党の基本的なプロフィールや歴史がわかる
  • 党が目指す社会や現代日本での役割がわかる
  • 自衛隊や天皇制、中国との関係など具体的な考え方がわかる
  • 選挙で訴える公約や暮らしに関わる政策がわかる
目次

日本共産党とは何かをわかりやすく解説【基本情報】

  • 日本共産党はどんな政党?議席数と組織の仕組み
  • 日本共産党の歴史を簡単に解説
  • そもそも共産主義とは?その基本理念をわかりやすく
  • 日本共産党が掲げる思想と目指す社会とは?
  • 日本共産党の目的とは?現在の日本での役割

日本共産党はどんな政党?議席数と組織の仕組み

日本共産党はどんな政党?議席数と組織の仕組み

日本共産党は、1922年に創立された日本で最も長い歴史を持つ政党です。議会制民主主義の枠組みの中で、平和や社会的公正の実現を理念に活動しています。

党の規模を示す議席数や党員数は以下の通りです。

項目人数・議席数(2024-2025年時点)備考
衆議院議席数8議席野党第5党
参議院議席数11議席野党第4党規模
地方議員数約2,257名うち女性が約4割と高い比率
党員数約25〜26万人ピーク時からは減少傾向
機関紙読者数約90万人機関紙「しんぶん赤旗」の購読者

組織と意思決定の仕組み

日本共産党の組織は、党員3人以上で構成される「支部」を基礎としたピラミッド型です。支部から地区、都道府県、中央へと階層的に組織されており、2〜3年に一度開かれる「党大会」が最高の意思決定機関となります。

党の運営は「民主集中制」という原則に基づいています。これは、党の方針を決める際には党内で民主的な議論を尽くし、一度決定したことには全党員が一致して取り組むという仕組みです。

このため、党内に派閥は存在しません。党首にあたる委員長も、党大会で選ばれた中央委員会での選挙によって選出され、個人の独断ではなく会議体での合意が重んじられます。

日本共産党の歴史を簡単に解説

日本共産党の歴史を簡単に解説

日本共産党の100年を超える歴史は、日本の近現代史そのものと深く関わっています。その歩みは、弾圧との闘い、そして時代の変化に対応するための路線の模索の連続でした。

戦前:非合法政党としての闘い

1922年の創立当初、党は非合法の存在でした。当時の絶対主義的な天皇制政府や、その後の軍国主義による侵略戦争に唯一正面から反対した政党であったため、厳しい弾圧を受けました。多くの党員が逮捕、投獄され、組織は壊滅状態に追い込まれた時期もあります。

戦後:合法化と路線の模索

1945年の敗戦後、日本共産党は合法的な政党として再出発し、戦後初の総選挙で議席を獲得しました。しかし、冷戦の激化とともに再び困難な状況に直面します。

1950年代には、旧ソ連や中国といった外国の干渉を拒否し、日本独自の「自主独立の路線」を確立しました。このとき、武力による革命を否定し、議会を通じて社会を変革していく方針を明確にしたのです。

現代:野党共闘と新たな挑戦

1970年代には都市部で支持を広げ「革新自治体」の誕生に貢献し、野党第2党にまで躍進しました。近年では、2015年の安全保障法制への反対運動をきっかけに、他の野党や市民と連携する「野党共闘」で中心的な役割を果たしています。

年代主な出来事
1922年非合法政党として創立
1945年合法化され、党を再建
1950年代「自主独立の路線」を確立し、武力革命路線を否定
1970年代都市部で躍進し、革新自治体を支える
2015年以降安保法制反対を機に「野党共闘」を本格化

日本共産党は一貫して平和と民主主義を追求しつつも、時代状況に応じて柔軟に路線を発展させてきた歴史を持つ政党です。

そもそも共産主義とは?その基本理念をわかりやすく

そもそも共産主義とは?その基本理念をわかりやすく

日本共産党の思想を理解する上で、「共産主義」や「社会主義」という言葉の基本的な意味を知っておくことが役立ちます。これらの思想は、19世紀にドイツの思想家カール・マルクスらによって体系化されました。

共産主義の根本にあるのは、「生産手段の私有をなくし、社会全体で共有することで、貧富の差や差別、抑圧のない平等な社会を実現しよう」という考え方です。ここで言う「生産手段」とは、工場、機械、土地など、富を生み出す元手となるものを指します。

