2025年度の会計年度任用職員の勤勉手当について、「結局いくら支給されるの?」と疑問に思っていませんか。2024年度からの本格導入に伴い、会計年度任用職員の勤勉手当は大きな関心事となっています。特に2025年は、制度が浸透する重要な年です。
しかし、勤勉手当はいくら支給されるかという単純な話ではありません。その金額は、近年の法改正や毎年の人事院勧告の内容が大きく影響します。加えて、一人ひとりの人事評価の結果や、採用からの期間を示す期間率によっても変動するため、仕組みは複雑に感じられるかもしれません。
この記事では、そうした複雑な制度を分かりやすく解き明かし、あなたの疑問に一つひとつ丁寧にお答えします。
- 会計年度任用職員に勤勉手当が支給される理由と制度の全体像
- 勤勉手当の具体的な計算方法とご自身の支給額を試算する手順
- 人事評価や在職期間が手当額に与える影響
- お住まいの自治体ごとの違いと条例の確認方法
【2025年】会計年度任用職員の勤勉手当はいくら?制度解説

- 会計年度任用職員に勤勉手当を支給する理由は何ですか?
- 勤勉手当と人事院勧告の関係とは
- 勤勉手当を何ヶ月分支給されますか?
会計年度任用職員に勤勉手当を支給する理由は何ですか?

会計年度任用職員へ勤勉手当が支給されるようになった結論は、常勤職員との待遇格差を是正し、公平な処遇を確保するためです。
その理由は、2023年に改正された地方自治法にあります。この法改正により、従来は期末手当のみだった会計年度任用職員に対し、勤務成績に応じた勤勉手当の支給が可能となりました。国の非常勤職員にはすでに導入されており、地方公務員においても同様の対応を取ることで、国と地方の処遇の均衡を図る必要があったのです。
例えば、この制度導入の背景には、優秀な人材の確保と定着という目的があります。待遇を改善することで職員の意欲向上を促し、結果として行政サービスの質の維持・向上につなげる狙いがあると考えられます。つまり、勤勉手当の支給は、職員個人だけでなく、行政全体の基盤を強化するための重要な取り組みと言えます。
勤勉手当と人事院勧告の関係とは

会計年度任用職員の勤勉手当は、毎年の人事院勧告と密接に関係しています。要するに、人事院勧告で示される国家公務員の給与水準が、会計年度任用職員の勤勉手当の支給月数を決める上での重要な基準となるのです。
地方公務員の給与は、地方公務員法に基づき、国家公務員の給与などを考慮して定めること(情勢適応の原則)が求められています。このため、各自治体は人事院勧告の内容を「参酌」(参考にしつつ判断)して、自らの条例で職員の給与や手当を決定します。
例えば、人事院が民間のボーナス支給状況を調査し、国家公務員の勤勉手当の支給月数を引き上げるよう勧告した場合、多くの自治体はそれに追随して会計年度任用職員の勤勉手当の支給月数も引き上げる条例改正を行います。人事院勧告は、間接的ではありますが、会計年度任用職員の待遇を左右する重要な役割を担っています。
勤勉手当を何ヶ月分支給されますか?

会計年度任用職員に支給される手当は、期末手当と勤勉手当を合わせて、年間でおおよそ4.5か月から4.6か月分が基準となります。
この月数は、前述の通り、人事院勧告を基に国家公務員の水準に準じて設定されることが多いためです。支給は通常、夏(6月)と冬(12月)の年2回に分けて行われます。
支給月数の内訳例
手当の種類 | 夏(6月期)の目安 | 冬(12月期)の目安 | 年間合計の目安 |
期末手当 | 1.20か月分 | 1.20か月分 | 2.40か月分 |
勤勉手当 | 1.0~1.1か月分 | 1.0~1.1か月分 | 2.0~2.2か月分 |
ただし、これはあくまで全国的な基準であり、実際の支給月数は各自治体が条例で定めています。このため、一部の自治体では基準より低い月数が設定されている場合もあります。
また、後述する人事評価や在職期間によって個人の支給額は変動するため、全ての職員がこの月数分を満額受け取れるわけではない点に注意が必要です。
【2025年】会計年度任用職員の勤勉手当はいくら?人事評価の影響

- 勤勉手当は人事評価でどう変わる?
- 要注意!勤勉手当の減額も?会計年度任用職員の期間率
- 【自治体で違う】勤勉手当はいくら?条例の確認方法
- 【2025年】勤勉手当の計算方法
- 【2025年】会計年度任用職員の勤勉手当はいくら?(まとめ)
勤勉手当は人事評価でどう変わる?

