会計年度任用職員の経験は民間転職で評価される?仕事内容と求人の照合方法

会計年度任用職員の経験は民間転職で評価される?仕事内容と求人の照合方法

会計年度任用職員として働きながら民間企業への転職を考え始めると、「市役所での仕事は民間でも生かせるのか」と気になるかもしれません。

会計年度任用職員の経験が民間転職でどう評価されるかは、職種や業務内容によって変わります。同じ会計年度任用職員でも、窓口対応、書類の確認、データ入力、専門的な業務など、担当してきた仕事は人によって異なるからです。

大切なのは肩書だけで判断せず、実際に担当した仕事と、応募先が求める経験や技能を照らし合わせることです。

この記事では、これまでの経験を整理し、民間企業の求人票と比較する方法を紹介します。まずは自分が担当した仕事を3〜5項目書き出し、気になる求人票を1件選ぶところから始めてみてください。

  • 会計年度任用職員の経験が民間転職でどう判断され得るか
  • これまでの担当業務を整理する方法
  • 自分の経験と求人票の条件を照合する方法
  • 経験が合わない場合に考えられる次の行動
目次

会計年度任用職員の経験は民間転職で評価される?

会計年度任用職員の経験は民間転職で評価される?

会計年度任用職員として働いたことが、民間転職で必ず有利になるわけでも、不利になるわけでもありません。

応募する企業や職種によって必要な経験は異なるため、これまで担当してきた仕事内容を具体的に確認することが大切です。

評価は応募先の仕事内容や条件によって異なる

例えば、自治体の窓口で来庁者への案内や書類の受付を担当していた人なら、民間企業の受付事務にも共通する仕事があるかもしれません。

一方、応募先が経理ソフトを使った仕訳や決算業務の経験を求めている場合、自治体で書類整理やデータ入力を担当していたというだけでは、必要な経験を満たすとは限りません。

厚生労働省やハローワークの職務経歴書に関する資料でも、これまでの仕事内容や技能を整理し、応募先が求める人材との接点を考える方法が案内されています。

参考:北海道ハローワーク「職務経歴書って?」

つまり、最初から「会計年度任用職員だから評価されない」と決めつける必要はありません。まずは、自分の経験と応募先の仕事がどの程度つながっているかを確認しましょう。

正規職員でなかった期間も職務経歴として整理できる

会計年度任用職員は、地方公務員法第22条の2に基づいて任用される地方公務員です。フルタイムとパートタイムの区分があり、常勤の正規職員とは任用形態が異なります。

しかし、正規職員ではなかったからといって、実際に働いた期間がなかったことになるわけではありません。

厚生労働省のジョブ・カード「職務経歴シート」には、勤務期間や所属、雇用形態、仕事内容などを記入する項目があります。

会計年度任用職員として勤務した期間についても、いつ、どこで、どのような仕事を担当していたのかを、職務経歴として整理できます。

参考:厚生労働省「ジョブ・カード 職務経歴シート」

ただし、職務経歴として記載できることと、応募先が指定する「実務経験○年以上」に該当することは別です。経験年数の扱いは、募集要項や企業の条件を確認する必要があります。

まず自分が担当した仕事を棚卸しする

まず自分が担当した仕事を棚卸しする

民間求人を探す前に、これまでの仕事を一度整理してみましょう。

ここでいう「棚卸し」とは、自分が実際に担当してきた業務や、仕事を通じて身につけた知識・技能を書き出すことです。

担当業務・役割・使った技能を書き出す

最初は難しく考えず、担当していた仕事を3〜5項目ほど書き出します。

例えば、次のような項目を確認すると整理しやすくなります。

  • 担当業務
    窓口対応、書類確認、データ入力、資料作成など、実際に行った仕事
  • 対象者
    来庁者、事業者、職員など、誰に対する仕事だったか
  • 担当範囲
    受付だけなのか、内容の確認や資料の作成まで行ったのか
  • 使用した知識・技能
    パソコン操作、使用したシステム、専門知識や資格など
  • 工夫や成果
    仕事を進めるうえで工夫したことや、実際に確認できる成果

