引っ越し後に住民票を移し忘れると、罰則として最大5万円の過料が科される可能性があります。しかし、すぐに罰金が取られるわけではなく、まずは自治体から指導を受けることが一般的です。ただし、長期間放置した場合や悪質と判断された場合は、過料が発生することもあります。
また、住民票を移していないと、会社の手続きや税金の支払い、免許更新などの場面でバレることがあります。一方で、単身赴任や大学生の一人暮らしなど、住民票を移さなくても問題とならない正当な理由が認められるケースもあります。
万が一、住民票の異動を忘れていた場合は、早めに対処することが大切です。本記事では、罰則の内容やバレるケース、正当な理由について詳しく解説します。
- 住民票を移し忘れた場合に科される罰則の内容
- 住民票を移さないとどのような場面でバレるのか
- 住民票を移さなくても問題にならない正当な理由
- 住民票を移し忘れたときの対処方法
住民票の移し忘れで罰金が取られた?移さない時のリスク

- 住民票を移さないと罰則はあるのか?
- 住民票の移し忘れがバレるケースとは?
- 会社にバレる?住民票移し忘れの影響
- 実家から住民票を移さない場合の正当な理由とは?
- 住民票を10年以上移していない場合のリスク
住民票を移さないと罰則はあるのか?
住民票の移動は法律で義務付けられており、引っ越し後14日以内 に転入届を提出しなければなりません。これを怠った場合、最大5万円の過料 が科される可能性があります。
住民票未移動の罰則とは?
住民基本台帳法 第52条では、正当な理由なく住民票の異動を行わなかった場合、5万円以下の過料を科すことができると定められています。
この「過料」は行政罰の一種であり、刑事罰ではないため前科はつきません。しかし、法律違反には変わりなく、自治体から指導や督促を受ける可能性があります。
実際に罰則が適用されるケースはある?
実際には、住民票を移し忘れただけで即座に過料が科されることは少なく、多くの自治体ではまず住民票の異動を促す指導を行います。しかし、故意に長期間移動を怠っている場合や、不正目的で住民票を移していない場合は、過料の対象となる場合があります。
住民票に関するより重い罰則
住民票の異動を行わないこと自体は最大5万円の過料ですが、虚偽の届け出を行った場合は 公正証書原本不実記載罪(刑法第157条) に該当する可能性があり、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される場合もあります。
住民票の移し忘れがバレるケースとは?

住民票を移さないまま生活していると、さまざまな場面で住民票の移し忘れがバレることがあります。ここでは、代表的なケースを紹介します。
1. 選挙の投票
選挙の投票は住民票がある自治体でしか行えません。新住所で投票しようとしたときに「登録がない」と言われることで、住民票が旧住所のままだと発覚します。
2. 運転免許証の更新
免許証の更新通知は住民票の住所に送られます。住民票を移していないと通知が届かず、更新期限を逃してしまう可能性があります。また、住所変更の手続き時に住民票の異動を求められ、移し忘れが発覚する場合もあります。
3. 会社への届出
会社では、住民税の支払い手続きなどで従業員の住民票情報を確認します。旧住所のままだと会社の経理担当者に指摘される可能性があります。また、通勤手当の支給額が変わる場合もあり、不正が疑われるケースもあります。
4. 行政サービスの利用
公的な書類(住民票、印鑑証明、所得証明など)を発行する際に旧住所の自治体でしか取得できないことから、移し忘れが発覚します。
5. 郵便物の転送期限切れ
郵便局に転送届を出していても1年で期限が切れます。その後、旧住所に郵便物が届いてしまい、トラブルになる可能性があります。
6. 税務調査
住民税は住民票がある自治体に納める仕組みですが、新住所の自治体で生活していると税務署が確認を行うことがあります。不一致が判明すると、住民票を移すよう指導されるケースもあります。
会社にバレる?住民票移し忘れの影響

住民票を移し忘れた場合、会社にバレることがあります。特に税金や社会保険に関する手続きの際、住所の不一致が原因で発覚するケースが多いです。
会社にバレる主なケース
住民票の移し忘れが会社に知られるのは、以下のような場面です。
- 住民税の通知
住民税は、毎年1月1日時点の住所地の自治体に納めます。会社は従業員の住民税を給与から天引きして支払うため、旧住所の自治体から通知が届くと、住民票を移していないことが発覚します。 - 社会保険の手続き
健康保険や厚生年金の登録住所と、実際の住所が異なると、会社の担当者が違和感を持ちます。特に健康保険証の更新時に、住所の違いを指摘される可能性があります。 - 通勤手当の支給
会社は従業員の通勤経路を把握し、通勤手当を支給します。住民票の住所と実際の通勤経路が違うと、不正受給と疑われることがあります。
会社にバレるとどうなる?
会社の規則により、住所変更の報告義務を設けている場合があります。報告を怠ると、就業規則違反とみなされ、場合によっては懲戒処分を受ける可能性もあります。また、通勤手当の不正受給につながると、返還を求められるケースもあります。
実家から住民票を移さない場合の正当な理由とは?

