「公務員の人事評価でB評価ばかり…」このようにお感じなら、その理由や評価制度の詳しい仕組みについて知りたいとお考えかもしれません。
毎年の評価がなぜB評価に落ち着きやすいのか、そしてそれがご自身のキャリアや給与にどう影響するのかは、多くの方が関心を持つ点です。
また、地方公務員の人事評価におけるA評価の割合はどの程度か、あるいは地方公務員の人事評価でC評価が付くことは何を意味するのか、といった具体的な疑問もあることでしょう。
さらに、公務員の人事評価とボーナスの関連性や、時折耳にする公務員の人事評価が不公平だという声、そして地方公務員の人事評価は意味がないのではないかという意見についても、この記事で分かりやすく解説します。
- 公務員の人事評価の基本的な枠組みと評価段階の詳細
- B評価、A評価、C評価がそれぞれ意味することと処遇への具体的な影響
- 人事評価の結果が昇給やボーナスにどのように反映されるのか
- 人事評価をめぐる不公平感や形骸化といった問題点とその背景
公務員の人事評価でB評価ばかり?制度の概要と各評価の実態

- 公務員の評価は6段階ですか?
- 地方公務員における人事評価Bの位置づけ
- 地方公務員の人事評価でA評価の割合
- A評価の昇給は?
- 地方公務員の人事評価でCがつく理由と処遇
- B評価が続く場合の昇給やキャリアへの影響は
公務員の評価は6段階ですか?
公務員の人事評価制度は、職員の能力や実績を公正に評価し、人材育成や組織活性化を促すための重要な仕組みです。この制度は主に「能力評価」と「業績評価」の2本柱で成り立っています。能力評価では職務遂行上の能力を、業績評価では設定目標の達成度をそれぞれ評価します。
評価段階についてですが、国家公務員では2021年10月から、従来の5段階評価(S・A・B・C・D)が見直され、B評価部分を「優良」と「良好」に分けた6段階評価が採用されました。これにより、よりきめ細かい評価が可能になっています。
一方、地方公務員の評価段階は、国の制度を参考にしつつも、各自治体が定めています。多くの自治体では5段階評価が主流ですが、6段階評価を導入する動きも一部で見られます。
そのため、「公務員の評価は6段階か」という問いには、「国家公務員は6段階、地方公務員は5段階が主流だが自治体による」と答えになるのが現状です。
評価段階の主な違い
組織区分 | 評価段階の例(上位から) | 備考 |
---|---|---|
国家公務員 | 卓越・非常優秀・優良・良好・やや不十分・不十分 | 2021年10月より6段階評価に細分化 |
地方公務員 | S・A・B・C・D など(5段階が主流) | 各自治体の規定により異なる場合がある |
ご自身の正確な評価段階については、所属する組織の規定を確認することが大切です。
地方公務員における人事評価Bの位置づけ

地方公務員の人事評価において「B評価」は、多くの場合「標準的」または「期待通り」の業務遂行がなされたことを示す評価として位置づけられます。これは、組織が職員に求める役割や責任を適切に果たしている状態を指します。
具体的にB評価が示す期待水準とは、日常業務を安定的にこなし、与えられた職務目標や業務基準を大きな問題なく達成しているレベルです。特筆すべき顕著な成果や貢献はないものの、業務遂行上、特に不足している点も見られない、いわば平均的なパフォーマンスがこの評価に該当します。
このB評価は、昇給や勤勉手当(ボーナス)の算定において、基準となる評価として扱われる場合が一般的です。つまり、A評価のような特別な加算はないものの、C評価のようなマイナスの影響も受けにくい、安定した処遇の基礎となる評価と考えることができます。
しかし、多くの職員の評価がこのB評価に集中する「評価の中央化」という傾向が見られる場合もあります。これは予算や組織運営上のバランスを考慮した結果かもしれませんが、職員のモチベーション維持の観点からは課題となる可能性も指摘されています。
地方公務員の人事評価でA評価の割合
