政治と行政はどちらが主導権を握っているのか、気になる人は多いかもしれません。この記事では、政治家と官僚の役割の違いや力関係を、制度や歴史の背景をもとにわかりやすく解説します。
特に近年は、法制度の変更や人事権の集中によって、政治家の立場が強くなっているという変化が見られます。また、官僚として働くにはどんなルートがあるのか、試験制度や必要な準備も紹介します。
出身大学の傾向を見れば、どんな学歴が求められやすいのかも見えてくるでしょう。さらに、官僚のキャリアの頂点に立つ人物が誰なのか、どんな役割を担っているのかについても詳しくまとめています。
- 官僚と政治家の役割と責任の違いがわかる
- 現代における官僚と政治家の力関係の変化が理解できる
- 官僚になるための流れや試験制度が学べる
- 官僚のトップや出身大学の傾向が把握できる
官僚と政治家はどっちが偉い?

- 官僚と政治家はどっちが偉い?
- 官僚と政治家の力関係
- 政治家は官僚の言いなり?
- 官僚と国家公務員の違いを整理
- 官僚になるには?
官僚と政治家はどっちが偉い?
単純にどちらが「偉い」と言い切るのは難しいですが、それぞれに異なる役割と力があります。政治家は国民に選ばれた代表であり、官僚は行政の専門家として国家を運営しています。
まず、政治家は「決める立場」です。法律を作ったり、予算を決めたりする最終判断をします。一方、官僚は「動かす立場」であり、政治家の決定を実際の行政に落とし込み、運用します。どちらも必要不可欠です。
また、責任の重さにも違いがあります。政治家は選挙によって選ばれるため、失敗すれば落選します。つまり、国民に直接責任を負っています。一方、官僚は専門知識と実務能力を評価されて昇進するため、責任は組織内で問われる場合が多いです。
以下の表で整理してみましょう。
比較項目 | 政治家 | 官僚 |
---|---|---|
選ばれ方 | 国民の選挙 | 試験や採用 |
主な役割 | 方針決定 | 実務と政策運用 |
責任 | 国民に対して | 組織や上司に対して |
権限の範囲 | 国全体の方向性 | 各省庁内の業務 |
歴史的に見ると、戦後は官僚が強い時代もありましたが、近年は「政治主導」が進み、政治家の立場がより強くなっています。
このように見ると、「偉さ」は職務の内容と責任の重さによって変わります。つまり、どちらが上というよりも、役割の違いを理解することが大切です。
官僚と政治家の力関係

政治家と官僚の力関係は、時代や制度の違いによって変わってきました。特に近年では、法制度や人事権の変更により、政治家の力が強くなっています。
もともと官僚は「専門知識を持った実務家」として、政策を作り動かす存在でした。一方で政治家は、方針を決める立場にありながらも、官僚の専門性に依存する場面が多かったのです。
しかし、2014年に「内閣人事局」が設置され、政府全体の幹部人事を一括で管理できるようになりました。これにより、各省庁の人事も首相官邸が握るようになり、政治家の影響力が大きくなったのです。
両者の力関係を左右する要素
- 法的根拠
最終決定権は閣議決定や国会にあり、政治家が主導する仕組み - 人事権
内閣人事局が局長・事務次官など幹部の任命に関与 - 評価制度
人事評価を通じて、官僚の出世が政治家の意向に左右されやすくなった
こうした制度変更によって、以前は官僚が強かった場面でも、今では政治家が主導権を握る場面が増えています。
ただし、実際の行政を動かすのは官僚であり、政治家の指示がなければ進まないわけでもありません。お互いに補い合う構造が理想であり、力のバランスが崩れすぎると問題も起きやすくなります。
このように見ていくと、力関係は一方的なものではなく、制度や時代に応じて入れ替わるものだと理解できます。
政治家は官僚の言いなり?
「政治家は官僚の言いなりだ」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、それは少し古いイメージかもしれません。今の政治と行政の関係は、大きく変わっています。
以前の日本では、専門知識を持つ官僚が政策を実際に作っており、政治家はそれを承認するだけという場面もありました。そのため「官僚が国を動かしている」と言われる時代もあったのです。
ですが、現在は制度が変わり、政治家がより強い立場になりました。特に2014年にできた「内閣人事局」によって、幹部人事の一元管理を首相官邸が担うようになりました。
現場の声でも、最近では「官僚よりも大臣や首相の意向が重視される」という話が多く聞かれます。たとえば、政策案を作るときも、最初に「大臣の考えは?」と確認する流れが増えました。今は政治家が「言いなり」ではなく、自ら動かす側に立っています。
官僚と国家公務員の違いを整理