住民票は原則として実際に住んでいる場所に移す必要がありますが、一定の条件を満たす場合は、移さなくても問題にならない場合があります。これらは、生活の本拠地が変わらないと判断されるケースです。
住民票を移さなくてもよい主な理由
- 大学生の一人暮らし
大学進学を理由に一人暮らしをしている場合、卒業後に実家へ戻る予定があるなら、住民票を移さなくても認められることがあります。 - 単身赴任
仕事の都合で一時的に他の地域へ赴任する場合、家族が住む実家が生活の本拠地であるとみなされるため、住民票を移さなくても許容されることが多いです。 - 短期間の転居(1年未満)
1年以内に実家へ戻る予定がある場合は、生活の本拠地が変わらないと判断されるため、住民票を移さなくても問題にならないことがあります。 - 週末帰省が頻繁な場合
仕事や学業の関係で平日は別の場所に住んでいても、週末のほとんどを実家で過ごしている場合は、生活の拠点が実家にあると判断されることがあります。 - 家族の介護や看護のための一時的な転居
家族の介護や看護のために一時的に実家を離れる場合、住民票の移動は不要とされることがあります。 - 船員や長期出張が多い職業の場合
船員や長期出張の多い仕事では、実際の生活拠点が不明確になりやすいため、住民票を移さなくても認められるケースがあります。
生活の実態が実家にあると判断される場合は、住民票を移さなくても問題にはなりません。
住民票を10年以上移していない場合のリスク

住民票を10年以上移していないと、法律上の問題や日常生活での不都合が発生する可能性があります。住民票は、実際に生活している場所に登録する義務があり、長期間放置すると様々な影響を受けることになります。
法律違反による罰則の可能性
住民基本台帳法では、引っ越し後14日以内に住民票を移す義務が定められています。違反した場合、最大5万円の過料(行政罰)が科される可能性があります。過料は裁判所の判断で決まりますが、長期間の未移動は悪質とみなされることもあります。
行政サービスを受けられない
住民票が実際の住所と違うと、住民票のある自治体でしか行政サービスを受けられないことがあります。例えば、以下のような影響が出る可能性があります。
- 公的書類の取得
所得証明書や印鑑登録証明書などが取得できない - 選挙権の行使
実際に住んでいる地域で投票できない - 公共サービスの利用
住民限定の補助金や図書館の利用制限が発生する
税金関連のトラブル
住民票の住所と実際の居住地が違うと、住民税が本来の自治体に納められず、未納や二重払いの可能性があります。また、確定申告をする際にも影響が出ることが考えられます。
身分証明書や金融手続きに支障が出る
運転免許証の更新、銀行口座の開設、クレジットカードの申し込みなどで、住所が住民票と一致していないと手続きがスムーズに進まないことがあります。また、ローンや保険契約などの信用審査に影響を及ぼすこともあります。
緊急時の対応に支障が出る
住民票を移していないと、災害時の支援が受けられなかったり、自治体からの重要な通知が届かない可能性があります。特に、避難所の利用や災害支援金の申請では、住民票の登録住所が重要になります。
住民票の移し忘れで罰金が取られた?罰則を回避する方法

- 住民票の移し忘れで過料が発生?判例を紹介
- 住民票に虚偽の届け出をしたらどうなるのか?
- 住民票を移し忘れた時の対処法
- 住民票の移し忘れで罰金が取られた?リスクと対象法(まとめ)
住民票の移し忘れで過料が発生?判例を紹介
住民票の移し忘れは、住民基本台帳法に違反する可能性があり、場合によっては過料(行政罰)が発生します。実際の判例をもとに、どのような場合に過料が科されるのかを紹介します。
過料の発生条件
住民票の移動は、住民基本台帳法第22条に基づき、引っ越しから14日以内に手続きを行う必要があります。もし期限を過ぎても住民票を移していない場合、住民基本台帳法第52条により、最大5万円の過料が科される可能性があります。
過料が科された判例
実際に過料が発生したケースとして、以下のような判例があります。
- 数年間、住民票を移していなかったケース
⇒ 過料5,000円 - 引っ越し後に住民票を放置し、新住人の申請で発覚
⇒ 過料3,000円
ただし、行政側は基本的に初めは指導を行い、それでも対応しない場合に過料を科すことが多いです。すぐに手続きを行えば、過料を免れる可能性もあります。
住民票に虚偽の届け出をしたらどうなるのか?