地方公務員の人事評価でA評価(優秀な評価)を得られる職員の割合は、自治体の方針や職員数などによって変動しますが、一般的には全体の20%~30%程度に設定されていることが多いようです。
ただし、自治体によってはA評価の割合がこれより高く設定されている場合もあります。最上位のS評価がさらにその一部であることを考えると、A評価も比較的限られた職員に与えられる評価と言えます。
A評価の割合が一定程度に抑えられる主な理由として、まず人件費の制約が挙げられます。A評価者には昇給幅の拡大や勤勉手当の増額といった処遇改善が伴うため、無制限に付与することは財政的に困難です。そのため、上位評価の分布率に上限を設けて運用する自治体が少なくありません。
また、評価の公平性を保ちつつ、職員の意欲向上を図るというバランスも考慮されます。A評価をある程度絞ることで、その評価の価値を維持し、目標達成への動機づけとする狙いがあります。
公務員の業務は成果を数値化しにくい面もあるため、評価基準の運用や評価者の判断もA評価の割合に影響します。近年は評価の透明性や納得性を高めるため、評価基準の明確化や評価者研修の充実に力を入れる自治体が増えています。
ご自身の所属する自治体の正確なA評価の割合については、人事評価に関する公式資料などを確認するのがよいでしょう。
A評価の昇給は?

公務員の人事評価でA評価を獲得すると、昇給においてB評価(標準)の職員よりも有利な扱いを受けるのが一般的です。具体的には、昇給する号俸数が多くなり、月額給与ひいては年収に差が生じます。
公務員の給与は「級」と「号俸(号給)」で構成される給与表に基づき、定期昇給で号俸が上がることで給与が増えます。標準評価で例えば6号俸昇給するところ、A評価ではそれより多い8号俸昇給となることがあります(地方公務員では標準4号給が主流の自治体も多いです)。
1号俸あたりの昇給額は給与表や職種により異なりますが、数千円程度が一般的です。仮に1号俸1,500円で、標準が6号俸(月9,000円増)、A評価が8号俸(月12,000円増)の場合、月額で3,000円、年額で36,000円の差が出ます。
この差は単年度では小さく感じるかもしれませんが、A評価を継続することで累積し、数年後には基本給に大きな違いが生じ、退職金などにも影響する可能性があります。
ただし、実際の昇給号俸数や金額は、国家公務員か地方公務員か、また所属する自治体や省庁の給与規定によって異なります。正確な情報を知るには、ご自身の組織の規定を確認することが不可欠です。予算状況により昇給幅が変動する年度がある点も留意が必要です。
地方公務員の人事評価でCがつく理由と処遇
地方公務員の人事評価でC評価(やや不十分、または標準より下)が付く場合、いくつかの要因が考えられます。この評価は、職員の能力発揮や業績が期待水準に達していないことを示します。
C評価の主な理由として、「業績目標の未達成」が挙げられます。設定した目標に対し達成度が著しく低い場合や、努力・工夫が見られないと判断された場合です。また、「能力要件の不足」、例えば職務に必要な知識やスキルが不足している、自律的な業務遂行が困難であると見なされた場合も該当します。
「勤務態度や規律の問題」もC評価の一因です。遅刻・欠勤が多い、協調性に欠ける、服務規律違反があった場合などです。その他、評価者の判断や相対評価の結果、あるいは「改善指導対象」として認識されている場合も考えられます。
多くの自治体ではC評価は「標準より下」または「やや不十分」とされていますが、評価基準は自治体によって異なる場合があります。
C評価を受けた場合の処遇は、一般的に厳しいものとなります。昇給は抑制されるか、見送られる(昇給なし)こともあります。勤勉手当(ボーナス)も支給率が低く設定され、減額されるのが通例です。
昇進・昇格にも影響し、C評価が続くと管理職登用などが難しくなります。複数年にわたりC評価が継続し改善が見られない場合、地方公務員法に基づく分限処分(降任・降給など)が検討される場合もありますが、これは最終手段として慎重に運用されています。
C評価を受けた際は、まず評価者からのフィードバックを真摯に受け止め、具体的な課題を把握することが大切です。その上で、改善行動を起こすことが求められます。