会計年度任用職員の勤勉手当は、人事評価の結果によって支給額が直接変動します。勤務成績に応じて支給額に差をつけることで、職員の意欲向上を促すことが制度の目的の一つだからです。
具体的には、人事評価の結果が「成績率」という係数に置き換えられ、勤勉手当の計算式に組み込まれます。多くの自治体では、評価ランクを設け、そのランクに応じて成績率を変えています。
評価ランクと成績率の関係(一例)
評価ランク | 成績率への影響 |
優秀(S・A評価など) | 標準より高い係数が適用され、支給額が増額 |
良好(B評価など) | 標準的な係数が適用される |
やや不良(C評価など) | 標準より低い係数が適用され、支給額が減額 |
不良(D評価など) | さらに低い係数が適用され、大幅に減額 |
評価が高ければ手当が増え、低ければ減る仕組みです。評価制度の具体的な運用方法は自治体によって異なりますが、人事評価を勤勉手当に反映させないことは、地方公務員法の趣旨に反するとされています。したがって、ご自身の評価が手当額にどう影響するかを理解しておくことが大切になります。
要注意!勤勉手当の減額も?会計年度任用職員の期間率

勤勉手当の支給額は、「期間率」によっても減額されるため注意が必要です。期間率とは、簡単に言えば、基準日(6月1日や12月1日)までの在職期間に応じて手当額を調整するための割合を指します。
なぜなら、勤勉手当は一定期間の勤務に対する報酬という性格を持つため、在職期間が短い職員と満了した職員とで支給額に差を設けるのが公平だと考えられているからです。
例えば、基準日までの6か月間、全て在職していれば期間率は100%となりますが、年度の途中で採用された場合や、産休・育休・病気などで休職した期間がある場合は、その期間に応じて期間率が下がり、支給額も減額されます。
在職期間と期間率の対応(一例)
在職期間 | 期間率 |
6か月 | 100% |
5か月以上6か月未満 | 80%~95% |
3か月以上5か月未満 | 50%~70% |
3か月未満 | 30%以下 |
特に4月採用で最初の6月支給日を迎える場合や、年度途中で復職した場合などは、期間率が100%にならないケースがほとんどです。ご自身の在職状況が期間率にどう反映されるか、あらかじめ確認しておくことをお勧めします。
【自治体で違う】勤勉手当はいくら?条例の確認方法

勤勉手当がいくら支給されるかという問いは、自治体の条例を確認する必要があります。全国的な基準は存在しますが、具体的な支給月数や計算方法の細部は、各地方自治体が制定する条例や規則によって定められているからです。
そのため、ご自身の正確な支給額を知るためには、勤務先の自治体の公式情報を調べることが不可欠です。
条例の確認方法
- インターネットで検索する
「〇〇市 会計年度任用職員 給与条例」や「〇〇町 勤勉手当 規則」といったキーワードで検索すると、該当する例規(条例や規則)が見つかることが多いです。 - 自治体の公式ウェブサイトを確認する
多くの自治体は、ウェブサイト上に「例規集」や「条例・規則」を公開しています。そこからキーワード検索で探す方法が確実です。 - 担当部署に問い合わせる
もし例規集を読んでも分からない場合は、所属の人事課や総務課に直接問い合わせるのが最も確実な方法です。
いくら支給されるかという疑問を解決するには、まずご自身の自治体のルールを確認する、というステップが大切になります。
【2025年】勤勉手当の計算方法

2025年度のあなた自身の勤勉手当がいくらになるかは、以下の計算式で概算できます。
この計算式を理解し、ご自身の数値を当てはめることで、支給額をシミュレーションすることが可能です。
計算のステップ
- 基礎額を確認する
フルタイム職員の場合は給料月額、パートタイム職員の場合は報酬月額が基礎となります。なお、基礎額には地域手当や役職加算額等が加算される場合がありますので、ご自身の給与明細等でご確認ください。 - 支給月数を確認する
前述の通り、お住まいの自治体の条例で定められた支給月数を確認します。 - 期間率を把握する
基準日までの在職期間から、ご自身の期間率(100%かどうか)を把握します。 - 成績率を考慮する
直近の人事評価の結果から、適用される成績率(標準か、増額か、減額か)を考慮します。なお、成績率は2024年の人事院勧告により最大で3.15(315%)となっています。
例えば、基礎額が20万円で、支給月数が2.25か月、期間率が100%(1.0)、成績率も標準(1.0)だった場合、「20万円 × 2.25 × 1.0 × 1.0 = 45万円」というように概算できます。各要素を一つひとつ確認し、掛け合わせることで、ご自身の勤勉手当の目安を知ることができます。
【2025年】会計年度任用職員の勤勉手当はいくら?(まとめ)
記事のポイントをまとめます。
- 2025年の勤勉手当は法改正により会計年度任用職員も支給対象
- 支給の主な目的は常勤職員との待遇格差是正と人材確保
- 支給額は「基礎額 × 支給月数 × 期間率 × 成績率」で決まる
- 基礎額は給料月額または報酬月額
- 支給月数は人事院勧告を参考に自治体の条例で定められる
- 年間の合計支給月数は4.5か月から4.6か月分が目安
- 期間率は在職期間に応じて変動し6か月で100%
- 途中採用や休職期間があると期間率が下がり減額される
- 成績率は人事評価の結果によって決まり支給額を左右する
- 高い評価は増額に、低い評価は減額につながる
- 具体的な支給月数や計算ルールは自治体ごとに異なる
- 正確な情報を知るには勤務先の条例や規則の確認が不可欠
- 自治体の公式サイトにある例規集で確認できる
- 不明な点は人事課などの担当部署への問い合わせが最も確実