一方、社会主義は共産主義へ至る前の段階と位置づけられることが多いです。両者の考え方には共通点もありますが、目指す社会の姿には違いがあります。

比較項目社会主義共産主義(マルクスの理想)
財産の扱い生産手段は社会で共有、個人の財産は一部認められるすべての財産(生産手段含む)を社会で共有
分配の方法労働に応じて分配必要に応じて分配
国家の役割国家が経済を計画・管理する最終的には国家が不要になる(死滅する)
経済システム計画経済が中心だが、市場経済を取り入れる場合もある完全な計画経済

日本共産党は、こうした思想を源流としながらも、旧ソ連や中国のような一党独裁や個人の自由を抑圧する体制は明確に否定しています。あくまで日本の実情に合わせ、議会制民主主義や基本的人権を最大限尊重した形で、社会を発展させることを目指しているのです。

日本共産党が掲げる思想と目指す社会とは?

日本共産党が掲げる思想と目指す社会とは?

日本共産党は、科学的社会主義の立場から、最終的には「社会主義・共産主義の社会」を実現することを目標に掲げています。ただし、この目標へは一足飛びに進むのではなく、段階を踏んで国民多数の合意を得ながら進むべきだと考えています。

まずは「民主主義革命」から

党が当面の目標としているのは、資本主義の枠組みの中で民主主義的な改革を徹底する「民主主義革命」です。

これは、現在の日本が抱える「大企業中心の政治」や「アメリカ言いなりの外交」といった問題を正し、憲法に定められた国民主権、平和主義、基本的人権が完全に保障される社会を作ることを指します。

暴力的な革命ではなく、選挙を通じて国民の支持を得て、民主的な連合政府を樹立することで実現するとしています。

将来の「社会主義・共産主義社会」の姿

その先の段階として展望しているのが、生産手段が社会化された社会です。これは、企業の目的が「利潤第一」から「社会全体の幸福」へと転換することを意味します。 この社会では、以下のような変化が起こるとされています。

  • 搾取のない労働
    働く人が生産の主役となり、人間らしい労働が保障されます。
  • 労働時間の大幅な短縮
    生産性が向上し、人々は増えた自由な時間で自己の能力を伸ばしたり、文化的な活動を楽しんだりできます。
  • 自由と民主主義の発展
    資本主義社会で勝ち取られてきた議会制民主主義や基本的人権、多様性などは、すべて引き継がれ、さらに豊かに発展させるとしています。

前述の通り、これは旧ソ連や中国で見られたような、個人の自由を抑圧し、国家がすべてを統制する社会とは全く異なるものです。日本共産党は、あくまで日本独自の自由で民主的な社会の発展の先にこの未来像を描いています。

日本共産党の目的とは?現在の日本での役割

日本共産党の目的とは?現在の日本での役割

日本共産党の目的は、長期的な理想社会の実現と、”今の日本”が直面する課題の解決という二つの側面から理解することができます。

長期的な目標は、搾取や抑圧のない「社会主義・共産主義社会」の実現です。しかし、党が現在の活動で最も重視しているのは、そこに至る前の段階、すなわち資本主義の枠組みの中で国民の暮らしと権利を守り、民主主義を徹底することにあります。

当面の目標:「民主連合政府」の樹立

党綱領が示す当面の目的は、今の政治のあり方を根本から変える「民主主義革命」の推進です。そのために、他の野党や市民と協力して、自民党政権に代わる「民主連合政府」を樹立することを目指しています。この政府の下で、以下のような改革に取り組むとしています。

  • 憲法、特に9条を守り、平和な外交を推進する。
  • 国民の暮らしを最優先し、社会保障の充実や格差の是正を進める。
  • 大企業や富裕層に応分の負担を求め、公正な税制を実現する。

現代日本社会での具体的な役割

このような目標を掲げる日本共産党は、現在の日本社会でいくつかの重要な役割を担っています。

第一に、国会における「政権の監視役」です。政府や与党の政策の問題点を鋭く追及し、政治とカネの問題などを調査・告発することで、権力のチェック機能を果たしています。

第二に、市民運動や草の根の活動を支える役割です。全国に広がる党組織のネットワークを活かし、地域の暮らしの問題から平和運動まで、さまざまな国民的運動と連携し、その声を政治に届ける活動を展開しています。

そして第三に、現状とは異なる社会のあり方、つまり「オルタナティブ」を提示する役割です。格差の拡大や気候危機といった現代的な課題に対し、独自の具体的な対案を示し、社会の議論を活性化させています。