住民票に虚偽の届け出をすると、法律違反となり刑事罰の対象になる可能性があります。特に、住んでいない住所に住民票を移した場合、公正証書原本不実記載罪や詐欺罪に問われるケースがあります。
適用される法律と罰則
住民票の虚偽申請には、以下の法律が適用されることがあります。
- 住民基本台帳法第52条
⇒ 最大5万円の過料 - 公正証書原本不実記載罪(刑法第157条)
⇒ 5年以下の懲役または50万円以下の罰金 - 詐欺罪(刑法第246条)
⇒ 10年以下の懲役(不正受給がある場合)
住民票の虚偽届け出は、単なる過料だけでなく、懲役刑や罰金といった厳しい処罰を受ける可能性があります。軽い気持ちで虚偽の申請をすると、後に大きな問題に発展するため、必ず正しい情報で届け出を行うことが重要です。
住民票を移し忘れた時の対処法

住民票の移し忘れに気づいた場合は、できるだけ早く手続きを行うことが重要です。住民基本台帳法では引っ越し後14日以内の届出が義務付けられていますが、期限を過ぎても対応すれば大きな問題にならないことがほとんどです。ここでは、具体的な対処法を解説します。
1. すぐに転入届を提出する
新しい住所を管轄する市区町村の役所で転入届を提出します。必要な書類は以下のとおりです。
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 転出証明書(旧住所の役所で発行されたもの)
- 印鑑(自治体によって不要な場合もある)
もし転出証明書がない場合は、旧住所の役所へ問い合わせるか、新しい役所で手続き方法を確認しましょう。
2. 遅れた理由を伝える
14日を過ぎている場合は、遅れた理由を説明する必要があります。例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 忙しくて役所へ行く時間が取れなかった
- 病気やケガで手続きができなかった
- 単純に忘れてしまっていた
素直に説明すれば、特に罰則がないことが多いです。
3. 関連手続きも同時に進める
住民票を移した後は、以下のような関連手続きも忘れずに行いましょう。
手続き内容 | 手続き場所 |
---|---|
運転免許証の住所変更 | 最寄りの警察署・運転免許センター |
健康保険の変更 | 勤務先または市役所の国民健康保険窓口 |
年金の住所変更 | 年金事務所または市区町村役場 |
銀行・クレジットカードの住所変更 | 各金融機関の窓口やオンラインサービス |
住民票の移し忘れは、気づいた時点ですぐに転入届を提出すれば大きな問題にはなりません。遅延理由を伝えれば、基本的には過料を科されることも少ないです。
また、住民票の変更と同時に運転免許証や健康保険などの手続きも進めると、スムーズに新生活をスタートできます。引っ越し時期にリマインダーを設定するなど、忘れない工夫をするとよいでしょう。
住民票の移し忘れで罰金が取られた?リスクと対象法(まとめ)
記事のポイントをまとめます。
- 住民票の移動は法律で義務付けられており、引っ越し後14日以内に手続きが必要
- 住民票を移さないと、最大5万円の過料が科される可能性がある
- 過料は行政罰であり、刑事罰ではないため前科はつかない
- 住民票を長期間放置すると、悪質と判断され過料の対象になりやすい
- 虚偽の届け出を行うと、公正証書原本不実記載罪となり刑事罰の可能性がある
- 住民票の未移動が発覚するのは、選挙時や運転免許証の更新時などが多い
- 会社の住民税手続きで住民票の未移動が発覚するケースがある
- 通勤手当の不正受給と疑われると、会社から返還請求される可能性がある
- 実家に住民票を残したままでも、大学生や単身赴任者などは例外として認められる場合がある
- 住民票を10年以上移していないと、税金や行政サービスの利用に支障をきたす
- 住民票の未移動による過料は、実際には3,000円~5,000円程度であることが多い
- 行政は基本的に指導を優先し、住民票の移動を促すことが一般的
- 住民票の虚偽申請は、場合によっては詐欺罪として厳しい刑罰が科される可能性がある
- 住民票を移し忘れた場合は、できるだけ早く転入届を提出すれば過料を避けられる可能性がある
- 住民票を放置すると、災害時の支援や自治体の重要な通知を受け取れない場合がある