例えば「市役所で事務をしていました」だけでは、具体的に何ができる人なのか、応募先には伝わりにくいかもしれません。

一方、「申請書類の受付と記載内容の確認を担当していた」と説明すれば、仕事の内容が少し具体的になります。

もちろん、これは書き方を考えるための一例です。自分が実際に行っていない仕事まで付け加える必要はありません。

厚生労働省の職務経歴シートでも、仕事内容に加え、果たした役割や貢献、得られた知識・技能などを整理できるようになっています。

数字の実績がなくても、担当した事実を整理する

「特別な成果を出したわけではないから、アピールできることがない」と感じる人もいるでしょう。

たしかに、売上や改善率など、数字で示せる実績があれば説明の材料になります。しかし、すべての仕事に分かりやすい数字の成果があるわけではありません。

まずは、日々どのような仕事を任され、どのような知識や技能を使っていたかを振り返ってみてください。

例えば、書類の確認を担当していたなら、何を確認し、どこまで自分で対応していたのか。データ入力なら、どのような情報を扱い、入力後の確認も担当していたのか。

数字を無理に作る必要はありません。実際に担当した事実を正確に整理することが大切です。

なお、経験を整理する段階では、職務経歴書の文章として完成させる必要はありません。まずは箇条書きのメモで十分です。

求人票の仕事内容・必要な経験と照らし合わせる

求人票の仕事内容・必要な経験と照らし合わせる

担当業務を書き出せたら、次は気になる民間企業の求人票を1件選んでみましょう。

求人票を見るときは、給与や勤務場所だけでなく、仕事内容と応募条件にも目を向けることが大切です。

仕事内容・必須条件・歓迎条件を分けて読む

求人票では、次の項目を分けて確認します。

  • 仕事内容
    採用された場合、実際にどのような仕事を担当するのか
  • 必須条件
    応募に必要とされる経験・資格・技能
  • 歓迎条件
    あれば尚可とされている経験・技能
  • PCスキル・資格
    特定のソフトや免許・資格が求められているか

ハローワークの求人情報でも、必要な経験等について「必須」「あれば尚可」「不問」などの区分が使われています。

例えば、一般事務の求人でも、データ入力が中心の仕事と、経理や会計に関する処理まで担当する仕事では、求められる経験が違う可能性があります。

「事務職だから自分にもできそう」と職種名だけで判断せず、仕事内容の欄を具体的に確認することが必要です。

特に、必須条件と歓迎条件は区別してください。歓迎条件に該当する経験がなくても、応募を検討できる求人はあります。一方で、必須とされる資格や経験については、その条件を満たしているか確認しなければなりません。

自分の経験を3段階に分けて照合する

求人票の内容を確認したら、自分の経験と一つずつ照らし合わせます。

このときは、次の3つに分類すると整理しやすくなります。

  1. 該当
    求められている業務や技能について、実際に経験がある
  2. 一部該当
    共通する作業は経験しているが、担当範囲や使用するシステムなどに違いがある
  3. 未経験・不足
    その業務を担当したことがない、または必要な経験・資格を満たしていない

例えば、一般事務の求人票に「来客対応、データ入力、Excelを使用した資料作成」が仕事内容として書かれていたとします。来庁者対応と専用システムへの入力を担当していた人なら、最初の2つには共通点があります。

一方、Excelで資料を作った経験がなければ、その業務は「未経験・不足」です。専用システムへの入力経験だけで、Excelの資料作成まで経験したことにはなりません。

ここでの目的は、自分の経験を無理に求人条件へ当てはめることではありません。

できること、共通する部分、まだ経験していないことを分けると、応募先を検討しやすくなります。

なお、3段階の分類は自分の経験を整理するための方法です。企業が応募資格を満たしていると判断することを保証するものではありません。

応募先に伝わる形へ経験を具体化する

応募先に伝わる形へ経験を具体化する

担当業務と求人条件を照合できたら、次はその経験を相手に伝わる形へ整理していきます。

「市役所で働いていました」という説明だけで終わらせず、何を担当し、応募先の仕事とどこが共通しているのかを考えることがポイントです。

求人票1件を使って一致点と不足点を整理する

ここでは、次のような一般事務の求人を仮定します。

求人票の例
仕事内容は「来客対応、データ入力、Excelを使用した資料作成」。応募には「基本的なPC操作」が必須で、「Excelでの資料作成経験」は歓迎条件とします。

次の表も例です。特定の会計年度任用職員の実績や、現在募集されている求人票を示したものではありません。

求人票の記載・区分担当した事実(仮例)照合結果不足点・確認点
来客対応(仕事内容)自治体の窓口で来庁者への案内と書類の受付を担当該当応募先で電話対応も担当するか確認する
データ入力(仕事内容)申請内容を専用システムへ入力し、入力内容も確認該当応募先で使用するシステムを確認する
基本的なPC操作(必須条件)専用システムへの入力は経験している一部該当応募先が求める「基本的なPC操作」の範囲を確認する
Excelでの資料作成経験(歓迎条件)Excelを使用した資料作成は担当していない未経験・不足歓迎条件なので、応募の必須条件とは分けて考える

この例では、来客対応とデータ入力には共通する経験があります。一方、「基本的なPC操作」が必須条件でも、求人票だけではどの操作まで求められているか分からない場合があります。そのときは、自分が実際に使ったシステムや操作を整理したうえで条件を確認します。

