公務員が楽なのは部署次第？その実態から楽な部署の探し方を解説

「公務員は楽」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。安定していて、定時で帰れるというイメージから、魅力的な職業だと考えられがちです。しかし、その一方で、公務員の鬱が多い理由や、理想と現実のギャップから辞めるきっかけを探している人がいるのも事実です。

この記事では、「公務員は楽なのだろうか」という疑問を抱えるあなたのために、楽な部署やそこに行く方法といったポジティブな側面から、実際に辞めてよかったことまで、多角的な情報を提供します。

失敗や後悔のないキャリア選択ができるよう、公務員の仕事のリアルな実態を深く掘り下げていきましょう。

公務員が楽なのは本当？知っておきたい実態

「公務員は楽」は本当？そのイメージと実態

「公務員は楽」というイメージは、一部真実ですが、全体像を見ると大きなギャップが存在します。多くの方が楽だと感じる理由は、民間企業と異なり、個人に厳しい売上ノルマが課されることがほとんどない点にあります。また、休日がカレンダー通りで、比較的休暇を取得しやすい環境も「楽」という印象を強めています。

しかし、これはあくまで一面的な見方に過ぎません。実際には、部署によって業務の負担には天と地ほどの差があります。例えば、福祉関係や税務関係の部署、あるいは本庁の企画部門などは、繁忙期には深夜までの残業や休日出勤も珍しくありません。

さらに、ノルマがない代わりに、法律や条例といった厳格なルールの中で、ミスが許されないというプレッシャーが常に伴います。

住民対応では理不尽なクレームを受けることもあり、精神的な負担は決して軽くはないのです。このように、「楽」というイメージだけで判断すると、入庁後に厳しい現実に直面する可能性があります。

精神的に安定？公務員の仕事で楽なところは？

公務員の仕事が精神的な安定につながりやすいのは事実です。その最大の理由は、法律によって身分が保障されており、民間企業のように業績悪化を理由とした解雇（リストラ）のリスクが極めて低い点にあります。この雇用の安定性は、将来設計を立てやすく、日々の業務に安心して取り組むための大きな基盤となります。

また、給与体系も精神的な安定に寄与します。年功序列が基本であり、景気の動向に大きく左右されることなく、毎年着実に給与が上がっていきます。賞与（ボーナス）も安定して支給されるため、収入の見通しが立てやすいのです。

加えて、福利厚生の充実も見逃せません。各種手当や育児・介護休業制度などが整っており、ライフステージの変化に柔軟に対応できる体制が敷かれています。これらの制度的な手厚さが、生活全体の安心感を生み出し、結果として精神的な余裕につながると考えられます。

「楽」だからできる？公務員の豊かな私生活と副業事情

公務員の安定した労働環境は、豊かな私生活を送るための土台となります。原則として勤務時間が決まっており、部署によっては定時で退庁しやすいため、平日の夜や休日を趣味や自己投資、家族との時間に充てることが可能です。

このような時間の余裕を活かし、近年では副業に挑戦する公務員も増えつつあります。かつては原則禁止でしたが、地域貢献や公益性の高い活動を中心に、許可を得て副業を行うことが認められるケースが増えてきました。

認められやすい副業の例

許可が得やすい副業には、農業の手伝いや実家の家業、NPO法人での社会貢献活動、小規模な不動産投資などがあります。

重要なのは、本業に支障をきたさず、公務員の信用を損なわない範囲で行うことです。副業による収入は、経済的な余裕を生むだけでなく、本業では得られないスキルや人脈を築くきっかけにもなります。

ただし、副業を始める前には、必ず勤務先の服務規程を確認し、人事担当部署に相談の上で正式な許可を得る手続きが不可欠です。無許可で行うと懲戒処分の対象となるため、注意が必要です。

配属で天国と地獄？公務員の楽な部署ランキング

公務員の業務負担は、配属される部署によって大きく異なり、「当たり部署」と呼ばれる比較的楽な部署が存在するのは事実です。一般的に、住民と直接関わることが少なく、業務内容が定型的である部署は、残業が少なく精神的な負担も軽い傾向にあります。

ここでは、比較的業務負担が少ないとされる部署を、その仕事内容や特徴とともに紹介します。ただし、自治体の規模や方針によって状況は異なるため、あくまで一般的な傾向として参考にしてください。

順位	部署名	主な仕事内容	楽とされる理由
1位	監査委員事務局	他部署の事務処理が適正か内部監査を行う	住民対応がなく、業務が定型的で残業もほぼない
2位	会計課	自治体の支払いや伝票処理などの会計業務	ルーチンワーク中心で、決算期以外は定時退庁しやすい
3位	図書館・文化施設	施設の運営管理、イベント企画、利用者対応	業務量が比較的安定しており、精神的プレッシャーが少ない
4位	出張所・支所	本庁の窓口業務の一部（証明書発行など）	業務が定型的で、本庁に比べて来訪者数が少ない傾向
5位	統計課	国勢調査などの各種統計調査の実施・集計	調査期間以外は比較的落ち着いて業務を進められる

これらの部署は、ワークライフバランスを重視する方にとっては魅力的ですが、一方で、キャリア形成の面では物足りなさを感じる可能性もあります。異動は数年ごとに行われるため、楽な部署にずっといられる保証はない点も理解しておく必要があります。

希望は通る？公務員で楽な部署に行く方法とは

希望の部署、特に負担の少ない部署への異動を確実にする方法はありませんが、その可能性を高めるためのアプローチは存在します。公務員の人事異動は、個人の希望だけでなく、組織全体の人員配置や適性、経験年数などを考慮して総合的に決定されます。