現代の日本共産党とは何かをわかりやすく知る【政策編】

現代の日本共産党とは何かをわかりやすく知る【政策編】
  • 共産党の考え方とは?自衛隊や天皇制への見解
  • 日本共産党の公約まとめ|選挙での訴えとは?
  • 日本共産党と中国の関係|主張が対立する理由
  • 機関紙しんぶん赤旗とは?党の主張を知る方法
  • 日本共産党とは何かをわかりやすく解説(まとめ)

共産党の考え方とは?自衛隊や天皇制への見解

共産党の考え方とは?自衛隊や天皇制への見解

日本共産党の政策や理念を語る上で、多くの人が疑問に思うのが「自衛隊」「天皇制」「日米安全保障条約」という国の根幹に関わるテーマへの考え方です。党はこれらの問題に対し、憲法を基準とした明確な立場を持っています。

自衛隊に対する立場

日本共産党は、自衛隊を「憲法9条に違反する存在」だと考えています。しかし、だからといって「直ちに解体する」という立場ではありません。党が政権に参加した場合でも、国民の合意なしに自衛隊をなくすことはしないと明言しています。

将来的に、アジア地域での平和な環境が確立され、国民の大多数が「軍隊がなくても安全だ」と判断する状況が生まれたときに、国民的な合意のもとで段階的に軍縮を進め、憲法9条が完全に実施される社会を目指す、という現実的な「段階的アプローチ」を採っています。

それまでの間は、急迫不正の侵害があった場合には自衛隊を限定的に活用することも否定していません。

天皇制に対する立場

天皇制についても、憲法上の制度として認めています。党の綱領では、天皇の地位を「国政に関する権能を有しない」と定めた憲法の条項を厳格に守ることを求めています。

その上で、この制度を将来も維持するかどうかは、情勢が熟したときに「国民の総意によって解決されるべき」ものだとしています。つまり、党が一方的に廃止を主張するのではなく、最終的な判断は国民に委ねるという立場です。

日米安保条約に対する立場

日米安保条約については、「廃棄」を掲げています。この条約がある限り、日本はアメリカの戦争に巻き込まれる危険があり、全国の米軍基地が主権侵害や事件・事故の原因になっていると考えているからです。

条約を廃棄した後は、軍事同盟ではない、対等・平等な「日米友好条約」を結ぶことを提案しています。安全保障については、軍事同盟に頼るのではなく、憲法9条を活かした平和外交によってアジア諸国との信頼関係を築くことで確保すべきだと主張しています。

日本共産党の公約まとめ|選挙での訴えとは?

日本共産党の公約まとめ|選挙での訴えとは?

日本共産党が選挙で有権者に訴える公約は、「暮らし・経済」「平和」「ジェンダー平等」を大きな柱としています。特に、物価高騰や長引く不況の中で、国民の生活を守るための具体的な政策を前面に打ち出しているのが特徴です。

暮らしと経済を立て直す政策

経済政策の最大の目玉は「消費税の減税」です。まず税率を5%に引き下げ、将来的には廃止することを目指しています。これは、所得の低い人ほど負担が重くなる消費税を減らすことが、最も効果的な生活支援策だと考えているためです。

この減税で生じる財源は、大企業や富裕層への優遇税制を見直し、応分の負担を求めることで確保するとしています。

また、働く人の賃金を引き上げることも重視しています。最低賃金を全国どこでも時給1,500円以上にすることを目指し、そのための費用を国が補助する形で中小企業を直接支援する政策を掲げています。

ジェンダー平等と多様性の尊重

日本共産党は、ジェンダー平等の実現を最も重要な課題の一つと位置づけています。具体的な公約としては、以下のようなものがあります。

  • 選択的夫婦別姓の実現
  • 同性婚の法制化
  • 男女間の賃金格差の是正

こうした政策を通じて、誰もが性別にかかわらず、自分らしく生きられる社会を目指しています。

平和と憲法を守る姿勢

外交・安全保障政策では、一貫して憲法9条を守る立場を鮮明にしています。防衛費の増額や敵基地攻撃能力の保有に反対し、軍事力に頼るのではなく、対話と協力による平和な外交を推進すべきだと訴えています。沖縄の辺野古新基地建設の中止も、重要な公約の一つです。

日本共産党と中国の関係|主張が対立する理由

日本共産党と中国の関係|主張が対立する理由

日本共産党と中国共産党は、同じ「共産党」という名前を持つため、関係が深い、あるいは考え方が同じだと誤解されることがあります。しかし、実際には両党の関係は複雑で、多くの点で鋭く対立しています。