国家公務員には大きく分けて「キャリア官僚(総合職)」と「一般職」がいます。この2つには、採用の仕組みや仕事内容、昇進のスピードなどに大きな違いがあります。
まず、キャリア官僚は「国家総合職試験」に合格して採用されます。大学卒業後すぐに省庁で働き始め、将来は課長や局長、さらには事務次官などの幹部になる可能性があります。
一方、一般職は「国家一般職試験」に合格して働く人たちです。主にルール通りの仕事や事務を担当し、昇進も比較的ゆるやかです。
以下に違いをまとめてみました。
比較項目 | キャリア官僚(総合職) | 一般職 |
---|---|---|
試験区分 | 総合職試験 | 一般職試験 |
採用後の職場 | 本省(霞が関)中心 | 地方出先機関も多い |
昇進スピード | 早い(10年で課長補佐級) | ゆるやか(20年で同等) |
最終ポスト | 局長・次官なども可能 | 室長級までが多い |
また、給与にも差があります。キャリア官僚は若いうちから責任の重い仕事を任されるため、年収も高めに設定されています。
同じ国家公務員でも、キャリアと一般職では道のりや役割がかなり違います。自分に合った働き方を考える上で、しっかり理解しておきたいポイントです。
官僚になるには?
将来、官僚を目指すなら、まず「国家総合職試験」に合格する必要があります。これはキャリア官僚への入口であり、最も難しい公務員試験の一つです。
試験は3段階で行われます。
- 【1次試験】マーク式(教養・専門)
- 【2次試験】記述式(論文や専門)
- 【3次試験】人物面接(人柄や適性)
勉強には1年〜2年かかるのが一般的で、特に法律・経済の分野を重点的に対策する必要があります。大学在学中から予備校に通う人も多くいます。官僚になるには長期戦の覚悟が必要です。ただ、その分、政策を動かす仕事に関われるやりがいも大きいでしょう。
官僚と政治家はどっちが偉い?データで比較

- 官僚の出身大学ランキング
- 官僚の役職と昇進ステップ
- 官僚のトップは誰ですか?
- 官僚から総理大臣になった人はいますか?
- 官僚と政治家はどっちが偉い?(まとめ)
官僚の出身大学ランキング
官僚になる人たちは、どんな大学から来ているのでしょうか。実際、出身大学にはある程度の傾向があります。特に国家総合職(キャリア官僚)では、上位大学に集中する傾向が続いています。
以下は、近年の各省庁の採用者に多い大学です。
採用数が多い上位大学(例)
- 東京大学(文系・理系問わず多数)
- 京都大学(主に法学部・経済学部)
- 一橋大学(文系官僚に強い)
- 早稲田大学・慶應義塾大学(幅広い分野に分布)
さらに、経済産業省や財務省などでは「東大法学部」の割合が特に高いとされてきました。これが「学歴フィルター」と言われる理由の一つです。
ただし、最近では多様な人材を求める流れも出てきており、地方大学や理系出身者の活躍も増えてきました。
省庁別の特徴
- 外務省:語学力重視。東京外大や早慶も目立つ
- 国土交通省:理系出身者の採用が多い
- 厚生労働省:医療系学部出身も一部活躍
学歴だけがすべてではありませんが、採用の傾向を知ることで、より具体的な準備ができるようになるでしょう。
官僚の役職と昇進ステップ