最も重要なのが、年に一度提出する「自己申告書」です。これは、自身のキャリアプランや異動希望を人事に正式に伝える唯一の機会と言えます。

この書類で、なぜその部署を希望するのかを具体的かつ前向きな理由で記述することが鍵となります。例えば、「これまでの〇〇課での経験を活かし、△△の分野で貢献したい」といった、組織への貢献意欲を示す形が望ましいです。

また、日頃から直属の上司と良好な関係を築き、キャリアについて相談しておくことも有効です。上司からの評価や推薦は、人事課の判断に影響を与えることがあります。

ただし、単に「楽だから」という理由では希望は通りにくいのが現実です。むしろ、育児や介護、自身の健康問題といったやむを得ない事情がある場合は、配慮されやすい傾向にあります。自身の状況と組織のニーズを冷静に分析し、戦略的に希望を伝える姿勢が求められます。

「公務員は楽」の裏に潜むキャリアの現実

楽なはずでは？公務員の鬱が多い理由は何ですか？

「楽」なイメージとは裏腹に、公務員は精神的な不調をきたしやすい職業の一つです。人事院の報告によると、精神疾患を理由に休職する国家公務員の割合は、民間企業と比較して高い水準で推移しており、その背景には公務員特有のストレス要因が複数存在します。

第一に、仕事の単調さや裁量権の少なさが挙げられます。前例踏襲が重んじられる文化の中で、創造性を発揮する機会は少なく、「誰がやっても同じ」という無力感がやりがいを削いでしまうことがあります。

第二に、独特の人間関係です。年功序列が根強く、異動も頻繁なため、深い信頼関係を築きにくい一方で、閉鎖的な組織内での軋轢は大きなストレスとなり得ます。

第三に、住民からの過度な要求やクレーム対応です。公共サービスの担い手として、あらゆる意見を受け止めなければならない立場は、精神を大きく消耗させます。

これらの要因に加えて、異動による環境の激変や、責任の重圧が複合的に絡み合うことで、心が疲弊してしまうのです。安定と引き換えに、目に見えない精神的負担を抱えやすい構造があると言えます。

これもサイン？現職が語る公務員を辞めるきっかけは？

安定した職である公務員を辞めるという決断は、決して簡単なものではありません。その背景には、日々の業務の中で積み重なった、いくつかの「きっかけ」や「サイン」が存在します。

最も多く聞かれるのが、「このままでは成長できない」というキャリアへの危機感です。2〜3年周期の異動では専門性が身につきにくく、民間企業で通用するスキルが何もないまま年齢を重ねてしまうことへの焦りが、転職を考える大きな動機となります。

また、前述の通り、職場の人間関係がきっかけになるケースも少なくありません。特定の個人との関係悪化や、組織全体の風通しの悪さに耐えきれず、心身の健康を守るために退職を選ぶ人もいます。

さらに、「本当にやりたい仕事はこれなのか」という根源的な問いに行き着くこともあります。住民のためという大義名分とは裏腹に、日々こなす膨大な事務作業や内部調整に追われる中で、仕事へのモチベーションを失ってしまうのです。

これらの感情が、自身の人生を見つめ直し、新たな一歩を踏み出すきっかけとなると考えられます。

公務員を辞めてよかったことは？

公務員を辞めた人々が口を揃えて挙げるメリットの一つが、収入の増加です。特に、成果が正当に評価される民間企業へ転職した場合、自身の努力や実績が給与に直接反映されるため、若いうちから公務員時代を大きく上回る年収を得ることも可能です。

次に、専門的なスキルが身につき、成長を実感できる環境があります。公務員時代には難しかった特定の分野に特化してキャリアを積むことで、市場価値の高い人材へとステップアップできます。自分の裁量で仕事を進められる範囲が広がることも、大きなやりがいにつながります。

働き方の自由度が高まる点も、辞めてよかったこととして挙げられます。リモートワークやフレックスタイム制度を導入している企業も多く、プライベートの時間を確保しやすくなります。組織の硬直的なルールやしがらみから解放され、精神的に楽になったと感じる人も少なくありません。

もちろん、転職にはリスクも伴いますが、これらのメリットは、安定を手放してでも挑戦する価値のあるものだと多くの経験者が感じています。

「楽」を求めるなら公務員は本当におすすめ？

ここまで見てきたように、「楽」を最優先の価値観として仕事を選ぶ場合、公務員という選択は必ずしも最適解とは言えません。確かに、ノルマがなく雇用が安定しているという側面は「楽」と感じられるかもしれませんが、それはあくまで一部です。

公務員の仕事が向いているのは、「安定」した環境で、定められたルールに従って地道にコツコツと業務をこなすことに苦痛を感じない人です。大きな変化や厳しい競争よりも、社会の基盤を支える役割にやりがいを見いだせる人には、満足度の高い職業となり得ます。

一方で、自分の成果が直接評価や報酬に結びつくことを望む人や、常に新しいことに挑戦し、自己成長を実感したい人にとっては、公務員の組織文化は窮屈に感じる可能性が高いです。

最も重要なのは、配属先は自分では選べないという事実です。楽な部署を期待して入庁しても、激務部署に配属されることは十分にあり得ます。「楽」という曖昧なイメージだけで判断するのではなく、公務員の仕事が持つ多面的な特徴と、自身の適性を冷静に見極めることが、後悔しないための鍵となります。

公務員が楽なのは本当？知っておきたい実態とキャリア

この記事を通じて解説してきた「公務員は楽」というテーマに関する要点を、最後にまとめます。