Excelでの資料作成経験は不足していますが、この例では歓迎条件です。不足する項目がある場合も、まずはそれが必須条件なのか歓迎条件なのかを分けて見ましょう。

担当範囲を正確に伝え、守秘義務にも注意する

経験を具体的に説明する際は、「自分がどこまで担当したか」を正確に伝えることも大切です。

例えば、書類の受付を担当していた場合、受付だけだったのか、内容の確認まで行っていたのかによって、説明できる経験は変わります。

補助として関わった業務を、自分がすべて判断・管理していたように伝える必要はありません。

また、自治体での業務経験を説明するときには、守秘義務にも注意しましょう。

地方公務員法第34条では、職務上知り得た秘密について、退職後も守秘義務が続くことが定められています。

なお、住民などの個人情報については、地方公務員法の守秘義務とは別に、個人情報保護法第67条も、業務に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせたり、不当な目的に利用したりすることを禁じています。

転職活動では、業務で扱った住民の個人情報や職務上知り得た秘密を、応募書類や面接で明かさないようにしましょう。

業務の種類や自分の役割を説明することと、職務上の秘密を明かすことは別です。

厚生労働省の「職務経歴書の作り方」(PDF)も参考にしながら、実際に経験したことを正確な言葉で整理してみてください。

一致する経験が少ない場合の次の一歩

求人票と照らし合わせた結果、求められている経験と自分の経験があまり一致しないこともあると思います。

その場合も、すぐに「民間転職は難しい」と決めつける必要はありません。

応募先の条件を見直したり、自分の経験に近い仕事を調べたりする方法があります。

条件が合う別求人や近い職種を調べる

まずは、同じ職種名でも仕事内容が違う求人を探してみましょう。

例えば、一般事務という名称でも、書類整理やデータ入力が中心の仕事もあれば、経理に関する経験が求められる仕事もあります。

1件目の求人と経験が合わなかったからといって、同じ職種のすべての求人が合わないとは限りません。

また、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」には、これまでの経験や技能を整理し、希望する職業との関連性を考えるための機能があります。

職種名だけでは仕事内容が分からないときは、こうした職業情報も参考になります。

不足する技能・資格があるか確認する

応募したい仕事が見つかったものの、必要な経験や技能が不足している場合は、その内容を具体的に確認します。

例えば、特定のパソコンソフトの操作が必要なのか、業務経験が必要なのか、資格の取得が条件になっているのかによって、準備することは変わります。

まずは求人票の必須条件と歓迎条件を分け、何が不足しているのかを整理しましょう。

必要に応じて学習や資格取得を検討することもできますが、資格を取得すれば必ず採用されるわけではありません。

今の仕事を続けながら求人を調べる方法もあります。経験が足りないと感じたときこそ、転職を急がず、自分に合う条件を探してみてください。

よくある質問

よくある質問

会計年度任用職員から民間企業への転職を考える際に、迷いやすい点を整理します。

Q1.フルタイムとパートタイムで評価は変わる?

A.フルタイムかパートタイムかという勤務時間の区分だけで、民間企業の評価が一律に決まるわけではありません。実際に担当した業務や技能、応募先の条件を確認する必要があります。

Q2.経験年数だけで評価される?

A.勤務年数は職務経歴を整理する際の情報の一つですが、年数だけで採用上の評価が決まるとは限りません。何年働いたかに加えて、どのような仕事を、どの範囲まで担当していたかを説明できるようにしましょう。応募先が指定する実務経験年数の扱いは、募集要項などで確認してください。

Q3.未経験職種にも応募できる?

A.応募できるかどうかは、その求人の経験や資格の条件によります。経験不問の求人もありますが、資格や特定の技能が必須となっている場合もあります。未経験だからと最初から諦めず、応募条件を一つずつ確認してみましょう。

まとめ|自分の経験と求人の一致点を確認しよう

まとめ|自分の経験と求人の一致点を確認しよう

会計年度任用職員として働いた経験が、民間転職でどう評価されるかは、求人内容によって異なります。

正規職員ではなかったという理由だけで、自分の経験に価値がないと考える必要はありません。一方で、自治体で働いていたからといって、すべての民間企業で高く評価されるわけでもありません。

まずは実際に担当した仕事を3〜5項目書き出し、気になる求人票を1件選んでみてください。

仕事内容や必須条件と照らし合わせて、「該当すること」「一部共通すること」「経験が不足していること」を整理するだけでも、次に何を確認すべきかが見えてきます。

まだ民間企業への転職を決めきれていない場合は、無理に結論を出す必要もありません。

正規職員を目指す道や、別の自治体で会計年度任用職員として働く道も含めて考えたい方は、会計年度任用職員を辞める前に考えたい3つの進路も参考にしてみてください。

これまでの経験を一度整理し、自分に合う仕事を落ち着いて考えていきましょう。

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