公務員が一度病気休暇を取得して職場に戻ったあと、再び体調を崩した場合、「2回目の病気休暇は取れるのか」「前回の日数はリセットされるのか」と気になる人も多いと思います。
病気休暇は、一度復職したからといって必ず前回の日数がゼロになるわけではありません。
国家公務員には、一定期間内に再び病気休暇を取得すると前回の期間と連続しているものとみなすルールがあります。一方、地方公務員は所属する自治体の条例・規則によって扱いが異なります。
そのため、「1か月働けばリセット」「2回目は1年働けばリセット」といった情報だけで判断するのは避けた方がよいでしょう。
この記事では、公務員が病気休暇を繰り返し取得するときの「2回目」「通算」「リセット」の考え方を、国家公務員の制度と地方公務員の自治体差を分けて解説します。
公務員の病気休暇は繰り返し取れる?まず結論

病気休暇は「一生に1回だけ」「2回まで」といった単純な回数制限で考える制度ではありません。
重要なのは、再び病気休暇を取得するときに、前回の病気休暇と連続した期間として扱われるかどうかです。
病気休暇は「何回まで」より通算ルールを確認する
たとえば、病気休暇を取得して一度職場へ復帰したあと、再び同じ病気や別の病気で休むことになったとします。
この場合、「2回目だから取得できない」と決まるわけではありません。
確認したいのは、主に次の3点です。
- 前回の病気休暇を何日取得したか
- 復職してから実際に何日勤務したか
- 所属する国・自治体の病気休暇規則で、前後の期間をどのように通算するか
つまり、検索でよく使われる「病気休暇のリセット」とは、実際には「前回と今回の病気休暇を連続したものとして扱うか」を確認する問題だと考えると分かりやすいです。
国家公務員と地方公務員ではルールが違う
ここで特に注意したいのが、国家公務員と地方公務員を同じルールで考えないことです。
国家公務員の特定病気休暇については、人事院規則や人事院の通知で具体的な期間計算の方法が定められています。
一方、地方公務員の病気休暇は、各自治体の勤務時間・休暇に関する条例や規則などによって定められています。
「公務員の病気休暇は必ず90日」「20日勤務すれば全国どこでもリセット」とは限りません。

地方公務員の休暇・休職制度全体については、地方公務員の休暇・休職制度完全ガイドでも整理しています。
2回目の病気休暇は前回と通算される?


病気休暇を繰り返す場合に最も確認したいのが、前回の病気休暇と2回目の病気休暇が通算されるかどうかです。
国家公務員と地方公務員では、この判断基準が同じとは限りません。
国家公務員は実勤務20日に達する前の再取得に注意
国家公務員の特定病気休暇は、原則として連続90日を超えて使用できません。
さらに、連続する8日以上の期間に特定病気休暇を使用した場合、一定の要件のもとで、復職後の実勤務日数が20日に達するまでの間に再び特定病気休暇を使用すると、前後の病気休暇の期間は連続しているものとみなされます。
たとえば、長期間病気休暇を取得したあと、数日だけ勤務して再び病気休暇に入った場合、「一度復職したから新たに90日」という扱いになるとは限りません。
この「実勤務20日」は、単純な暦日20日ではありません。
実際に勤務した日を基準に考えるため、土日や祝日を含めて「復職して20日経った」と数えるわけではない点にも注意が必要です。
地方公務員は自治体によって通算基準が異なる
地方公務員では、国家公務員の「実勤務20日」の仕組みと似た規定を設けている自治体もありますが、全国一律ではありません。
たとえば堺市の職員に関する規程では、病気休暇を取得した職員が、直近の病気休暇の最後の日から60勤務日を経過する前に再び病気休暇を取得した場合、前回の日数に通算する仕組みが規定されています。
| 区分 | 通算を確認する際の例 |
|---|---|
| 国家公務員 | 一定の場合、復職後の実勤務日数が20日に達するまでの再取得は前後を連続扱い |
| 地方公務員 | 自治体の条例・規則による。国家公務員と同じとは限らない |
| 堺市の例 | 一定の場合、60勤務日を経過する前の再取得を前回の日数に通算 |
このように、「公務員なら何日勤務すればリセットされる」という全国共通の日数が決められているわけではありません。
地方公務員の場合は、自分に適用される勤務時間・休日・休暇に関する条例や規則を確認する必要があります。
自分の自治体で通算ルールを確認する方法
自分の勤務先で病気休暇がどのように通算されるか分からない場合は、所属自治体の例規集を確認してみてください。
例規集では、次のような名称の規則を探すと見つけやすくなります。
- 職員の勤務時間、休日及び休暇に関する規則
- 職員の勤務時間、休暇等に関する規則
- 職員休暇規程
- 職員の勤務時間等に関する条例施行規則
例規集内で「病気休暇」「実勤務日数」「通算」「連続」と検索すると、該当する条文を探しやすくなります。
規則を読んでも自分のケースが分からない場合は、人事担当に「前回の病気休暇と今回の病気休暇は通算されますか」と確認するのが確実です。
病気休暇の「リセット」とは何を意味する?