官僚のキャリアは、段階ごとにしっかりと役職が分かれています。一般的に、国家総合職で入った場合は、初任配属時は主任級(事務官、主任等)となり、数年後に主任級から主査(係長級)へ昇進します。その後、約4~5年目で主査(係長級)、10年目前後で課長補佐へと昇進していきます。
以下は、主な昇進ステップの一覧です。
ポスト | 昇進年目の目安 | 役割内容 |
---|---|---|
主査 | 4~5年目 | 実務の中心、部下の指導など |
課長補佐 | 7~10年目 | 政策づくりの実働部隊 |
室長 | 17~23年目 | 部門運営や対外説明など |
課長 | 22~28年目 | 全体管理と最終判断を担当 |
局長・次官 | 30年以上 | 省の中心として行政全体を統括 |
ポストが上がるごとに求められる力も変わっていきます。特に課長補佐以降は、政策立案力や調整力がより重視されるようになります。昇進には試験や評価も影響するため、毎日の働き方も大切になってきます。
官僚のトップは誰ですか?

中央省庁で最も高いポジションは「事務次官」と「内閣人事局長」です。どちらも官僚の中ではトップクラスの立場であり、全国の行政を支える中心となっています。
それぞれの役割の違いは以下の通りです。
役職名 | 担当する内容 | 所属先 |
---|---|---|
事務次官 | 省庁の最高責任者、政策の実行など | 各中央省庁 |
内閣人事局長 | 幹部官僚の人事を統一的に管理 | 内閣官房 |
事務次官は各省の「リーダー」として、政策の立て直しや運営のまとめ役です。一方、内閣人事局長は、全体の人事戦略を考えながら政府の方向を支えます。
こうしたポジションに就くには、国家総合職試験に合格し、課長・審議官・局長などを順に経験したうえで、評価を受ける必要があります。さらに、内閣が最終的に承認するというプロセスがあるため、ごく一部の人しかたどり着けません。
官僚から総理大臣になった人はいますか?

実は、官僚としてスタートし、その後に総理大臣になった人は少なくありません。特に戦後まもなくの時代では、元官僚の総理が日本を引っ張っていた時期がありました。
代表的な人物は以下のとおりです。
- 吉田茂(元外務官僚)
戦後の復興と日米安保の基礎を築いた - 池田勇人(元大蔵省)
「所得倍増計画」で日本の経済成長を後押し - 宮澤喜一(元大蔵省)
バブル崩壊後の政策でかじ取りを行った
このような総理たちは、官僚時代に身につけた知識と経験をもとに、現実的で専門的な政治運営を行いました。ただし、党の中での人気がやや弱く、政治的な調整では苦労する場面も見られました。
近年は、純粋な官僚出身の総理は減っていますが、実務に強いリーダーが求められる時代では、その経験は今も意味を持っています。
官僚と政治家はどっちが偉い?(まとめ)
記事のポイントをまとめます。
- 政治家は国民から選ばれる代表である
- 官僚は行政の専門家として国家を動かす立場
- 政治家は政策や法律などを決める権限を持つ
- 官僚は政治家の決定を具体的に実行する役割
- 政治家は国民に対して責任を負う
- 官僚は組織内の評価や上司への責任が重い
- 官僚の権限は各省庁内に限られる
- 政治家は国全体の方針に関わる決定を行う
- かつては官僚主導の時代があった
- 現在は政治主導が強まり、政治家の影響力が上がった
- 2014年の内閣人事局設置で人事権が政治家側に移った
- 法的にも最終決定権は政治家にある制度が整っている
- 官僚は専門知識と経験によって行政を支えている
- 両者は対立ではなく補完し合う関係が理想とされる
- 「どっちが偉いか」よりも役割の違いを理解することが大切