B評価が続く場合の昇給やキャリアへの影響は
地方公務員の人事評価でB評価(標準的な評価)が続く場合、昇給やキャリアにどのような影響があるのでしょうか。B評価は「期待通りの業務遂行」と見なされるため、直ちに大きな不利益を被ることは少ないと考えられます。
昇給に関しては、B評価であれば通常、定期昇給における標準的な号俸アップが見込めます。つまり、安定的に一定額の昇給が期待できる点はメリットです。
キャリアへの影響については、短期的に見れば大きな支障はないかもしれませんが、長期的な視点ではいくつかの点が考えられます。B評価が続くということは、良くも悪くも「標準的」であり、特筆すべき成果が認められていないとも解釈できます。
そのため、上位の職階や管理職への昇進を目指す場合、A評価やS評価を継続的に得ている職員と比較すると、選考で不利になる可能性は否定できません。
また、常に標準的な業務をこなすことは重要ですが、より挑戦的な業務へのアサインは、高い評価を得ている職員に優先される傾向があるかもしれません。これが続くと、スキルアップの機会が相対的に少なくなる可能性があります。
ただし、全ての職員が常にA評価を目指す必要はありません。安定的に職務を遂行することも一つの価値ある働き方です。B評価が続く中で、自身のキャリアプランをどう描くか、上司と相談しながら目標を設定していくことが大切になると言えるでしょう。
なぜ公務員の人事評価はB評価ばかりなのか?課題と今後

- ボーナスへの波及
- 人事評価で不公平を感じる瞬間とは
- 地方公務員の人事評価は意味ない?
- B評価からの脱却は可能?評価制度の今後の動き
- 公務員の人事評価でB評価ばかりと悩む方へ(まとめ)
ボーナスへの波及
公務員の人事評価の結果は、毎年の給与昇給だけでなく、ボーナス(期末手当・勤勉手当)の支給額にも直接影響します。特に「勤勉手当」が人事評価と強く連動しています。
公務員のボーナスは「期末手当」と「勤勉手当」で構成されます。期末手当は在職期間等に応じて比較的安定的に支給されますが、勤勉手当は勤務成績、つまり人事評価の結果に基づき支給額が変動します。
具体的には、評価段階(S・A・B・C・Dなど)に応じて勤勉手当の「成績率」という係数が設定され、評価が高いほどこの率は高くなります。勤勉手当の計算式は一般的に「基礎額 × 期間率 × 成績率」です。
例えば、B評価の成績率を1.0(100%)とすると、A評価では1.1や1.2(110%や120%)、S評価ではさらに高い率が適用されます。逆にC評価では0.9(90%)など、基準より低い率となります。この成績率の差により、同じ基礎額でも人事評価が良い職員ほど勤勉手当が多くなり、年間のボーナス総額にも差が生じます。
このように、人事評価は公務員のボーナス、特に勤勉手当の額を左右する重要な要素となっています。
人事評価で不公平を感じる瞬間とは

公務員の人事評価制度は客観性や公平性を目指していますが、運用の中で職員が「不公平だ」と感じる場面が生じる場合があります。これはモチベーション低下につながる可能性がある問題です。
不公平を感じる主な場面として、まず「評価基準の曖昧さ」が挙げられます。具体的な基準が不明確な場合、評価結果への納得感が得られにくく、「なぜあの評価なのか」という疑問が生じやすいです。
次に、「評価者の主観や相性の影響」も要因です。上司の個人的な好みや人間関係が評価に影響していると感じられると、公正性に疑問を抱きます。
また、「相対評価の運用」も不公平感の一因となり得ます。上位評価の人数に上限があるため、個人の成果が高くても、他者との比較で期待した評価が得られない場合があります。これは「頑張っても報われない」という感覚を生む可能性があります。
さらに、「フィードバックの不足」も問題です。評価結果の理由や具体的な改善点の説明が不十分だと、評価から学びを得られず、不満が残りやすいです。これらの不公平感を解消するには、評価基準の明確化や評価者研修、丁寧なフィードバックが求められます。
地方公務員の人事評価は意味ない?