ネット検索では「病気休暇 リセット」という言葉がよく使われますが、「リセット」は法令や規則で一般的に使われる正式な制度名ではなく、検索などで便宜的に使われる表現です。
実際の規則では、前回と今回の病気休暇を「連続しているものとみなす」といった形で定められていることがあります。
復職すれば自動的にゼロへ戻るとは限らない
病気休暇を取得したあとに1日でも出勤すれば、前回の病気休暇が完全に切り離されるわけではありません。
一定の実勤務日数に達する前に再び病気休暇を取得すると、前回の日数と通算される場合があります。
そのため、「とりあえず一度復職すれば病気休暇がリセットされる」と考えるのは避けた方がよいでしょう。
特に長期間の病気休暇を取得している場合は、復職日だけでなく、その後の実勤務日数を確認することが重要です。
「実勤務日数」は暦日とは違う
実勤務日数は、単純に復職してから経過した日数を意味するわけではありません。
国家公務員の制度では、原則として勤務時間を実際に勤務した日を基準に判断します。
年次休暇を取得した日や、勤務時間の一部を勤務していない日などは、病気休暇の期間計算上の「実勤務日」として扱われない場合があります。
地方公務員については、この点も所属自治体の規則を確認してください。
土日や祝日は病気休暇の日数に含まれる?
国家公務員の特定病気休暇では、療養状態が継続している期間中に病気休暇の日と病気休暇の日の間に挟まれた週休日、休日なども、原則として病気休暇を使用した日とみなして期間を計算します。
そのため、平日だけを数えて「90勤務日休める」という制度ではありません。
地方公務員も似た計算方法を採用している自治体がありますが、全国共通ではありません。
別の病気なら新たに90日の病気休暇を取れる?


「前回とは別の病気なら、新しく90日の病気休暇を取れる」と説明されることがありますが、これも一律には言えません。
国家公務員では病気の種類にかかわらず期間計算するのが原則
国家公務員の特定病気休暇では、「連続90日」や「連続8日」の期間を計算するとき、病気やけがの種類が同じか違うかにかかわらず計算することが原則です。
つまり、病名が変わっただけで自動的に新たな90日が始まるわけではありません。
ただし、人事院の規則には、当初の負傷・疾病とは症状や病因が明らかに異なる負傷・疾病について、例外的な取扱いがあります。
「別の病名が付いた=別枠」と本人だけで判断するのではなく、医学的な診断を踏まえて判断されます。
地方公務員は所属自治体の規則を確認する
地方公務員についても、別の病気をどのように扱うかは自治体の規則によります。
同じ自治体でも、正規職員、会計年度任用職員、教育委員会所属職員などで適用される規程が異なる場合があります。
自分のケースが別疾病として扱われるかは、診断書の内容だけでなく、所属自治体の規則や任命権者の判断も関係します。
病気休暇を繰り返すと休職や分限免職になる?


病気休暇を繰り返していると、「そのうち休職になるのでは」「3年たったらクビになるのでは」と不安になる人もいると思います。
ここでは、病気休暇と病気休職を分けて考えることが大切です。
「3年」は病気休暇ではなく病気休職と分けて考える
地方公務員法では、心身の故障のため長期の休養を要する場合に、職員を休職させることができる仕組みが定められています。
しかし、地方公務員法そのものに「すべての地方公務員の病気休暇は90日」「病気休職は必ず3年」と定められているわけではありません。
実際の病気休暇の期間や病気休職の上限、再休職したときの通算方法などは、所属自治体の条例・規則によって確認する必要があります。
そのため、「病気休暇を何回か取得したら3年で自動的に免職」という仕組みではありません。
病気休暇を繰り返しただけで直ちに分限免職になるわけではない
地方公務員法第28条では、心身の故障のため職務の遂行に支障がある、または職務に堪えない場合などに、分限処分の対象となる可能性が定められています。
ただし、病気休暇を2回取った、3回取ったという回数だけで直ちに分限免職になるという規定ではありません。
長期療養が必要となった場合は、まず病気休暇と病気休職のどちらの制度が適用されるのか、休職期間はどのように定められているのかを確認してください。
病気休暇を繰り返すときに確認したい5つのポイント


2回目以降の病気休暇について自分のケースを確認するときは、次の5点を整理すると分かりやすくなります。
- 前回の病気休暇はいつからいつまでだったか
- 前回の病気休暇から復職後、実際に何日勤務したか
- 今回の病気・けがを規則上どのように扱うか
- 所属自治体の病気休暇の通算ルールはどうなっているか
- 長期化した場合、病気休職へどのように移行するか
特に「何日働けばリセットされるか」は、インターネットで見つけた他の自治体の数字だけで判断しないことが重要です。
人事担当に確認するときは、次のように聞くと整理しやすいでしょう。
- 前回の病気休暇と今回の病気休暇は通算されますか
- 前回の病気休暇後、何日を実勤務日として数えていますか
- 病気休暇の期間計算に土日・年休はどのように含まれますか
- 今回、診断書などの提出書類は必要ですか
- 病気休暇の上限に達した場合はどの制度に移行しますか
まとめ|病気休暇の繰り返しは「通算」と自治体規則を確認


公務員の病気休暇は、「何回まで取れるか」だけで判断する制度ではありません。
- 2回目の病気休暇が前回と通算される場合がある
- 一度復職しただけで自動的に日数がリセットされるとは限らない
- 国家公務員では一定の場合、実勤務20日に達するまでの再取得を連続扱いする
- 地方公務員の通算方法は自治体によって異なる
- 別の病気でも自動的に新しい90日になるとは限らない
- 病気休暇と病気休職は別の制度として考える
- 病気休暇を繰り返した回数だけで直ちに分限免職になるわけではない
「自分の場合はあと何日病気休暇を取れるのか」を確認したいときは、前回の取得期間と復職後の実勤務日数を整理したうえで、所属自治体の条例・規則や人事担当に確認してください。
参考にした主な一次資料
※地方公務員の病気休暇・休職制度は自治体や職員区分によって異なります。記事内の自治体例をそのまま自分の勤務先へ当てはめず、所属自治体の現行条例・規則や人事担当で確認してください。