歴史的な断絶と根本的な思想の違い

両党はかつて「兄弟党」と呼ばれた時代もありましたが、1960年代に中国で文化大革命が始まると、その路線をめぐって深刻に対立し、関係が断絶しました。

根本的な違いは、社会主義や国家のあり方に対する考え方にあります。日本共産党は、どのような社会体制であっても、国民主権、基本的人権、自由、民主主義といった原則が保障されるべきだと考えています。

一方、中国共産党は、党が国家を指導する一党独裁体制をとり、言論の自由や体制批判を厳しく制限しています。日本共産党は、このような体制を「社会主義とは無縁の暴政」だと厳しく批判しているのです。

人権問題や覇権主義での対立

この思想の違いは、具体的な問題に対する姿勢にも表れています。

  • 人権問題
    日本共産党は、香港や新疆ウイグル地区における深刻な人権侵害に対し、国際社会と連帯して強く抗議しています。
  • 覇権主義
    東シナ海や南シナ海における中国の力による現状変更の試みに対しても、「国際法を無視した覇権主義だ」と明確に反対の立場をとっています。尖閣諸諸島は歴史的にも国際法上も日本の領土であるという立場も一貫しています。

日本共産党は「自主独立」の立場から、たとえ同じ「共産党」の名を持つ相手であっても、その行動が国際的なルールや人権の原則に反すると判断すれば、躊躇なく批判します。両党は、目指す社会像や価値観が全く異なる、別の政党だと理解することが大切です。

機関紙しんぶん赤旗とは?党の主張を知る方法

機関紙しんぶん赤旗とは?党の主張を知る方法

日本共産党の考え方や日々の活動を直接知るための最も重要な情報源が、党が発行する機関紙「しんぶん赤旗」です。政党が発行する機関紙としては日本で最大の発行部数を誇り、日刊紙と、より幅広い層に向けた日曜版があります。

党の情報発信ツールとしての役割

しんぶん赤旗は、党の政策や国会での論戦、地方での活動などを国民に伝えるための最も重要なメディアです。党の公式な見解や声明は、まずこの紙面を通じて発表されます。党の財政面においても、政党交付金を受け取らない日本共産党にとって、赤旗の購読料は党の活動を支える貴重な収入源となっています。

ジャーナリズムとしての評価

しんぶん赤旗は、単なる党の宣伝紙にとどまらない役割も果たしています。特に、権力に対する監視機能は高く評価されることがあります。

近年では、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題を他の大手メディアに先駆けてスクープしたほか、過去には「桜を見る会」の問題を追及し、国会で大きな議論を巻き起こすきっかけを作りました。

一般の新聞やテレビが報じにくい問題に深く切り込む調査報道は、ジャーナリズムとしての赤旗の一つの特徴と考えられます。

ただし、党員数がピーク時から減少しているのに伴い、赤旗の購読者数も減少傾向にあるという課題も抱えています。現在は紙媒体だけでなく、電子版やSNSでの情報発信にも力を入れています。

日本共産党とは何かをわかりやすく解説(まとめ)

記事のポイントをまとめます。

  • 日本共産党は1922年創立の日本で最も歴史ある政党
  • 戦前は非合法で弾圧され、戦後に合法政党となった
  • 組織運営は党内民主主義と決定事項への全員参加を原則とする「民主集中制」
  • 党内に派閥は存在しない
  • 思想の源流はマルクスらが体系化した共産主義・社会主義にある
  • ただし、旧ソ連や中国のような一党独裁や人権抑圧は明確に否定している
  • 最終目標は搾取や格差のない社会主義・共産主義社会の実現
  • 当面の目標は選挙を通じた「民主連合政府」の樹立
  • 現代の役割は政権の監視、草の根運動の支援、政策の対案提示
  • 自衛隊は違憲としつつも、国民合意のもとで段階的に軍縮を目指す
  • 天皇制は憲法上の制度と認め、その存廃は国民の総意に委ねる
  • 日米安保条約は廃棄し、対等な日米友好条約の締結を主張
  • 公約は消費税減税や最低賃金1500円など暮らし重視の政策が中心
  • 中国共産党とは思想や体制が全く異なり、人権問題や覇権主義で鋭く対立
  • 機関紙「しんぶん赤旗」は党の主張を知る重要な情報源であり、調査報道でも評価されることがある
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