「地方公務員の人事評価は意味がない」といった声が聞かれることがあります。その背景には、評価結果が処遇に与える影響が小さいと感じられる点や、評価基準の曖昧さ、運用上の負担感などが挙げられます。
特に多くの職員がB評価(標準)に集中し、「頑張っても評価は変わらない」と感じやすい状況は、このような意見の一因でしょう。
また、評価者の主観が入り込む余地が大きいと感じられたり、評価のための事務作業が負担になっているにも関わらず、それが人材育成に繋がっている実感がない場合も、制度への懐疑的な見方が強まります。
しかし、全ての地方公務員の人事評価が機能不全に陥っているわけではありません。適切に運用され、職員のモチベーション向上や能力開発に貢献している自治体も存在します。評価を通じて上司と部下のコミュニケーションが促進されたり、自身の強みや課題が明確になったりするメリットもあります。
近年では、評価結果をより処遇に反映させる動きや、評価の納得性を高めるための取り組みも進んでいます。したがって、「意味がない」という意見は、制度運用上の課題を反映した一面的な見方である可能性があり、制度の本来目的である「公正な評価による人材育成と組織活性化」が実現されているかが重要です。
B評価からの脱却は可能?評価制度の今後の動き

公務員の人事評価でB評価(標準)が続く状況から、A評価など上位評価を目指すことは可能です。そのためには、自身の職務目標を明確に理解し、その達成に向けて主体的に行動することが基本です。期待される役割を確実に果たした上で、それを超える成果や貢献が求められます。
上司との密なコミュニケーションも不可欠です。期首の目標設定面談で評価基準や期待値をすり合わせ、期中も進捗や課題を報告し助言を求めることで、効果的な業務遂行につながります。自己啓発に積極的に取り組み、専門知識やスキルを高める努力も評価されるでしょう。
評価制度の今後の動きとしては、より公正で納得感のある評価を目指し、継続的な見直しが行われる傾向にあります。
評価基準の明確化、評価者研修の充実、多面評価の導入検討などがその例です。個々の職員のキャリア志向を活かした人材育成の観点から、評価とフィードバックの質を高めようとする動きも活発化しています。
これらの動きは、職員の努力や成果がより適切に評価される環境整備につながると期待されます。B評価からの脱却を目指すなら、こうした制度動向も理解し、日々の業務で主体性と向上心を持って取り組むことが鍵となります。
公務員の人事評価でB評価ばかりと悩む方へ(まとめ)
公務員の人事評価でB評価が続くことに悩んでいる方へ、現状の整理と今後の取り組みについてまとめます。
- 人事評価制度の基本(評価段階、能力・業績評価)を理解する
- B評価は「標準的業務遂行」を示し、処遇の基準となることが多い
- A評価は「優秀」で昇給・ボーナス増、割合は20~30%程度
- C評価は「やや不十分」で昇給抑制・ボーナス減の可能性
- A評価は標準より号俸が多く昇給し、勤勉手当の成績率も高い
- B評価集中は「評価の中央化」と呼ばれ、不公平感の一因にも
- 評価基準の曖昧さや評価者の主観が課題となることがある
- 「評価は意味ない」との声は、運用上の問題点を反映している場合がある
- 目標達成に向けた主体的行動がB評価脱却の第一歩
- 上司との面談で期待値や評価基準を具体的に確認する
- 自己啓発によるスキルアップも評価に繋がる
- チームへの貢献や新しい業務への挑戦も重要
- 評価制度は公正性向上を目指し改善が進む傾向にある
- 一度の評価に囚われず、継続的な成長を意識する
- キャリアプランと照らし合わせ、評価制度を前向きに活用する
